登壇者:深川麻衣、若葉竜也、田口トモロヲ、杉田かおる、城定秀夫監督
映画『嗤う蟲』の完成披露試写会が都内で行われ、舞台挨拶に出演者の深川麻衣、若葉竜也、田口トモロヲ、杉田かおるとメガホンを取った(『アルプススタンドのはしの方』『女子高生に殺されたい』など)の城定秀夫監督が登壇して、作品についてクロストークを繰り広げた。
本作は、ヴィレッジ“狂宴”スリラー。村八分という日本に存在する“村の掟”の数々がリアルに描かれ、現代日本の闇に隠されている“村社会”の実態が描かれる。
憧れの田舎暮らしのスローライフをスタートした、イラストレーターの杏奈役を演じた深川は「“ワァーッ”と驚かすような(ホラー的な)怖さではなくて、ジワジワした怖さをお伝えできるエンタメになっています。皆さんが楽しめる作品になりました。インパクトあります!」とアピールした。
脱サラして、麻宮村での生活をスタートした夫の輝道役を演じた若葉は「ほぼワン・シーン、ワン・カットのシーン撮りが多かった。完成後に試写で観ると、撮影中に自分が想像していたリズムと、実際に完成した映画のリズムが違っていて、その差異が面白かった」と感想を述べ、「この映画は、はっきりと言葉にはしないけれど、ニヤニヤ笑いながら圧をかけてきたり、いろんなルールを明らかにしないまま、がんじがらめにしていくという不気味さがあります。共演者たちの個性のぶつかり合いが見どころです」と作品を熱くアピールした。
劇中、村の自治会長・田久保役を演じた田口は「真綿で首を絞めるようにジワジワきいてくる。非常に面白いので、楽しんで観てください」と伝える。
田久保の妻役を演じている杉田は、「台本も試写も面白かった。若いおふたり(深川と若葉)が、田口さんと私のことを日々嫌がっている感じがして(苦笑)、それが本当にリアルでした。本当に嫌がっているんだと思うほど、おふたりの演技が素晴らしかった」と深川と若葉を称賛した。
城定監督は(脚本は『ミスミソウ』などの内藤瑛亮)共同脚本も手がけており、本作を「ジャンルレス」だと説明する。「村のコミュニティや家族や夫婦のあり方にフォーカスを当てています。いろんなもが交じり合った怖さがある―」と作品の魅力について話す。
深川は、田口との共演シーンを振り返って「すごい迫力で、至近距離で詰められる場面があって、本当に恐ろしかった……」と述懐。田口の鬼気迫る迫力演技を絶賛した。
若葉も田口については「衝撃でした」と打ち明け、「大好きな田口トモロヲさんの演技を間近で見られたのが嬉しかった」とリスペクトを口にする。
田口は苦笑いしながらも「役柄的には、『してやったり』と思って嬉しかった」と微笑んだ。「脚本を読んだ時に、これは久しぶりにギア・マックスで踏み込んでいける役だな。“面白い”と思ったんです。思い切り役を演じました」と充実の役作りを語った。
また、深川は、お気に入りのシーンに杉田との共演シーンを挙げる。「田口さんが絶体絶命になる時の、杉田さんの演技がすごい。緊迫感のあるシーンですが、クスッと笑えるシーンにもなっています」と見どころをアピールした。
杉田は「親切なおばさん役ですが、親切すぎると怖さが増すんですね。人間関係のすきまが繊細に描かれています」と自身の役柄を分析した。
城定監督の印象について深川は、「今回初めてご一緒したのですが、演出中も1回も目を合わせてくれなくて……」と告白。続けて、「『嫌われているのかな』と思って、若葉くんに話したら、『俺も合ってない』って言っていたので、本当にシャイな方なんだと思いました」と笑いながら伝える場面があった。そんな城定監督は「『目が合わない』とよく言われます……。嫌いとかではないですから」と弁明していた。
山奥での撮影で大きな虫がたくさんいたことを明かした深川が、「大きな蜘蛛を見つけて監督のことを呼んだ時に“うわぁ大きい!”と叫んだ時の監督の大きな笑顔が良かった」と意外なエピソードも披露していた。
撮影時に印象的だった出来事を語る場面があり、若葉は撮影中の心霊体験を明かした。「宿泊したホテルに、幽霊が出ました、僕は耐えられなくて、違うホテルに移りました」と驚愕の告白。「柄シャツを着たおじさんが化粧台の前に座っていて怖かった」と話す。同じホテルでは、杉田も「テレビがいきなり点いたりしました。撮影の現場よりもホテルのほうが怖かった」と恐怖体験について話す。
若葉は「絶対おかしいと思ってホテル名を検索したら、1発目に『心霊』って出てきたんです」と報告。いわくつきのホテルであったことを明かしていた。
終盤、作品の内容にちなんで、「2025年新年、自分に掟を課すなら」というテーマでトークが行われた。
深川は「普段宅配を頼むことが多いので、今年は頻度を減らすぞ、ということを目標にしています」と回答。若葉は「毎日のトイレ掃除」。田口は「オフの日は午前中に起きるようにする」。杉田は「私もトイレ掃除を日課にします」と、それぞれが話した。
最後に、城定監督は「いろんな観方が出来る映画です。楽しんでください」。深川は「若い夫婦を善人に見せたくはない。観方によってグレーの部分がある。不穏な空気を楽しんで観てください」とメッセージを送った。
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:ショウゲート
2025年1月24日(金) 新宿バルト9 ほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)