北海道の小さな町の自然を背景に、息子を失った父親と、夫を亡くした妻、そして自閉症の娘が織りなす、失われた家族の再生の物語『美晴に傘を』が、2025年1月24日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA ほかにて公開する。
この度、主演・升 毅のインタビューが解禁となった。
『底なし子の大冒険』『狼少年タチバナ』などで知られる劇団牧羊犬を主宰し、短編映画では国内外の数々の賞を受賞してきた渋谷 悠の初長編作品。家族の再生という、映画では幾度となく語られてきたテーマを新鮮な物語へと昇華させ、魅力的な登場人物たちが観る者を心地よく包み込む。主演には、息子を亡くし後悔の波に溺れる漁師・善次に升 毅、言葉少なに圧倒的な存在感を見せつける。障がいを抱える娘を懸命に守ろうとする母・透子の心の機微を田中美里が繊細に演じる。聴覚過敏によって聴こえてくる様々な音を擬音語に変えられる才能を持つ美晴役には『麻希のいる世界』主演の日髙麻鈴が挑んだ。その他、和田聰宏、宮本凜音、上原剛史、井上 薫、阿南健治らが脇を固める。
主演・升 毅は、本作が映画『八重子のハミング』(2016)以来、約9年ぶりの主演作となり、喧嘩別れのまま息子を亡くした父親役を演じる。升は、本作について、「絵本の中の世界観があって、子どもの頃に経験したような、とってもあったかい空気感のある作品。自分の中に無くても、どこか共感できるような、その人間性のようなところに、すごく惹かれました」と印象を語り、頑固で不器用な善次を演じる上では、「いろいろな感情を表情に出すのではなく、全部しまい込むということを基本としていたので、結果、笑顔がほとんどないということになったんだと思います。『この人はもうあまり笑えなくなっているんだろうな』と少し意識をしていました」と向き合い方を明かした。
升が本作で特に印象的だったと明かしたのは、善次が、言葉少なながらにぽつりぽつりと気持ちを吐露しながら居酒屋から一人で夜道を歩くシーン。このシーンについては、渋谷監督からも撮影監督からも特に演出はなかったというが、「1本道を歩きながら、しゃべるだけでいいなと。その時の自分の本当の気持ちのままで演じることができ、チャレンジというか、(監督とも)『長回しで1発でいこう』とお互いがそんな気持ちになれて撮ることができたシーンだったので、面白かったです」と撮影を振り返った。この帰り道のシーンは、画面からも善次の想いが滲み出るような印象深いシーンとなっている。
さらに、「本作は時間の限られた撮影でしたが、しっかりと地元の美味しいものや美味しいお酒をいただきました。町の皆さんが撮影に全面的な協力体制を整えてくださっていて、地元の方々とも、撮影の合間合間で触れ合うこともできて、とても居心地のいい空間でした」と本作のロケ地・北海道の余市町についても振り返った。
善次をはじめとする家族の再生の物語が繰り広げられる余市町の魅力もたっぷりと詰まった本作に注目だ。
公開表記
配給:ギグリーボックス
2025年1月24日(金)より、YEBISUGARDEN CINEMA ほか全国公開
(オフィシャル素材提供)