
第81回ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、銀獅子賞を受賞し、第82回ゴールデングローブ賞受賞では作品賞(ドラマ部門)、監督賞、主演男優賞(ドラマ部門)を見事獲得した、映画『ブルータリスト』(公開中)。本作で主演男優賞を22年ぶりに受賞したエイドリアン・ブロディが、<2-for-2 主演男優賞>の偉業に加え、5分40秒に及ぶ最長スピーチを披露し、ギネス記録を更新した。
本作は、第二次世界大戦下にホロコーストを生き延び、アメリカへと渡った、ハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)の30年にわたる数奇な半生を、監督・脚本を務めた弱冠36歳の気鋭ブラディ・コーベットが描き出した、215分にわたる壮大な人間ドラマ。
才能にあふれるハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は、第二次世界大戦下のホロコーストから生き延びたものの、妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)、姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)と強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためにアメリカ・ペンシルベニアへと移住したラースローは、そこで裕福で著名な実業家ハリソン(ガイ・ピアース)と出会う。建築家ラースロー・トートのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、ラースローの才能を認め、彼の家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築をラースローへ依頼した。しかし、母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が立ちはだかる。ラースローが希望を抱いたアメリカン・ドリームとはうらはらに、彼を待ち受けたのは大きな困難と代償だったのだ――。
先日開催された第97回アカデミー賞®にて、『戦場のピアニスト』以来22年ぶり2度目の主演男優賞を獲得したエイドリアン・ブロディ。アカデミー賞®主演男優賞において、2度のノミネーションで2回ともに受賞<通称:2-for-2>を果たしたことで、同映画賞史上初の快挙を成し遂げたことも話題のブロディ。<2-for-2>には、過去にルイーゼ・ライナー、ヴィヴィアン・リー、ヘレン・ヘイズ、ケヴィン・スペイシー、ヒラリー・スワンク、マハーシャラ・アリら7名が名を連ねるが、主演男優賞部門においてはエイドリアン・ブロディが史上初となる。さらに、なんと、その受賞スピーチの長さでギネス記録を更新! これまでは1943年に開催された第15回アカデミー賞®、『ミニヴァー夫人』で主演女優賞時のグリア・ガースンが行った5分30秒間のスピーチが最長記録だったが、今回ブロディはスピーチの終了を告げるBGMも制止して、トータル5分40秒に及ぶスピーチを披露したことで、見事(?)82 年ぶりにギネス最長記録を更新したとされている。
現在公開中の本作には、「一寸の狂いもない『映画』としてのデザイン設計に感服」「圧倒的没入感と『映画力』に酔いしれる傑作」「215分、1秒も無駄がない美しいショットの数々にほだされた」「劇伴が素晴らしい」「音響設備の良い大スクリーンで音楽に酔いしれるだけでも一見の価値あり」など、オスカーを獲得した撮影賞、音楽賞に言及するコメントが続々とSNSに投稿されている。また、前半100分上映+15分間のインターミッション(休憩)+後半100分という上映スタイルも話題となっており、「生まれて初めてのインターミッションを経験した!」「休憩があるおかげでお手洗いの心配がない!」「インターミッションがあるので体感的には215分の長さを感じない」など、215分間が丸ごとイベントになる極上の映画体験に歓喜する声が続出! このアカデミー賞®受賞を機に、より多くの人にこの唯一無二の没入を体感してほしい。
第二次世界大戦後、無残にもすべてを奪われた建築家が希望を抱いたアメリカン・ドリーム。見知らぬ土地と異なる文化、その光と影に苛まれながら、家族への愛と建築への情熱をたぎらせ続けた 30年――それは決して平坦な道ではなく、美談にまみれた軌跡でもない。移民として苦境にさらされ、欲望に弱く、孤独にひしがれた一人の男の圧倒的なヒューマニティを肌で感じる215分。その切り拓かれていく半生と共に旅しながら、極上の没入体験を我々にもたらす唯一無二の人間ドラマである。
エイドリアン・ブロディ コメント全文
神様、この恵まれた人生に感謝しています。
まずは、この世界から感じた途方もない愛の数々と、私に敬意と感謝の気持ちを持って接してくれたすべての人々に感謝したいと思います。私はとても幸運です。
ご存じのとおり、俳優という職業はとても儚く、とても華やかに見える職業です。しかし、このステージに戻ってくる特権を与えられて得たことは、ある程度の見通しを持つことです。キャリアのどの段階にいようと、何を成し遂げようと、すべてを失うこともあるのです。今夜のこの舞台を最も特別なものにしているのは、そのことを認識し、大好きなこの仕事を続けて、賞を獲得できることへの感謝の気持ちです。これは「目的地」を意味します。これは、『ブルータリスト』のなかで私が演じたキャラクターが言及していることですが、私にとってはキャリアの頂点を越えて、再出発のチャンスでもあります。そして出来れば、今後の人生20年の間に、このような意義深く重要な役割にふさわしいことを証明できる、重要な機会でもあります。
私は、この仕事を通じて、優雅さと善良さと輝きを放つ素晴らしい人間である他の候補者たちとこの賞を共有したいと思います。
感謝したい人がたくさんいます。できるだけ簡潔に述べたいと思います。
もちろん私たちを信じてくれた製作チーム、多くの友人、この映画に携わった多くの会社(A24、シャープ、フォーカス、ユニバーサルetc)が映画のために美しい精神で尽力してくれたこと、そしてこの素晴らしい作品のなかで私が存在する余地を与えてくれたブラディ(監督)とモナ(共同脚本)。そして、共演者であるガイとフェリシティはとても素晴らしい人です。
私はこの賞を、自分の自尊心だけでなく、私の価値観をも再活性化してくれたパートナーのジョージナとその子どもたちと共有したいと思います。この賞に至るまで、ジェット・コースターのような日々でしたが、私をあなたの人生に受け入れてくれてありがとう。
そして、ジュディ・ベッカー(美術監督)は、本物のラースロー・トート(映画の主人公で建築家)です。あなたこそがこの舞台に上がるにふさわしい。
(ここで終了の音楽が鳴るが)もうスピーチを終わりにしますが、お願いします、どうか音楽を消してください。私はこのスピーチを以前にもやったことがあります(会場大爆笑)。ありがとう、この経験は初めてのことではありません。スピーチは短くします。ひどい結末にはしません。私はここにいる父と母にも感謝しなければなりません。彼らは私に、尊敬と優しさという素晴らしい精神の基盤を築き上げてくれました。父と母はこの夢を追いかける強さを与えてくれました。
私は再びここに立ち、今世界が求める長引く夢を代表しています。反ユダヤ主義の居場所はありません。人種差別にも居場所はありません。より健全で、より幸福で、より包括的な世界を祈ります。過去が私たちに何かを教えてくれるとしたら、それは憎しみを野放しにしないようにという戒めだと思います。
あなたたちを愛しています。あなたたち全員に感謝しています。正しいことのために戦いましょう。笑顔を絶やさず、お互いを愛し続けましょう。一緒に世界を再建しましょう。ありがとう。
公開表記
配給:パルコ ユニバーサル映画
全国絶賛上映中
(オフィシャル素材提供)