登壇者:中島健人、milet、桐谷健太、風吹ジュン、三木孝浩監督
映画『知らないカノジョ』完成披露試写会が1月22日(水)、東京・イイノホールで行われ、主演の中島健人、共演のmilet、桐谷健太、風吹ジュン、メガホンをとった三木孝浩監督が登壇した。
大学時代に出会い、お互い一目惚れして結婚した<リク>と<ミナミ>。それから8年、小説家を目指していたリクは、歌手の夢を諦めたミナミのサポートのかいもあり、一気に人気のベストセラー作家となった。すべてがうまくいっている、そう思っていたリクだったが、喧嘩をしたある日の翌朝、2人が出会わなかった世界が始まった――というストーリーが展開されるファンタジック・ラブストーリーとなっている。
オープニングでは、中島とmiletが客席後方から登場し、大歓声を浴びながら客席の合間をぬってステージに登壇。
一変した世界で大切な人を取り戻そうと奔走し、“本当の愛”を知っていく主人公・神林リクを演じる中島は「僕の劇場映画に出てきた人生の中で、こんなに愛で笑い、愛で泣いたことは初めてだと思います。『知らないカノジョ』からあふれ出る“誰かを思う大切さ”を皆さんにお届けしたいと思っています」と挨拶し、ヒロインの前園ミナミを演じるmiletは「私自身、初めての映画挑戦になりました。その映画がこんなに愛であふれて、三木監督、そして中島健人さん、皆さんに囲まれてとても温かいスタートを切ることができて、とても嬉しく思います」と笑顔で語った。
また、本作への参加で1つの大きな夢が叶ったという中島は「ついに念願の三木組に入ることができました」と目を輝かせ、三木監督も10年前から中島と仕事をしたかったと明かすと、中島は「光栄です。ずっと憧れていて、三木さんに俳優としてのナチュラルな部分を引き出していただきたいなと思っていたので、今回の機会をいただけてとても幸せでした」と喜びを口にした。
一方、三木監督は、ファンも知らない中島の姿を引き出したいと思っていたそうで「パブリック・イメージ的にはパーフェクト・アイドルなんですけど、弱さだったり素の中島健人ってこんなにキュートなんだっていうところがたっぷり撮れていると思うので、ぜひそこを見ていただきたいなと思います」とアピールし、中島は「ナチュラルな部分が赤裸々に切り取られているので、正直、見られるのが恥ずかしいです。(本作を観た際に)俺ってこんな表情していたんだって。すっぴんを見られるくらいの恥ずかしさがありました」と照れ笑いを浮かべつつ、「自分のありのままをしっかりと表現したので、どういうふうな印象を受け取ってもらえるか分からないんですけど、自分の中では見たことがない自分に辿り着けた気がするし、それが自分の素だったのかもしれないので、それを三木監督に引き出してもらえて嬉しかったですね」と声を弾ませた。
そして、シンガーソング・ライターのmiletは、役者としての出演オファーをどう受け止めたか尋ねられると「最初は主題歌のお話かなと思ったら出演側だったので、こんなことがあるんだと思いました。最初は不安な気持ちもあったんですけど、三木さんの大きな船に乗りたいと思って、前に一歩踏み出す勇気を三木監督がくださったので、怖いものはないと思ってその船に乗りました」と回顧し、撮影の約1年半前から演技のレッスンを受けるなど、準備をしたそうで「こんな経験ができると思っていなかったので、歌手としての人生の“もしもの世界”は、私にとってはこっちかなと思いました。新しいmiletを見ていただけるなと思いましたし、私もミナミを通して新しい人生を見つけることができて、今までにない経験をさせていただけたなと思います」と感慨深げに語った。
miletは主題歌『I still』や劇中歌『Nobody Knows』の制作に加え、劇中では歌唱シーンにも挑戦したが「今回はミナミとしての曲を作りたいと思ったので、ミナミと一緒に曲を作っているような気持ちでした。1人だったら作れなかった感情の波とか、言葉をミナミが引き出してくれたなって思います」と目を輝かせ、「1人で作るよりももっと大切な曲になったし、それをスクリーンの中で歌うことができて、リクだったり大切な人に届けることができて、この歌はmiletのものではなくて、もっといろんな方にとっての大切な曲になっていくんじゃないかと思いました」と期待を寄せた。
そんな曲について、中島は「何度聞いても涙腺を緩まされるというか、今回の『I still』に関してはミナミというフィルターを通して制作されているので、よりイノセントで違った形で耳に入ってくるというか、撮影中、何度も心を揺らされ、涙した記憶があります」と大絶賛すると、miletは「嬉しい!」と大喜びした。
リクの親友で先輩の梶原恵介を演じる桐谷は、『ソラニン』『くちびるに歌を』に続いて三木監督作品に3度目の出演となり、中島とは『ラーゲリより愛を込めて』で一緒になり親交が深いそうで、三木監督は「健太兄貴は本当に頼れる」と舌を巻き、中島は「僕のパーソナルな部分をプライベートでもお話ししている兄貴なので、逆に作品の中でもウソのない感情で接していて、セリフもナチュラルに会話できたし、キリケンさんに会えるというのが嬉しかったです」と笑顔を見せた。
改めて、本作へのご出演が決まった際の心境を聞かれた桐谷は「『どうやら最初のほう、大学生(役)らしいで』って! 大学生は“もしも”というより“まさか”と思いましたね」とコメントして会場の笑いを誘い、「フタを開けたら4浪をしている設定になっていましたが、やりがいがあるなと思いましたよ。堂々と大学生をやらせていただきました」と胸を張った。
