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『ただいま それぞれの居場所』『ケアを紡いで』の大宮浩一監督の最新ドキュメンタリー映画『そして、アイヌ』が完成、2025年3月15日(土)から[東京]ポレポレ東中野、[大阪]第七藝術劇場ほかにて劇場公開する。
大久保にあるアイヌ料理店「ハルコㇿ」店主で、アイヌ文化アドバイザーの宇佐照代さんを中心に、アイヌのみならず、在日コリアン、被差別部落といった今なお根強い差別や偏見の問題、そして世代などを飛び越え引き継がれていく大切な文化や想いを映し出した。より多様になってくるであろうこれからの未来のためのヒントが詰まった作品だ。
この度、本予告編が完成した。宇佐照代さんが奏でるムックリの音色に、奈良美智さんはじめ出演者の言葉が重なっていく。
さらに、公開に先立ち作品を観たアイヌ民族にルーツ持つ俳優・劇作家の宇梶剛士、『小さいおうち』で直木賞を受賞、『長いお別れ』『やさしい猫』など映像化作品も多い小説家の中島京子、『福田村事件』『FAKE』の映画監督、作家の森 達也ほか、フォトジャーナリストの安田菜津紀、音楽家・文筆家の寺尾紗穂、ブロードキャスターのピーター・バラカン、文筆家・イラストレーターの金井真紀、映画研究者の三浦哲哉、翻訳者・ラジオパーソナリティのキニマンス塚本ニキ、北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授の石原真衣から絶賛コメントが到着した。
コメント
宇梶剛士(俳優・劇作家)
悲しみを見つめたことのある人が、優しさを知る人となる。アイヌ語で「アイヌ」は「人間」という意味。この言葉に自分を問われながら生きてきた。アイヌ(人間)とは?「そして、アイヌ」に登場する人たちの穏やかな顔、顔、顔につられて、僕も微笑んだ。
中島京子(小説家)
オープニングの口琴の調べに、まず心をつかまれる。縄文文化につながるアイヌの伝承、ニュージーランドの先住民マオリとの類似性、朝鮮音楽継承者たちとの連帯など、時間も空間も縦横につないでいくアイヌの存在が圧倒的。偏見の中、力強く文化を守ってきた女性たちの歴史にも魅了された。「ハルコㇿ」で、奈良美智さんが食べる鮭チャーハンがなんともおいしそうだった。
安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)
「痛みに時効はない」――照代さんが語った言葉が、心の中を巡り続ける。「差別なんて過去でしょ」と決め込む前に、人の姿に、声に、この映画を通して触れてほしい。
寺尾紗穂(文筆家・音楽家)
白い服をきて日本語のおかしな祖母を恨んだと在日の音楽家が語る。
軽んじられる側の苦しみを、世代間にいつの間にか生まれる断絶の悲しみを同化を強いる側は想像できない。
アイヌと銘打たれるもアイヌばかりの話ではない。
帝国日本統治下のあちこちの植民地で、アイデンティティの苦悩は生まれた。
その一つひとつ、等しく耳を傾けられるべきものだが、せめて最も近しい隣人たちの悲しみを想像する人間性を保てよと、映画は伝える。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
アイヌ語で言うアイヌは「人間」という意味です。
この映画はアイヌに関するものであると同時に、植民地主義、同化政策、文化の抑制など、普遍的に響く負の歴史に触れるところが多いです。それでも、差別を受けながらも今尚力強く生き延びるアイヌの儀式、文様、歌などの文化はここにあります。
キニマンス塚本ニキ(翻訳者・ラジオパーソナリティー)
ムックリの音色やトンコリの旋律、照代さんのヤイサマがすーっと身体に染み込む感覚がたまらなく心地よい。
奪われた物語を取り戻し、かき消された声を響かせる人々の祝いと抵抗に胸が震える。
先祖から受け継いだものを偽らずに語り、愛せることが「特権」であってはならないと気づかされた。
森 達也(映画監督、作家)
差別の根源は何か。多数者が少数者を標的にする。それは群れることをDNAに刷り込んだ人の性サガ。ある意味でなくならない。でも減らすことはできる。どんな人たちなのか、どのような文化でどれほどの差別や迫害を受けてきたのか、それを知ること。見ること。聴くこと。 大宮浩一監督はアイヌを軸に、被差別部落や在日コリアンなど、多くの被差別者たちにフォーカスする。ムックリの音色がずっと消えない。多くの人に観てほしい。
じょいっこ(セカイめし愛好家)
難しいことじゃない。
料理を食べて文化を知る、それだけで民族間の垣根は消える。その先にあるのはきっと差別や争いのない優しい世界。
金井真紀(文筆家・イラストレーター)
舞台は東京の片隅にある小さなアイヌ料理屋さん。そこからどんどん広がって「ないもの」にされてきた人たちがつながっていく。被差別部落の人、旧植民地の人、世界の先住民……。あぁ、みんな笑顔で歌っているのに、観ているこちらはなんだか涙が出る。
三浦哲哉(映画研究者)
アイヌは「人間」という意味だ。私たちのすぐそばで暮らし、自文化の風を今も吹かせている。その風は、ムックリの音となり、踊りとなり、郷土料理の匂いとなり、いくつもの他民族文化と反響し合いながら、この国のさまざまな街をカラフルに彩っている。この事実に気づかせてくれる本作の貴重さは計り知れない。
石原真衣(北海道大学 アイヌ・先住民研究センター 准教授)
