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長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞し、同年のアカデミー賞®日本代表として選出、第63回テッサロニキ国際映画祭で、最優秀監督賞ほか3冠を受賞。第16回アジア・フィルムアワード、中国最高賞と言われる第35回金鶏奨、第58回シカゴ国際映画祭他、世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた早川千絵監督の最新作『ルノワール』が、本年6月20日(金)より全国公開することが決定した。
前作『PLAN 75』では、高齢化社会が深刻化した近い将来の日本を舞台に、75歳以上の高齢者に生死の選択を迫る衝撃的な物語を描き、現代人に激しい警鐘を鳴らした早川監督。生きることを問いかける力強いメッセージが、多くの観客の胸を打ち、日本国内では第65回ブルーリボン賞 監督賞&主演女優賞、第77回毎日映画コンクール 脚本賞、第46回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞&優秀脚本賞を受賞するなど、同年の映画賞を総なめにした。
最新作『ルノワール』は、日本/フランス/シンガポール/フィリピン/インドネシアの国際共同製作作品。各国の映画祭・映画人も注目する早川監督の最新作が世界を舞台に動き出す。
本作で綴られるのは、日本がバブル経済真っ只中だった80年代後半の夏、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女・フキの物語。マイペースで想像力豊かなフキは、空想にふけりながら、それぞれに事情を抱えた大人たちと触れ合う。子ども特有の感情を細やかに描写すると共に、フキが関わる大人たちの人生のままならなさや、人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出す。観る者は、自分にも覚えのある子どもならではのひりひりとした感情と、今の自分に似た大人たちの孤独や痛みに共感し、激しく心を揺さぶられるだろう。
早川監督は本作の解禁に際し「うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。そこに“哀しい”が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています」とメッセージを寄せた。
主人公・フキを演じるのは鈴木 唯。役柄と同様11歳だった彼女は、多数の候補者の中からオーディションで主演に大抜擢された。真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、スクリーン一杯に広がる彼女の瑞々しい演技に誰もが心奪われる。フキの母・詩子役に石田ひかり、父・圭司役にリリー・フランキーと、数々の映画賞を受賞してきた名優に加え、フキが出会う大人たちには、中島歩、『PLAN 75』に続き河合優実、坂東龍汰ら大ブレイク中の若手実力派俳優陣が出演する。
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本作は24年7月~9月に国内にて撮影、11月には海外で撮影が行われ、現在ポストプロダクション中。世界を照準にした2025年渾身の日本映画『ルノワール』に引き続きご注目いただきたい。
[早川千絵/監督・脚本]
コメント
うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。
そこに「哀しい」が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。
子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、
この映画を観た人の心に触れることを願っています。
プロフィール
短編『ナイアガラ』が2014年第67回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門入選、ぴあフィルムフェスティバル グランプリ受賞。2018年、是枝裕和監督総合監修のオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一編の監督・脚本を手がける。その短編から物語を再構築した初の長編映画『PLAN 75』(22)で、第75回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督)特別賞を受賞し、輝かしい才能が世界から注目されている。
[鈴木 唯/沖田フキ役]
コメント
映画『ルノワール』でフキを演じた鈴木 唯です。映画の主演が決まったときは、「え!? 本当!」と、とても驚きました。フキは不思議な感じの子で、演じることは大変でしたが、撮影はとても楽しかったです。早川監督とみんなで一緒に作った映画『ルノワール』に、少しでも興味を持ってもらえたらとても嬉しいです。
プロフィール
2013年生まれ、埼玉県出身。『ふれる』(24/高田恭輔監督)で映画初出演にして初主演し、期待の演技派俳優として注目されている。主な出演作は、『ここで吸っちゃダメ!』(24・短編/山口景伍監督)、『3月11日』(24/遠藤百華監督)、『少年と犬』(25年3月20日公開/瀬々敬久監督)がある。
[石田ひかり/沖田詩子役]
コメント
ずっと楽しみにしていた『PLAN 75』を、初日の初回で観ました。あの時の衝撃は、今でもいくらでも話すことができるほど、くっきりと心に残っています。監督に直接、その想いを伝えることが出来ただけで満足でしたが、「早川組」の一員として過ごした日々は、本当に夢のようでした。終わって欲しくなくて、始まってもいないのに、クランクインが来て欲しくないと思った作品は初めてです。
日本語と英語、フランス語とジョークが飛び交う、楽しくおしゃれで刺激的な現場でした。娘役の唯ちゃんは、どの瞬間も純粋でなに色でもなく、教えられることがたくさんありました。夫役のリリーさんは、減量を続けながらの撮影で本当に大変だったと思いますが、控え室でも現場でもとびきり楽しい話をして、私たちをいつも笑わせてくださいました。夢のような気持ちで撮影した作品が、いよいよ皆様の元へ巣立っていきます。多くの方の心に、届きますように。
