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登壇者:橋本 愛、中川大志、臼田あさ美、中村 蒼
映画『早乙女カナコの場合は』の完成披露上映会が都内で行なわれ、主要俳優の橋本 愛、中川大志、臼田あさ美、中村 蒼の4名が舞台挨拶に登壇してクロストークを行なった。
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本作は柚木麻子の小説「早稲女、女、男」を映画化。主人公・早乙女カナコ(橋本)と演劇サークルの先輩・長津田(中川)との大学入学から10年間に及ぶ恋愛模様が描かれる。監督は『ストロベリーショートケイクス』『三月のライオン』などの矢崎仁司。
橋本は金髪ヘアに、フリルがいっぱいついたピンクのワンピース姿で登場。会場から「愛ちゃん、金髪似あってるよ~!」「可愛い~!」の声が飛んだ。橋本は芸能事務所「ソニー・ ミュージックアーティスツ」から「EDEN」に移籍後、初の公の場となった。
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中川には声はかからず、顔の表情で期待を見せると、野太い声で「可愛い!」と声が飛び、中川は満足げな表情でうなづいた。
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鷹野亜衣子役を演じた臼田は真っ赤なワンピース姿がお似合い。「私は愛ちゃんをリスペクトしています。今回作品への姿勢を見てより尊敬の念が湧きました。共演できて良かった」と笑顔で話す。自身の役柄については「しっかりと自分の未来について考えている役で大人パートを担当しているなと思います。もどかしいシーンか多い、切ない役です」と話した。
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帽子を被って登壇した、吉沢洋一役を演じた中村は「僕は橋本さんとは3回目の共演です。地道に(お互いの)距離を詰めてきました(笑)。橋本さんは金髪になって、だいぶ突き抜けたかなぁ~」と印象を伝えた。自身の役柄については「監督からは常に優しく、優しくとい言われました。優しさが人を傷つけることもあります」と意味深発言。
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橋本と中川は本作が初共演となる。共演した感想を聞かれると、男勝りで素直に甘えることができない不器用な主人公を演じた、橋本は「共演するのは、初めてでしたが、作品は前から拝見していました。私と作品に対しての準備の仕方が似ているなと思いました。話していても共有できる話がたくさんあって、同志のような感覚でいられました」と話した。
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カナコの恋のお相手、長津田啓士役を演じた中川は「初共演、嬉しかったです。いつか一緒にお芝居できたらなと思っていた役者さんの一人でした」と話す。「この作品は言語化できない雰囲気を表現していかないといけなかったのですが、そういう感覚が共有できるような感じがありました。同志のような感覚で現場にいられたので、心強い存在でした」と初共演の印象を伝えた。
橋本は自身が演じた早乙女カナコについて、「男性恐怖症がカナコの核にあります。性的な目線を向けられるのを忌避していて、“女性らしい”仕草をそぎ落として“男らしい女性”として自分をカテゴライズすることで生きているような女の子で、周りからどう思われているかの自意識にとらわれて生きています。感情面が複雑でした。長津田と再会するシーンは難しいシーンでした」と話した。
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また、橋本は「カナコと自分は似ている」と言い、「他人からどう見られているのかを常に気にしている。今は落ち着いて、自分を客観視する意味で必要な目線を持っていますが、過去には「こう見られたい」という欲求や恐怖におびえている時期が長かった。カナコを見ていて懐かしいという部分がありました」と話した。
中川は、長津田について「めんどくさい男、プライドは高いし、うんちく男。とっつきにくい男。でも内側はモロくて弱い部分がある。人間味のあるキャラで、そこがチャーミング」と分析。また、同作については「タイトルがすごくいいなと思っています。この映画の世界が普段生きている世界と地続きでつながっていればいいなと思います」と話した。
イベント終盤には作品にちなんで「10年前と変わったこと」について話すコーナーが。
中川は「今、自分みたいな16歳がいたらぶっ飛ばすと思うくらい生意気でしたね」と振り返り、「10年前は完璧にやりたいタイプだったけど、(今は)自分の失敗も許せる範囲が増えたかな。丸くなりました」と話した。
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橋本は「19歳の頃とは違って、私は大変身しました。5~6年前からインドアからアウトドアの生活になって毎年、夏は海、冬は雪山、春は桜、外に出て自然と遊ぶことをやり始めました」と告白。10年前の自分に対しては、「過去の自分はぶっ飛ばしてやりたいけど、どれだけ後悔しても、“頑張っているね!”って、拳を突き合わせて抱きしめてあげたい」とにっこり。
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最後に、中川は「皆さんに寄り添えるような映画になっています」。橋本は「恋愛恋愛したくない恋愛で新しいストーリーになっているんじゃないかなと思います。自分らしく生きるって何なんだろう。自分の人生の主導権を取り戻す映画になっていると思います」と作品をアピールした。
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他の共演者に山田杏奈、根矢涼香、久保田紗友、平井亜門、吉岡睦雄、草野康太、“のん”ら幅広い俳優たちが顔をそろえている。
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:日活/KDDI
2025年3月14日、新宿ピカデリー他全国公開
(オフィシャル素材提供)