『セノーテ』『鉱 ARAGANE』の小田香監督最新作『Underground アンダーグラウンド』(2025年3月1日[土]〜ユーロスペースにて公開)が来月2月13日に開幕する第75回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されることが決定し、合わせて予告編が解禁された。
また、小田 香監督の短編『TUNE』(2018年/6分)と特報を収録したDVD(先着100名)が特典に付く前売券もユーロスペース窓口限定で販売している。
ベルリン国際映画祭の「フォーラム部門」は、新しい視点を含む大胆で革新的な作品を集めた部門で、強い個性や多様性のある作品が選出されており、昨年は三宅 唱監督『夜明けのすべて』と想田和弘監督『五香宮の猫』が上映された。小田監督にとっては今回が初めてのベルリン国際映画祭での上映となる。昨年10月に開催された第37回東京国際映画祭でワールドプレミア上映され、人類の視線が及ばない異形の地下世界を題材に制作を続けてきた小田香の新境地として大きな驚きを持って迎えられた本作。インターナショナルプレミアとなるベルリン国際映画祭では、世界の観客にさらなる衝撃を与えることになるだろう。
合わせて解禁される予告編は「私は影」「記憶は見つめる」「記憶は触れる」という本作の核心を捉えた言葉に導かれるように吉開菜央が演じる「シャドウ(影)」が姿をあらわし、日本のさまざまな場所へ時空を超えた旅に見る者を誘う予告編となっている。
私の記憶と、この世界の歴史が地下世界で交錯する
地下の暗闇から、蠢く怪物のように「シャドウ(影)」が姿を現す。シャドウ(影)はある女の姿を借りて、時代も場所も超えて旅を始める。滲み出す地下水に濡れる、地下鉄が走る音を聞き、戦争により多くの人々が命を失ったほら穴の中で死者たちの声に耳を澄ませる。山奥の寺では、洞窟に続く、壁面に掘られた仏たちのために読経する僧侶の傍らに身を寄せる。そんな道行きの中、シャドウ(影)は、かつてそこで起きたことをトレースしていくようになり、ふと入った映画館で出くわした映像に導かれ、湖の底に沈んだ街に向かうのだった――。
鬼才タル・ベーラの愛弟子、小田 香が描き出す、ドキュメンタリーを遥かに超えた異形の空間
映画『Shari』や米津玄師「Lemon」MV(出演・振付)の吉開菜央が体現する「シャドウ(影)」という時空を超える存在
『サタンタンゴ』『ニーチェの馬』で知られる映画作家タル・ベーラが後進の育成のために設立した映画学校【film.factory】で3年間学んだ後、卒業制作として作られた長編デビュー作『鉱 ARAGANE』(2015)では、ボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱を、第1回大島渚賞を受賞した『セノーテ』(2019)では、メキシコ、ユカタン半島北部に点在するセノーテと呼ばれる洞窟内の泉と、人類の視線が及ばない異形の地下世界を題材に制作を続けてきた小田 香が、三たび、ついに日本の地下世界にカメラを向ける。小田自ら、「“地下世界”を描く作品としては節目となる作品」と語る最新作『Underground アンダーグラウンド』。小田は、3年かけて日本各地をリサーチし、その土地に宿る歴史と記憶を辿り、土地の人々の声に耳を傾け、これまでとは全く異なる撮影体制で、地下の暗闇を16mmフィルムに焼き付けていく。
その道行きには、米津玄師「Lemon」MVのダンスで鮮烈な印象を残し、映画『Shari』などの監督作でも知られる、映画作家・ダンサーの吉開菜央が、ある女の姿を借りた「シャドウ(影)」という存在を演じ、まるで歴史そのものであるかのような姿で随伴する。
鼓膜がうち震えるほどの爆音の音響設計と、時折、漆黒の暗闇に揺れる色とりどりの眩い光がドキュメンタリーという枠を遥かに超え、我々の既成概念をぶち破る力強さで疾走していく。
キャスト&スタッフ
監督:小田 香
出演:吉開菜央、松永光雄、松尾英雅
撮影:高野貴子
音楽:細井美裕
プロデューサー:筒井龍平、杉原永純
共同製作:シネ・ヌーヴォ、ユーロスペース、ナゴヤキネマ・ノイ、札幌文化芸術交流センターSCARTS、豊中市立文化芸術センター
(2024年、日本、上映時間:83分)
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:ユーロスペース+スリーピン
2025年3月1日(土)、ユーロスペースほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)