プロフィール
1972年生まれ、東京都出身。1986年、俳優デビュー。1991年大林宣彦監督作、映画『ふたり』で初出演、初主演を務め数々の映画賞の新人賞受賞。連続テレビ小説「ひらり」(92)でヒロインを演じ、「飛龍伝’94-いつの日か白き翼にのって-」(94)にて初舞台。近年の主な出演作に、ミニドラマ「きょうの猫村さん」(20)、Amazon Original『HOMESTAY(ホームステイ)』(22/瀬田なつき監督) 、映画『ブルーピリオド』(24/萩原健太郎監督)、『九十歳。何がめでたい』(24/前田哲監督)、主演ドラマ「週末旅の極意2」(25)など。公開が控えている作品に『アンジーのBARで逢いましょう』(25年4月4日公開/松本動監督)がある。
[リリー・フランキー/沖田圭司役]
コメント
この少女の一瞬に、美しさと儚さ、生活と時間、脆さと希望。さまざまな星屑がきらめいていて、撮影をしながらも、名作の誕生に携わっている名誉を感じていました。
プロフィール
1963年生まれ、福岡県出身。『ぐるりのこと。』(08/橋口亮輔監督)で、ブルーリボン賞新人賞を受賞。その後『凶悪』(13/白石和彌監督)で第37回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、『そして父になる』(13/是枝裕和監督)では最優秀助演男優賞など多数受賞。第71回カンヌ国際映画祭では、主演を務めた『万引き家族』(18/是枝裕和監督)がパルムドールを受賞。近年の主な出演作は、主演を務めた『コットンテール』(24/パトリック・ディキンソン監督)、『ちひろさん』『アンダーカレント』(23/今泉力哉監督)、『アナログ』(23/タカハタ秀太監督)、『ファーストキス 1ST KISS』(25/塚原あゆ子監督) など。
[中島 歩/御前崎透役]
コメント
昨年の恐ろしく暑い夏の撮影を振り返ると、はじめに早川さんの姿や声が思い浮かびます。
僕は彼女が感じている世界の一部であったように思えてくるのです。
懐かしく寂しく美しい世界に、潜るような映画体験になるでしょう。
ぜひ劇場でご覧ください。
プロフィール
1988年生まれ、宮城県出身。『グッド・ストライプス』(15/岨手由貴子監督)で映画初主演、『サタデー・フィクション』(23/ロウ・イエ監督)で初の海外作品出演を果たす。映画、テレビドラマなど幅広く活躍し、近年の出演作は『偶然と想像』(21/濱口竜介監督)、Netflix『パレード』(24/藤井道人監督)、『四月になれば彼女は』(24/山田智和監督)、東京国際映画祭で東京グランプリをはじめ三冠に輝いた『敵』(25/吉田大八監督)、『恋脳 Experiment』(25/岡田詩歌監督)がある。
[河合優実/北久理子役]
コメント
1日だけの参加でしたが、早川千絵監督の人柄が滲み出ているような、あたたかく、純粋で、細やかな仕事の集まった現場だなと感じました。その中で慎重に、自分にできることをしました。この映画にお力添えできて嬉しいです。まだ完成を観られていないのですが、早川監督の内にあるものから生まれた新たな世界と、鈴木 唯さんのまだ何にも縛られない自由な魂がきっと映っていることと信じています。
プロフィール
2000年生まれ、東京都出身。早川千絵監督とは『PLAN 75』(22)に続く2回目のタッグとなる。主演作『あんのこと』(24/入江悠監督)、『ナミビアの砂漠』(24/山中瑶子監督)での演技が評価され、第67回ブルーリボン賞、第98回キネマ旬報ベスト・テンなどで主演女優賞を受賞。劇場アニメ『ルックバック』(24/押山清高監督)、映画『敵』(25/吉田大八監督)など話題作への出演が続く。公開待機作に、『悪い夏』(25年3月20日公開/城定秀夫監督)、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(25年4月25日公開/大九明子監督)がある。
[坂東龍汰/濱野 薫役]
コメント
早川組に初めて参加させていただき、とても嬉しかったです。今まで経験した現場とは少し違い、いろんな国のスタッフの方々との現場づくりはとても新鮮で刺激的でした。僕は唯さんとのシーンが多かったのですが彼女の持つ不思議な魅力にちゃんと反応できるように、そして現場での状態を柔らかく保てるように心がけました。これからこの映画を観てくださる方々にどのように受け取っていただけるのかとても楽しみです。
プロフィール
1997年生まれ、北海道出身。2017年俳優デビュー。『フタリノセカイ』(22/飯塚花笑監督)で映画初主演を果たし、第32回日本映画批評家大賞で新人男優賞を受賞。近年の出演作に、映画『春に散る』(23/瀬々敬久監督)、『若武者』(24/二ノ宮隆太郎監督)、『シサㇺ』(24/中尾浩之監督)、劇場アニメ『ふれる。』(24/長井龍雪監督)、『君の忘れ方』(25/作道雄監督)、『雪の花 ともに在りて』(25/小泉堯史監督)。ドラマ「ライオンの隠れ家」(24/TBS)での演技が注目を集めた。
ストーリー
1980年代後半のある夏。11歳のフキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は、刺激的だけどなんだか滑稽で、フキは楽しくて仕方ない。だが、闘病中の父と、仕事に追われる母との間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。
(2025年、日本)
キャスト&スタッフ
出演:鈴木 唯
石田ひかり、中島 歩、河合優実、坂東龍汰
リリー・フランキー
脚本・監督:早川千絵
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公式X:https://x.com/renoir_JP(外部サイト)
公開表記
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
6月20日(金)より全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)