
登壇者:ジャック・オーディアール監督
ゲスト・スピーカー:冨永 愛(モデル・女優)
本当の自分になりたいと願い女性として新たに生きることを決意したメキシコ最恐の麻薬王と、彼女との出会いで運命を切り開いていく3人の女性たちの姿を名匠ジャック・オーディアール監督がミュージカル仕立てで描いた全く新しい異色の感動作『エミリア・ペレス』。本年度の賞レースを席巻している話題作が3月28日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開となる。
3月28日(金)の日本公開を目前に控え、サンローラン主催 映画『エミリア・ペレス』監督来日上映イベントが開催された。本作の制作を務めるのは、フランスのラグジュアリーブランド サンローランより誕生した映画制作部門サンローラン プロダクション。クリエイティブ・ディレクター アンソニー・ヴァカレロがサンローランのために構想し、ラグジュアリーブランドとして初めて本格的な映画制作を行うことを発表した本部門は、これまでウォン・カーウァイやペドロ・アルモドバル、ジャン=リュック・ゴダールなど世界を代表する巨匠監督とのタッグによる作品を次々と発表。そして、満を持しての長編第一作目となる本作で大躍進を遂げた。
本イベントには、ジャック・オーディアール監督がフランスから来日し、特別ゲストとして登壇。さらに、2002年のイヴ・サンローランの引退ショーでモデルを務めた女優・冨永 愛もゲスト・スピーカーとして参加し、映画の魅力や自身のサンローランとの関わりについて語った。
イベントはMCの挨拶からスタート。ジャック・オーディアール監督と冨永 愛が登壇し、それぞれ一言ずつ挨拶を行った。
冨永は「サンローランプロダクションの映画ということで、サンローランがこのような形で映画制作を手がけていると初めて知り、とても楽しみにしていました。今日はジャック・オーディアール監督がわざわざ日本にいらしてくださったので、たくさんお話を伺うのが楽しみです」とコメント。
監督は「皆さん、こんにちは。東京の観客の皆さんにお会いできて、大変嬉しく思います。本日は、サンローラン プロダクションやアンソニー・ヴァカレロさんとの共同制作についてなど、さまざまなお話をしていきたいと思います」と述べ、久しぶりの来日を喜んだ。
本作がカンヌ国際映画祭やゴールデングローブ賞、アカデミー賞🄬など、世界中の映画祭で100を超える賞を受賞したことについて、監督は「世界中でこれほど受け入れられ、成功を収めたことに大変驚いています。今こうして来日させていただいているように、この作品とともに世界中を巡ってきたため、少し疲れも感じています。喜びと疲れを同時に味わっているという感じですね。ですので、今日はぜひシンプルな質問をお願いします(笑)」とユーモアを交えながら語った。
また、サンローランやデザイナーのアンソニー・ヴァカレロとのコラボレーションについて問われると、「アンソニー・ヴァカレロさんや美術監督のヴィルジニー・モンテルさんと話し合いながら衣装の方向性を決めていきました。サンローランの膨大なアーカイブの中から選ばせてもらったものもありますし、必要に応じて新たに制作してもらったものもありました」と振り返った。さらに、「今回の衣装は、主要な女性キャラクターたちが40代という設定になっており、年代にふさわしいだけでなく、物語の中で彼女たちが変化していく様子が衣装にも反映されるよう工夫しました」とこだわりを明かした。
冨永も「サンローラン プロダクション制作ということで、映画の中で最も注目していたのは“衣装”でした。しかし、途中から衣装のことを忘れてしまうほど物語に没入してしまいました。それだけキャラクターと衣装が完璧にマッチしていたのだと思います。とにかく、女性たちが美しかったです」と絶賛した。

MCから「冨永さんが考える“サンローラン・ウーマン”とは?」と質問されると、冨永は「“闘う女性”というイメージです。昔からサンローランのランウェイを歩いてきましたが、どの時代においても、自分らしさを貫くことは簡単ではない中で、もがきながらも、自分らしさを追求し、幸せを感じる————そうしたすべてを含めた美しさが“サンローラン・ウーマン”の本質だと思います。映画の中の4人の女性たちにも、それぞれの生き様や恋愛観を通して、その美しさが描かれていてとても興味深かったです」と語った。監督も「映画に出てくる4人の中心的な女性キャラクターは、いずれも自由で強い自立心を持っています。それがサンローランの女性像にあうと考えています。本作では苦しい運命にありながらも自ら運命を切り開いていくような女性たちを描きました」と語った。
さらに、本作に出演するゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス、カルラ・ソフィア・ガスコンら豪華キャストについても言及。監督は「最初のシナリオでは、登場人物の年齢設定を25〜30歳くらいにしていました。しかし、メキシコでキャスティングを進めたものの、なかなか思うように進まず、その後、カルラやゾーイと出会い、彼女たちがぴったりだと感じたため、登場人物の設定を40代に変更しました。衣装もそれぞれの世代に合わせて調整し、物語とともに変化していくように工夫しました」とキャスティングへのこだわりを明かした。
冨永は特に印象に残ったシーンとして、アカデミー賞🄬歌曲賞を受賞したゾーイ・サルダナによる「El mal」のパフォーマンス・シーンを挙げ、「あの場面で歌い出すなんて!? そこでそのダンスをするの!?と驚きました。とても興味深く、それが素晴らしくて、私はとても好きでした」と感想を語った。
イベントの最後には、監督が「この作品を撮影しながら、私自身も大いに楽しみました。観客の皆さんにも、ぜひ同じように楽しんでいただけると嬉しいです。映画の中では、非常に自立した女性たちが歌い、踊り、自由に生きる姿が描かれています」と締めくくり、観客に感謝の意を述べた。

本年度の賞レースを席巻した話題作が、いよいよ3月28日より全国公開。大胆でエキサイティング、美しくもダーク、ロマンティックで悲劇的。誰も見たことのない至極のエンターテインメント『エミリア・ペレス』に、ぜひご注目いただきたい。
公開表記
配給:ギャガ
3月28日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開
(オフィシャル素材提供)