
世界で初の長編アニメーション中心の映画祭として、また多岐にわたるプログラムとアジア最大のアニメーション映画祭として、漫画・アニメのクリエイターを数多く輩出してきた“アニメーション首都”新潟にて行われる新潟国際アニメーション映画祭。
第3回新潟国際アニメーション映画祭を2025年3月15日(土)より開催する。
第2回では前回を大きく上回る延べ2万4000人が参加、早くも大きな成長を遂げた。世界から注目されるなかでスタートした長編にフォーカスした国際コンペティション部門は、アニメーションのトレンドを先取りした作品ばかりだ。
第1回に押井 守審査委員長のもとグランプリとなった『めくらやなぎと眠る女』は、2024年6月に日本公開され大変な話題になった。
第2回ではアイルランドの著名なスタジオ、カートゥーン・サルーンからノラ・トゥーミー監督が初来日するなど、世界から多くの映画人が集まった。第3回も世界と日本、そして制作者とファンをつなぐことを目指す。新潟のさらなる盛り上がりにご期待いただきたい。
この度、長編コンペティション部門の審査員をつとめる松本紀子氏のインタビューが到着。温かみのあるキャラクターとコマ撮りアニメーションを得意とするスタジオ・ドワーフでプロデューサーとしても活躍する松本氏から見たアニメーション業界、そしてこの新潟国際アニメーション映画祭の魅力とは?
また、映画祭ではドワーフの特集上映も行う。松本氏と共に西野亮廣氏の登壇も決定! 異色のコラボにご期待いただきたい。
さらに追加上映作品として、未だ衰えることのない人気を誇る『カウボーイビバップ 天国の扉』の上映(3月16日10:00よりTジョイ新潟万代)も決定、現在チケット発売中。
松本紀子氏インタビュー

マヌエル・クリストバル審査員長、クリスティン・パヌシュカ氏とともに長編コンペティション部門の審査に挑む松本紀子氏に、本映画祭の魅力や審査の注目点、またゲストとしても登壇するドワーフ特集について聞いた。
Profile
広告映像業界からキャリアをスタート。1998年の「どーもくん」2003年「こまねこ」が転機となり、ドワーフの立ち上げに参加。タイムレスに楽しめる高品質なコマ撮りのコンテンツの制作で、日本のスタジオとしては、いちはやく配信のグローバル・プラットフォームとの仕事を始めた。Netflixシリーズ「リラックマとカオルさん」(2019)、「リラックマと遊園地」(2022)が話題に。 現在はコマ撮りやキャラクターを強みとしながら、その常識を超え、手法や会社の枠にとらわれない新しい才能や技術を使った作品を企画し、更には日本の枠を飛び越えて制作することを目指している。最新作は堤大介監督(元ピクサー)の短編映画「ボトルジョージ」と、パイロット版で業界の度肝を抜いた「HIDARI」(長編企画進行中)。
Q.新潟国際アニメーション映画祭ならでは、の魅力はどんなところだと思われますか?
「アニメーション」と言ってもジャンルはさまざま。映画祭ごとに、上映作品はいろいろな傾向があるものですが、新潟はプログラムが多彩で、コンペ作品もエンターテインメントとアートがどちらにも偏らずに選ばれているのが魅力的です。どんなアニメーションが好きな方もきっと好きなプログラムがあるはず。そして、そこから新しい作品にも出合うきっかけになるはず、というところです。それはゲストも同じで実にいろいろな国からいろいろなゲストが訪れていて、いろいろな仲間との出会いがあるのも魅力です。
Q.今回のコンペティションではどういった点を重点的に審査したいと思われていますか?
この映画祭の良さである「多岐にわたった作品」群を審査するのが楽しみですが、難しいっ!とも思っています。プロデューサーでの目線での意見、オーディエンスに何を伝える作品であるかということをしっかり考えて話をしたいな、と思います。ただ、視点の違う審査員同士でしっかり話をできそうなこともめちゃくちゃ楽しみです。
Q.世界のアニメーションの現在地をどのようにご覧になっていますか?
時代の変化の速度はますます速まっているので、「現在地」をあまり意識しないように気をつけています。時流は読みつつも、あまりそこに流されないことが大事かな、と。
アニメーションは作るのに時間がかかるので、いま読んだ「いま」が完成するころには「過去」になるのは間違いないので。
Q.日本のアニメーション業界をどのように見ていらっしゃいますか?
日本のアニメーション業界は「アニメ業界」として非常に成熟し、成長し続けていますし、それが世界で認められるものになっていると思います。いま、世界中に「アニメ・ファン」がいる現実は本当に素晴らしいと思います。そこから、労働環境も含めてどのように世界のスタンダードに近づけていくのか。その独自性と魅力を守れるのか、がここからの勝負ドコロだと思います。私もそこで面白く挑戦しながら仕事をしていきたいなと思っています。
Q.ドワーフが目指すアニメーションとは? こだわりはどのようなところでしょうか。
きちんと面白い作品を作ることにこだわっているつもり!です(笑)。
Stop-motionの作品はとかく手法にフォーカスされてしまいがちですが、きちんと面白い物語を魅力的なキャラクターで紡ぐことを大事にしています。
ただ「これがドワーフらしい」みたいなことに囚われないように、常に新しいチャレンジをしていきたいとも思っています。そこもこだわっているポイントかもしれません。
Q.今回の『ドワーフ特集』ゲストの西野亮廣さんとのトークはどんなお話になりそうですか?
西野さんも、いろいろなことをアップデートしている人なので、まさに、いま何を話すべきか相談中です。いままで、いろいろな裏話をしてきましたが、もう少し未来に向けた広い話ができるといいな、と思っています。

