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1972年ミュンヘン・オリンピックで起きた人質テロ。オリンピック史上最悪の事件として、今もなお語り継がれている歴史的な1日をTVクルーたちの視点で描いた『セプテンバー5』が、2025年2月14日(金)より公開となる。
その日、全世界がテロの脅威と対峙した――
日本人選手のメダルラッシュに沸いた、パリ2024夏季オリンピック。そのオリンピックの長い歴史の中で、今なおオリンピック史上最悪の事件として語られる、1972年9月5日にミュンヘン・オリンピック開催中に起きた、パレスチナ武装組織「黒い九月」によるイスラエル選手団の人質事件。本作は、世界が注目する事件を突然生中継することになったTVクルーたちの視点で、事件の発生から終結までの1日を90分間ノンストップで描き切る。エスカレートするテロリストからの要求、錯綜する情報、冷戦下であるため機能しない現地警察……。刻一刻と人質たちの命の危険が迫る中、極限的な緊張下に置かれたクルーたちの<圧倒的緊迫感>を追体験する、新たな傑作映画が誕生した。
放送のルールが未だ明確化されていない時代。全世界が生中継を通して、初めてテロリズムの脅威を目の当たりにしたその日、<報道の自由><報道される被害者の人権><報道がもたらす結果の責任>といった、現代社会を生きる私たちにも通じる問いが投げかけられる。
また批評家からは「すべてのレベルで傑作」「今年最高の緊迫感 今年最高の作品」と圧倒的な称賛を受け、米映画レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家スコアが93%、観客スコアが91%(※)のスコアを得ており、先日発表された第97回アカデミー賞®では脚本賞にノミネートされた。(※2025年2月9日現在)
メディアでの拡散を強く意識した現代のテロリズムや、SNSの普及で誰もがメディア化した現代社会において、報道の自由とその責任の在り方を描いた本作は、今まさに観る者を引き付け、問いを投げかけてくる力強い作品となっている。
監督・脚本は、新鋭ティム・フェールバウム(『HELL』12)。さらにキャスト陣には、ピーター・サースガード(『ニュースの天才』04)、レオニー・ベネシュ(『ありふれた教室』24)、そしてジョン・マガロ(『パスト ライブス/再会』24)ほか、名優の呼び声高いバイプレイヤーたちが集結した。
史上最も衝撃的なオリンピック報道の裏側に迫る!
ジョン・マガロ、ピーター・サースガード、レオニー・ベネシュ、ベン・チャップリンといった実力派キャストが集結し、ショーン・ペンがプロデューサーを務めた映画『セプテンバー5』。本作は、1972年のミュンヘン・オリンピックで発生したパレスチナ武装組織「黒い九月」に襲撃されたイスラエル選手団11人が犠牲になったテロ事件を題材に、ABCテレビのオリンピック中継クルーの視点から描いた衝撃の社会派映画。緻密な脚本と重厚な映像で圧倒的な緊迫感を描き出し、本年のアカデミー賞®脚本賞にノミネートされている。
その中心人物となるのが、当時ABC中継のコーディネーション・プロデューサーだったジェフリー・メイソン(84)。32歳にして、スポーツ報道の枠を超えた歴史的な報道の最前線に立たされた彼は、どのように事件と向き合い、何を感じたのか。主人公のモデルとなったメイソン本人が、当時の緊迫した状況と、本作への思いを語った。
「人生最大の大勝負だった」
「人生で最も重く、大変な仕事になる」という覚悟
「ミュンヘンに入る前、私たちは入念な準備をしていました。しかし、まさかオリンピック中継がテロ事件の生中継へと変わるとは、夢にも思っていませんでした。あの日、事件が起きた瞬間に感じたのは、『これは人生で最も重く、大変な仕事になる』という覚悟でした」。
テロ事件は突如として発生し、ABCスポーツ局のクルーは急遽、22時間に及ぶ生中継を実行することとなった。その中でメイソンが痛感したのは、想像したことないほどの報道の責任の重さだった。
「私たちの生中継の映像を見ていたのは、一般の視聴者だけではありませんでした。人質になった選手の家族も、自宅の居間で事件の推移を見守っていたのです。そのことを知ったとき、私は自分たちが担うべき責任の重みをまざまざと実感しました」。