ミナミの祖母・前園和江を演じた風吹は、本作を見て「感動で涙が止まらなかった」と絶賛し「役者陣からの三木監督の人気の高いこと。1度出演すると、またお会いしたいって思う監督ですから、本当に素敵な現場でした」と話した。中島とmiletとは初共演だったそうで「素敵な2人と出会えて、ミナミとリクがかわいくて幸せな時間でした」と目を細め、2人の演技については「素晴らしいんですよ。(miletが)演技の勉強をされたって初めて聞いて、必要なかったんじゃないかってほど素晴らしい、女優さんでした!(中島は)誠実な演技をされていて、キャラクターとご本人のイメージが違う部分がいっぱい表現されているので、観ている方には手応えがあるんじゃないかと思います。違う中島さんを見た感じです」と称えた。
さらに、現場で印象に残っていることを聞かれた三木監督は「ラブストーリーって、主人公とヒロインの相性を大事にしているんですけど、2人ともアーティスト活動をしているので、共鳴し合う部分がすごく多くて、序盤にデート・シーンからスタートしたんですけど、そこから息がぴったり合っていて、ずっとデート・シーンを撮っていたいなって思いましたね(笑)」と振り返り、その裏話に対して中島も「2人でいい感じにアンサンブルができた気がしたよね」と言い、miletも「本当にそうでした。私はセリフを言うのが不安で仕方がなかったので、アドリブだけで演じられるシーンがいくつもあって、そこでお互いの波の高さを揃えられた気がして、あれが序盤にあって救われました」と安堵した。
また、中島が行き詰まってしまう場面があったそうで、中島は「三木監督がほしい表情がなかなかできなくて僕も困っていて、本番の直前まで悩んでいたらmiletちゃんから直前に『リク、私たちは愛し合っていたんだよ』って言われて、『本番、ヨーイ!』で号泣しちゃって、すごい魔法の言葉を持っていて、とてつもないお芝居の力を目の当たりにして、(miletと)いい演奏ができた気がしますね」と満足げな表情を浮かべ、miletは「すごくきれいな涙でした。大好きなシーンです」とおすすめした。
本作のタイトルにちなみ、共演者同士の知らないタレコミを暴露し合う企画が行われ、“撮影中強制退場!”とタレコミをした三木監督は、最後のミナミの歌唱シーンのリハーサルで、中島を会場から退場させたと明かし「ミナミが登場しただけで(中島が)もうウルウルしてるんですよ。これは本番前なのにやばいぞってなって『出ていって』って言いました」と説明すると、中島は「僕が感情移入をしすぎたせいで、ミナミを見るだけで泣いてしまうような状態でしたので、一旦帰されました(笑)。家に帰ってから気持ちを作りなおして、本番に挑んだんですが、涙の調節が大変なくらい、歌の力で涙を引き出されてしまっていました」と語った。
続いて、“アドリブでチュー?”とタレコミを暴露した桐谷は「タレコミも何もしっかり本編に映っているんですけど、僕が演じる梶原がいい案を出して、リクが喜ぶというト書きだったんですけど、(中島に)テストからいきなりチューされて、大胆な子だなって思いました。初めましてだったら遠慮してできないと思うので、健人との普段の間柄も映像にいいふうに反映されたんじゃないかなと思います」と手応えをにじませ、中島は実は事前に三木監督には伝え、OKをもらっていたそうで「突然のキスになってしまってすみません」と桐谷に謝罪した。
そして、“行きつけがまさかの一緒”とタレコミを暴露したmiletは「撮影中にお話しして発覚したことだったんですけど、風吹ジュンさんと私の行きつけのスーパーが一緒だったんです」と明かし、「私もほぼ毎日のように行っているスーパーで、1度もお見かけしたことはないんですけど、それを知ってすごく嬉しかったですし、おかげで地元トークがかなり盛り上がりました」とほっこりエピソードを披露した。
さらに、“走るの早すぎ!誰も追いつけない”とタレコミを暴露した中島は「アクション超大作みたいな劇中劇があって、全力疾走をするシーンがあるんですけど、想像の1000倍(miletの)足が早い」と目を丸くして会場を沸かせ、「同じタイミングで走ってみたら本当に早くて、ちょっと本気を出したんですけど競ってくるから“強っ!”って。運動神経がよくてすごいなと思いましたし、ああいう走り方をするのはmiletかトム・クルーズくらいです(笑)」と舌を巻いた。
イベント終盤では、ある日突然“もしも”の世界へと変わってしまう本作の内容にちなんで、ステージ装飾が一瞬で早変わりする演出も行われ、中島の合図とともに横断幕が落とされ青からピンクに変化した背景をバックにフォトセッションが行われた。
最後に、miletは「初挑戦の映画が三木監督のこの作品で本当によかったなと思っています。ミナミという役を通して、大切な人がそばにいるって当然じゃなくて、かけがえのないことなんだって思わされました。皆さんがもしもの世界に飛び込んだときに、どんな行動をして、どんなふうに人を大切にするのか考えながら観ていただきたい作品になりました」とメッセージを送り、中島は「映画人生の中で10本目の作品となります。三木監督の作品でご一緒できて、念願叶って夢を叶えることができて嬉しいです。普段気づけない大切な何かが分かる愛情あふれた作品になっております。皆さんの心の奥底に届きますよう、僕も思いを込めているので、ぜひ愛してください」と呼びかけた。
公開表記
配給:ギャガ
2月28日(金) 全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)