1997年のアイヌ文化振興法以来、「アイヌ文化」は脱政治化され、多数派(和人)のエンターテイメントを担わされた。国や社会がアイヌ文化伝承を称揚する裏側には、「抵抗運動はさせねーぞ」という根性がすけてみえる。集団としての人権の回復と、先祖から引き継いできた文化を大事にすること。断絶されたふたつを、照代さんがつなぎ、文化は集団としての権利回復の糧になる。「痛みに時効はない」と照代さんはいった。問われているのは京都大学だけではない。日本の社会で今日までずっと収奪と差別を傍観してきた一人ひとりの日本人でもある。照代さんのまなざしと言葉に、あなたはこたえる言葉をもっているか。
企画・監督:大宮浩一監督メッセージ
宇佐照代さんのお話や活動を通してたくさんの事を学ばせてもらいました。また、奈良美智さんや太田昌国さんはじめ、照代さんの友人の方々にもグイグイ惹き込まれました。それは、大文字の情報で解ったつもりでいたアイヌや在日コリアン、民族やアイデンティティ、マイノリティについて具体的に個人史として語ってもらえたからだと思います。
本作をご覧いただき、ますます“多民族国家ニッポン”になるであろう近い将来へ向けて希望のヒントを探っていただければ本望です。
プロフィール
1958年、岩手県生まれ。映画監督、企画、プロデューサー。日本大学芸術学部映画学科在学中より、映像制作に参加。原 一男監督『ゆきゆきて、神軍』(87)、太田圭監督『アラカルト・カンパニー』(87)などで助監督を務める。その後、フリーの演出家として博物館等の展示映像をはじめ、CM・VP・教育映画などを制作。93年、(有)大宮映像製作所を設立。主な企画・プロデュース作品に、宮崎政記監督『よいお年を』(96)、『青葉のころ よいお年を2』(99)、山本政志監督『JUNK FOOD』(98)、長崎俊一監督『DOGS』(99)、鈴木敏明監督『踊る男 大蔵村』(99)など。 2010年『ただいま それぞれの居場所』を企画・製作・監督。介護保険制度導入から10年を経た介護福祉の現場を映し、平成22年度文化庁映画賞<文化記録映画大賞>を受賞。同年、『9月11日』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2011〈ニュー・ドックス・ジャパン〉で上映。つづく『無常素描』は震災後に制作されたドキュメンタリー映画としてもっとも早く2011年6月に劇場公開し、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011<ともにある Cinema with Us>他、ニューヨーク、パリ、ロンドンなど国内外で上映される。ほか、『季節、めぐり それぞれの居場所』(12/第36回山路ふみ子映画賞〈山路ふみ子福祉賞〉受賞)、『長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ』(13)、『石川文洋を旅する』(14/SIGNIS JAPAN(カトリックメディア協議会)<シグニス平和賞>受賞)、『夜間もやってる保育園』(17)、『島にて』(19)、『ケアを紡いで』(22)とこれまで9本のドキュメンタリー映画を監督。
イントロダクション
東京・大久保にあるアイヌ料理店「ハルコㇿ」。
想いを引き継ぎ、人々が繋がる―― この場所で見つけた、これからの私たち
東京・大久保に賑わう一軒のアイヌ料理店があります。お店の名前は「ハルコㇿ(HaruKor)」。アイヌのことばで「食べ物(穀物)・持つ」を指し、「食べ物に困らないように」という願いがこめられています。店主は宇佐照代さん。アイヌ文化アドバイザーとして若い世代へ舞踊や楽器演奏などの伝承活動も行う照代さんは、小学生のころに生まれ育った釧路を離れ、母と5人きょうだい全員で東京にやってきました。2011年にオープンしたお店には多様なルーツをもつ人びとが国内外から訪れ、味わい、繋がる場となっています。
ハルコㇿの成り立ちには、長いあいだ関東在住アイヌの居場所づくりに奔走していた照代さんの祖母や母の想いがありました。2019年にようやく先住民族としてアイヌが法律に明記されたものの、取りまく偏見や差別がなくなったとは言い難い現実があります。映画は、照代さんの曾祖母から子に至るまでの家族のライフ・ヒストリーを紐解きながら、アイヌと出会った人びと――美術作家・奈良美智さん、評論家・太田昌国さん、写真家・宇井眞紀子さん、朝鮮/韓国民謡奏者・黄秀彦さん、カムイノミ祭司/縄文造形作家・平田篤史さんたちの活動を道しるべに、文化の継承とアイデンティティ、開発と多様性、植民地主義と人権といった問いに向き合っていきます。
監督は日本社会の多様なコミュニティのあり方に眼差しを向け続ける大宮浩一。「出会い、知り、気づき、伝えること」を実践している人びとの姿。照代さんの奏でるムックリ〈口琴〉の音色に導かれるように、互いをいがみ合うことに慣れてしまった現代の先を照らす旅がはじまります。
(2024年、日本、上映時間:96分)
キャスト&スタッフ
企画・監督:大宮浩一
出演:宇佐照代、宇井眞紀子、黄秀彦、太田昌国、平田篤史、奈良美智、関根美子、表美智子、ルイノ、HIRO
撮影:常田高志、辻井 潔、遠山慎二、田中 圭、伊藤 寛、伊東尚輝、北川帯寛、岩爪 勝、大宮浩一
編集:田中 圭
編集協力:遠山慎二
整音:石垣 哲
カラーコレクション:福井崇志
製作:大宮映像製作所
ギャラリー
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オフィシャル・サイト(外部サイト)
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公開表記
配給:東風
3月15日(土)より[東京]ポレポレ東中野、[神奈川]横浜 シネマ・ジャック&ベティ、[大阪]第七藝術劇場、[京都]京都シネマ、ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)