さらに、報道が事件の進展に与える影響の大きさにも直面することになる。報道の自由と安全確保のバランスを取る難しさを思い知らされたのだ。
「警察から、生中継しているカメラを切るよう指示された瞬間、ハッとしました。私たちの中継は、世界中、誰でも見ることができる。テロリストたちにも見られているかもしれない。これは本当に慎重にならなければと」。
生中継開始から数時間後、ABCニュースが報道を引き継ぐべきかという議論が持ち上がった。しかし、スポーツ部門のトップであるルーン・アーレッジは、断固としてそれを拒否した。
「『私たち以上の報道を、ニュース部門ができるはずがない』とルーンは言いました。私たちは事件現場から100ヤード(約91メートル)も離れていないところにいました。スポーツ中継に特化した数十人ものチームでした。その状況を考えれば、ニューヨークにいるニュース部門よりも、私たちが続けるべきだと判断したのです」。
結果として、ABCスポーツ部門は22時間にわたり事件を生中継し、歴史に残る報道を成し遂げた。
本作が描く「人間の物語」
『セプテンバー5』は、真実を追い求めた者たちの証言
メイソンは、本作の脚本を初めて読んだときの衝撃を振り返る。
「当初は、事実を並べただけの単なるテロ事件の記録映画のようなものかと思っていました。しかし、脚本を読んで驚いたのは、非常に深くリサーチされていることと、そこに描かれていたのが『人間の物語』だったことです。事件の背景や経過だけでなく、私たちが目の前の出来事にどう向き合い、何を感じたのか。私たちの心情が深く描かれていることに感心しました」。
さらに、本作の意義についてこう語る。
「私は自分の目で見たことを語れる数少ない一人です。あの日、中継スタジオにいた人のほとんどは亡くなってしまって、もういません。だからこそ、あの日あの場にいた仲間たちの目と心を通して伝えることができるこの機会は、私にとって特別なものです。『セプテンバー5』は、9月5日に何が起きたのかを忠実に描く物語です。事件が次第に大きな悲劇へと発展していく中で、私たちは手元の技術を駆使し、正確な報道を目指して奮闘しました」と確信を持って本作を語った。
生中継を阻止しようと警察が乗り込んでくる!
世界中の9億人が歴史の目撃者となる本編映像を解禁!
メイソンの証言にもあった、生中継を中止させるために警察が乗り込んでくる本編映像を解禁!
自分たちでこの事態を世界中に生中継すると決めたスポーツ局のクルーたち。スタジオにあったカメラを外に持ち出し、テロリストたちが立てこもる選手村にカメラを向けた。すでに2人が殺害され、まだ9人が人質になっている。しかし、彼らはある重大なことに気付く。選手村のテレビは、どの国際放送も見られるようになっているため、ABCも例外なくテレビに映し出されるのだ。スタジオに一気に緊張感が走る。テロリストたちが潜む部屋の窓をズームすると、カーテン越しにテレビの光がちらついていた。「……奴らも生中継を見ている? 警察の動きが筒抜けじゃないのか!?」
程なく、警察無線がスタジオにも入ってくる。警察も同様に生中継を見ていたのだ。「ABCの放送を止めろ!」という声とともに、スタジオに警察がなだれ込んで来た……。
メイソンは現在のメディアの在り方についても語っている。
「今は業界全体が、情報を発信する責任をより理解するようになったと思います。テレビにおけるスポーツ中継は、基本的に生放送です。ということは、何が起こってもおかしくない。だからこそ準備が肝要であり、今はその教訓が活きています。私たちは正直に真実を追求し、徹底した報道を行う責任がこれまで以上にあります。『セプテンバー5』は、事件の真相を伝えるだけでなく、それが描けていると確信しています」。
「正直であれ。正確であれ。そして正しいことをする」とメイソン自身が語り、1972年9月5日が彼の仕事に対する姿勢に多大な影響を与えたように、『セプテンバー5』は、あの日の出来事の影響が今日までマスコミ全体に続いていることを明確に示している。情報を発信する側の責任とは何かを問いかけるとともに、膨大な情報が飛び交う中で生きる現代の私たちが「何を信じ、どう選択していくべきか」、メディアや情報に対する向き合い方を深く問いかける作品でもある。
公開表記
配給:東和ピクチャーズ
2025年2月14日(金) 公開
(オフィシャル素材提供)