2008年頃からインディーズ・バンド界のMV制作黎明期を支え、2022年に長編映画監督デビュー作『ディスコーズハイ』(DVDは3月1日リリース)の唯一無二のセンスで全国のミニシアター・ファンに衝撃を与えた岡本 崇監督。長編映画第2弾のタイトルは、敬愛するギタリスト、ジミ・ヘンドリックスの2ndアルバムの最後の曲「ボールド・アズ・ラヴ(愛のように大胆)」へのオマージュで、“君”への憧れの気持ちを込めて、『ボールド アズ、君。』と命名。音楽や映画の作者の意図には関係なく救われた自分の経験を元に、“勝手に救われよう”をテーマに、カリスマ的なボーカリストとミニシアターの支配人に救われた主人公の熱い想いを描き、第18回田辺・弁慶映画祭のコンペティション部門、第34回ゆうばり国際ファンタスティック映画のゆうばりセレクション部門に正式出品され、大須インディペンデント・フィルム・フェスティバル2024にて長編部門最優秀賞、山形国際ムービーフェスティバル2024にて審査委員特別賞、第1回アートファインディング映画祭で俳優賞(伊集院香織/みるきーうぇい)と優秀賞、神戸インディペンデント映画祭2024にて企画賞を受賞した。
人付き合いが苦手な主人公・南條 珠(なんじょう・たま)役には「演奏シーンでギターをカッコよく弾ける女性を」という理由から、自身が体験した“いじめ”を題材にしたMV「カセットテープとカッターナイフ」がYouTube50万再生を突破した伊集院香織(みるきーうぇい)を大抜擢。ギター・プレイはもちろん、人付き合いが苦手なために学校で嫌がらせに遭ったという岡本監督の経験を基にした学生時代のシーンも演じている。
珠にとっての神様の一人、ロックバンド“翳(かげ)ラズ”のボーカル・瓶子結衣子(へいし・ゆいこ)役は、後藤まりこ。唯一無二の歌声、過激なパフォーマンス、圧倒的なカリスマを武器に数々の伝説を残す一方で、舞台「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で森山未來の相手役を演じ、テレビ東京の深夜ドラマ「たべるダケ」では主演を努めるなど俳優としても活躍している。岡本監督が本作の1番の見どころと胸を張るBIGCATでのライブ・シーンでは、キックを炸裂させるなど大暴れしている。
珠にとってのもう一人の神様こと、珠の居場所であるミニシアターの支配人・井澤雄一郎(いさわ・ゆういちろう)役は、ベテラン俳優の津田寛治。大阪に実在するミニシアター“ナナゲイ”こと第七藝術劇場で、経営不振に悩むミニシアターの苦悩を体現する。
珠に恋する、ミニシアターのバイト・村田義行役でシアターアイドルmuko²のメンバーとして活動するおかき、珠のバイト仲間・暮土真琴役で若手シンガーソング・ライターのぽてさらちゃん。、自身のグラムロックバンド“加納プズ”のメンバーに珠を引き入れようとする加納怜役に劇団☆新感線の公演などでも活躍する鈴木智久、“翳ラズ”や“P-90”のマネージャー・草薙凪子役で『MIRRORLIAR FILMS』等でプロデューサーとしても活躍している慶子、“翳ラズ”のギタリスト・岡本崇志役で本作監督の岡本 崇、”翳ラズ”のベーシスト・小林大透役でdaisukeが出演。そして、なんと“翳ラズ”のドラマー役で、東京事変の刄田綴色が出演。後藤まりことの豪華な演奏が実現した。
劇中の“翳ラズ”の所属事務所のライブ・イベント・シーンでは、実在のバンド・スムルースとアシガルユースが演奏する他、『ディスコーズハイ』にも登場した架空のバンドながら、公式Xのフォロワーが1.5万人にもいるP-90が出演。また、珠のギター・バトルの対戦相手として、ぐしゃ人間のギタリスト・亀がギターテクニックを披露した。
その他、「ストリートファイター」の実況解説で有名なe-sports実況者・アールが劇中の大規模バンド・イベントのMCとして出演するほか、ゲーム制作者の城間一樹のホラー・ゲーム「Shadow Corridor 2(通称:影廊)」よりテルテル坊主というキャラクターが出演し、主人公の学校への恐怖を表現するなど各界とのコラボレーションが実現している。
この度、新宿K’s cinemaとK’s近くの映画ファンが集まるBar DUDEでの追撮を加えた最新バージョンが3月29日(土)より新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開されることが決定し、ポスタービジュアルが解禁となった。また、本作の監督・脚本の岡本崇及び本作のロケ地となった大阪のミニシアター・第七藝術劇場の支配人である小坂誠よりコメントが届いた。
コメント
監督・脚本・音楽・編集:岡本 崇
僕が今までダメになりそうになった時、幾度となく音楽や映画に救われてきました。作品の中のセリフだったり美しいメロディだったりインタビューの中の何気ない言葉に勝手に救われてきたんです。当然日常の中やリアルな人間関係にだってそれはあるんですが、どこまでいっても他人行儀でしかないテレビから流れる映画とか、パッケージされた商品や作品にだからこそ救われることってあると思うんです。少なくとも僕にとっては誰の言葉より響き、人生を変えてくれたのはジミー・ペイジのギターリフだったし、そういう体験をこの映画で少しでも表現できればと考えました。
