
1987年、第40回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞し、翌年の米アカデミー賞®主演男優賞にもノミネートされた、イタリア映画史のレジェンドマルチェロ・マストロヤンニ後期の代表作『黒い瞳』が、日本初公開から37年の歳月を経て、4K修復ロングバージョンでスクリーンに甦る。
アテネを経てイタリアに向かう客船の、ひと気のない食堂。窓際のテーブルに座る初老の男ロマーノは、ロシア人の紳士に、自らの人生を語り始める。イタリアの田舎町で生まれた彼は、大銀行家の一人娘エリザと結婚し富を得たが、夫婦の仲は冷え切っていた。銀行が倒産の危機に瀕する中、ロマーノは湯治場に身を寄せ、そこで子犬を連れた美しいロシア人の女性アンナと恋に落ちる。一通の手紙を残し消えたアンナを追い、ロマーノはロシアに向かうが……。
本作は、ロシアの文豪アントン・チェーホフの「犬を連れた奥さん」を含む4つの短編から着想を得た物語で、『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』(1977)などの名匠ニキータ・ミハルコフが監督と脚本を務めた。共同脚本に、『山猫』(63)、『家族の肖像』(74)などヴィスコンティ作品に欠かせなかった名脚本家スーゾ・チェッキ・ダミーコが名を連ね、全編に奏でられる流麗な音楽はフランシス・レイが手掛けている。ロマーノの妻エリザをシルヴァーナ・マンガーノが、娘クラウディアをイザベラ・ロッセリーニが演じている。名手たちの奇跡のコラボレーションによって生み出された本作は、日本でもロングランヒットを記録しキネマ旬報ベストテンの第6位に選出。そこはかとない可笑しみと、円熟期を迎えた男の悲哀が滲み出るマストロヤンニの名演に、世界中の大人の観客が魅了された。カンヌ国際映画祭男優賞のほか、イタリアのアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では13部門にノミネート、主演男優賞と主演女優賞のW受賞を果たした。
このたび公開されるのは、4K修復が施され、約25分のシーンが追加されたロング・バージョン。マストロヤンニの没後20年に制作され、第73回ヴェネチア国際映画祭ヴェネチア・クラシック部門に出品された。マストロヤンニの生誕100年とチェーホフの没後120年を機に、ついに日本でも公開を迎える。
あわせて、修復された本編から新たに作られた予告編とポスタービジュアルも解禁。世界遺産の温泉都市モンテカティーニ・テルメやロシアの霧深い広大な土地を舞台に、ロマーノとアンナの出会い、そして愛の喜びと悲しみが華麗な映像美とともに描かれている。マストロヤンニが放つ「あなたなしでは、生きられない」という台詞が印象的な予告とポスターとなっている。
『黒い瞳 4K修復ロングバージョン』は、5月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開。 5.30(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 ほか全国順次公開!
公開表記
配給:ザジフィルムズ
5.30(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 ほか全国順次公開!
(オフィシャル素材提供)