Q.昨年夏に行われた広島アニメーション・シーズンでもドワーフが取り上げられていましたし、今大変に注目を集めていることについてどう思われていますか?
ちょうど20周年の節目、そしていろいろな作品のリリースのタイミングでもあったので注目していただけたのだと思いますが、これからも作品から注目していただけるように頑張っていきたいと思っています。アニメーション、特にコマ撮りは作ることに時間がかかり、たくさん作ることが難しいように思われがちなので、そこを打ち破る努力もせねば、そして、たくさんのものをきちんとリリースして行かねば、ですね。
Q.映画祭には多くの若者もかかわってくださっています。アニメーションの仕事を目指す若者たちにメッセージをお願いいたします。
アニメーションは、おそらく国境をまたぐのに一番有利な映像ツールです。それを生業にする面白さを「直接」誰かの話を聞いたり会話したりして感じられるのが映画祭。
ぜひそのチャンスを生かして、いろいろなヒントをゲットしてください!(若者の目線で何を感じたか、ワタシにも教えてください!)
【イベント上映】《ドワーフ特集》 3月18日(火) 18:00より 日報ホール
『ボトルジョージ』

監督:堤 大介(Bottle George/2024年/13分)
お酒の瓶に閉じ込められた毛虫のようなヘンテコリンな生き物ジョージがある日小さな少女と猫に出会う。依存症と家族をテーマにした13分のコマ撮り短編アニメーション作品。
『こまねこのかいがいりょこう』

監督:合田経郎(Komaneko -A New Journey-/2024年/50分)
山のうえのおうちに暮らすこまちゃんはものづくりが大好きなねこの女の子。
いつも自分の心に素直に、そして楽しく暮らしています。ある日、いっしょに暮らす“おじい”から海外旅行の計画を聞き喜ぶこまちゃんですが、友達の“ももいろ”“はいいろ”は連れていけません。はたしてこまちゃんは、大好きな彼らと離れても大丈夫なのでしょうか……? こまちゃんの友情と成長を描く物語。(新作『こまねこのかいがいりょこう』に加え、『こま撮りえいがこまねこ』より、名作との呼び声が高い『はじめのいっぽ』『こまとラジボー』『ほんとうのともだち』の3作とともに上映)
トークゲスト:西野亮廣(『ボトルジョージ』原案・脚本・製作総指揮/CHIMNEY TOWN)、松本紀子(ドワーフ プロデューサー)
国際映画祭の舞台となる新潟市とは
19世紀、海外への窓口となる世界港をもち、北前船の経由地でもある新潟は、江戸を凌ぐ国際的な商業都市でした。また新潟は、多くの著名なマンガ家、アニメ・クリエーター(水島新司、赤塚不二夫、高橋留美子、魔夜峰央、和月伸宏、八神ひろき、しげの秀一、長井龍雪ら)を輩出し、2012年から「新潟市マンガ・アニメを活用したまちづくり構想」を策定、継続的なイベントとして今年度15回を迎える「がたふぇす」や、27回を迎える全国対象の「にいがたマンガ大賞」が開催されています。また、さまざまなジャンルの企画展を開催する「新潟市マンガ・アニメ情報館」やマンガ図書館「新潟市マンガの家」を運営、そして、かつては新潟版トキワ荘「古町ハウス」の設置、首都圏のマンガ編集部による添削会なども実施されており、日本有数の熱烈なアニメ・マンガ都市でもあります。
そして──21世紀、本映画祭に集結したエネルギーを、グローバル・アニメーションの創造へのマグマとし、新潟は世界のアニメーションの首都を目指します。
第3回新潟国際アニメーション映画祭 概要
■会期:2025年3月15日(土)~ 20日(木・祝) 6日間
■名称:第3回新潟国際アニメーション映画祭
Niigata International Animation Film Festival 2025
■主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
■フェスティバル・ディレクター:井上 伸一郎(「月刊Newtype」元編集長)
■プログラム・ディレクター:数土直志(アニメーション・ジャーナリスト)
■ジェネラルプロデューサー:真木太郎(㈱ジェンコ代表取締役)
■映画祭実行委員長:堀越謙三(ユーロスペース代表、開志専門職大学教授)
■副委員長:梨本諦嗚(映画監督、株式会社サニーレイン役員)
■東京事務局長:井原敦哉(㈱ジェンコ/プロデュース本部プロデューサー)
■新潟事務局長:内田昌幸(にいがたアニメ・マンガプロジェクト共同体統括本部長)
■特別協力: 新潟市、新潟日報社、新潟県商工会議所連合会、NSGホールディングス、他
■後援(予定):内閣府知的財産戦略推進事務局、経済産業省、文化庁、新潟県、新潟県教育委員会、他
■助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画祭支援事業)
■公式HP:https://niaff.net(外部サイト)
■公式X:https://twitter.com/NIAFF_animation(外部サイト)
(オフィシャル素材提供)