僕にとって音楽だけが人生のすべてでした。でも映画を作り始めてからいろいろなミニシアターを巡るようになり、たくさんの人と出会う中で世界は広がっていったんです。ミニシアターは僕の主戦場だったライブハウスに似ていて、ちょっとマイナーなものを観るためにいろんな人が約束もなく集まります。そしてそこへいけば会える人たちがいる。ぼっちで楽しんでいる人もいる。楽しみ方はさまざまでも確かにその瞬間を共有している。そういう場所が好きだし必要なんです。発信する側としても受け取る側としても。だからそんな大切な場所を守ることができるような、そんな存在になりたいと今は思ってます。 伊集院香織さんに主演をお願いしたのはエレキギターを実際にかっこよく弾ける人が誰かを考えた時、1番に思い浮かべたのが彼女だったからです。演技経験の有無については全く知らなかったんですが、最後にライブ・シーンを持ってくることを想定していたし、主人公のキャラ像と実際の彼女のイメージも一致する部分が多かったのできっと大丈夫だろうと考えました。
後藤まりこさんは、この映画のプロットも何もない時から、次回作には彼女のライブ・シーンを絶対に入れたいとだけ考えていました。あとやっぱり僕の曲を後藤さんが歌っている!みたいな感動がありました。
津田寛治さんは福井駅前短編映画祭でお会いしたことが縁でオファーさせていただきました。受けていただけるか分からない段階から映画館の支配人役は津田さんをイメージしていたので念願叶いました。あとミュージシャンが多く出演する中、演技の面でピリッと締めてもらえたらという狙いもあったのですが、期待以上の効果があった様に思います。
刄田綴色さんは元々大好きなドラマーなのですが、まさか受けていただけるとは思いませんでした。翳ラズの楽曲ができた時、叩いて欲しいのは誰かと考えた時一番最初に思い浮かべたのが刄田さんだったのですが、とにかく情熱を込めて出演依頼の連絡をさせていただいたところ快諾いただき本当に驚きました。憧れの人とレコーディングやライブを共にできるなんて夢のようです。
スムルースは僕が大好きなバンドなんです。特にボーカルの德田さんの書く曲は本当に素晴らしいのですが、劇中でも演奏される「美しい世界」の歌詞が本作のとあるシーンとすごくシンクロしていてぜひ使いたいと思いました。
アシガルユースは関西で活動するバンドなんですが、いいバンドなのでどんなキッカケであれもっともっといろんな人に知って欲しいという思いから、この映画に出演をお願いしました。
今回はライブ・シーンを含めより映画館で観る、ということに強いこだわりを込めて制作しました。なので、ぜひそれを劇場で体感していただければ嬉しいです。
第七藝術劇場・支配人:小坂 誠
前作『ディスコーズハイ』を当館で上映した際に、岡本 崇監督の情熱と人を巻き込む力に圧倒され、今度はその面白そうな渦の中に巻き込まれてみようと撮影地としての協力を決めました。本作の映画館シーンは、第七藝術劇場にて深夜から早朝にかけて撮影されました。
津田寛治さん演じる映画館支配人「神様」は秘めたる情熱を心に抱えつつも、映画館の歩みとともに年を重ね、諦めてきたことも多いであろう、そんなたたずまいが印象的です。メジャー作品のみならずインディーズ作品にも数多く出演されている津田さんだからこそ特別な存在感があります。
本作は、何かを表現することだけでなく、その表現に心動かされ、救われ、人生を狂わせてしまうことを肯定してくれる作品です。「神様」の言葉を通して語られる一つひとつに、ミニシアターという場所への想いが詰まっています。そして、ロックミュージックが持つ熱気が映画館の空間を満たしていくとき、そこに新しい何かが確かに生まれていくのです! ぜひ映画館のスクリーンで目撃してください。
ストーリー
人付き合いが苦手な南條珠(なんじょう・たま/伊集院香織)は、小学生の頃からシネコンとは一線を画すこだわりのラインアップのミニシアターを自分の居場所としていて、支配人の井澤雄一郎(いさわ・ゆういちろう/津田寛治)を神様と呼んで慕っている。
そんな珠にとって、ロックバンド“翳(かげ)ラズ”のボーカル・瓶子結衣子(へいし・ゆいこ/後藤まりこ)はもう一人の自分を救ってくれた神様。中古ギターを入手して、スーパー・ギター・バトルで優勝するほどの実力になるも、さらに上を目指して練習する日々。翳ラズの記事を読み、次の翳ラズのライブ・チケットは必ず入手すると決意を新たにする。
そんなある日、珠がバイトをする居酒屋に、たまたま瓶子結衣子がやってきて、珠がアップした“弾いてみた動画”を見ていたことが発覚。珠は「翳ラズと同じステージに立って直接お礼を言うこと」を目標に、さらに動画制作に精を出すが、行きつけのミニシアターが翳ラズのライブのタイミングで閉館するということを知り……。
(2025年、日本)
キャスト&スタッフ
出演:伊集院香織(みるきーうぇい)、後藤まりこ
おかき、ぽてさらちゃん。、鈴木智久、下京慶子、岡本崇、daisuke
スムルース、P-90、アシガルユース、亀(ぐしゃ人間)
鈴木大夢、愛田天麻、寺岡千紗、ひがし沙優、小島海音、園山敬介、篠田 諒、牛丸 亮
アール、サンキュームービー、テルテル坊主(シャドーコリドー2 雨ノ四葩)
刄田綴色(東京事変)、津田寛治
監督・脚本・音楽・編集:岡本 崇
撮影:岡本 崇、松本大樹
ライブ撮影:松本大樹、ましょ、坂 厚人、ヨシナガコウイチ、片山大輔、汐華プリン、芦村真司
プロデューサー:内田 蘭
アソシエイト・プロデューサー:出町光識
ロケーション協力:八尾フィルムコミッション、第七藝術劇場、BIGCAT、HOOK UP RECORDS funk ojisan D×Q神戸、Bar DUDE、新宿K’s cinema
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公開表記
配給:Cinemago
3月29日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)