
中村結美第一回監督作品『うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生』(2025年3月29日[土]から新宿K’s cinemaほか全国順次公開)の著名人コメントが解禁された。
この度解禁されるのは、中井貴一、佐野史郎、根岸季衣らの織本順吉を慕う俳優仲間や橋口亮輔、原 一男、大島新らの映画制作者たちなどの多くのコメント。
脇役一筋70年、2000本以上もの作品に出演し、TVドラマ・映画で幅広い役柄を演じてきた俳優・織本順吉。その死の直前までの晩年の姿を、娘でもある中村結美が見つめる。ひとりの俳優がどのように人生の最期を迎えるのか、家族とどう向き合ってきたのか、娘の視点から赤裸々に捉え続けた執念の記録とも言える本作。名脇役が最後に演じた“自分自身”とは?
また、織本順吉が25年前に出演し、遂に完成したインディペンデント映画『少年』(旦 雄二監督)が本作と同日の3月29日(土)から封切られ、4月スタートのフジテレビの月9ドラマ「続々・最後から二番目の恋」でも写真にて織本順吉が登場するなど、さながら織本順吉ラッシュとなっている。
著名人コメント
中井貴一(俳優)
幼少の頃、父(佐田啓二)を亡くした私にとって、同世代の俳優である織本さんとお話しできるのは、至福の時。映画全盛期の現場話を良く聞かせていただきました。晩年の織本さんとは、テレビ・ドラマ「風のガーデン」「最後から二番目の恋」でご一緒させていただきました。80代後半にもかかわらず、ロケ現場の待ち時間には椅子に座らず、立ったまま、自分の出番を待たれていたことが印象的でした。「中井さん、僕はね、このドラマ(最後から二番目の恋)が大好きなんだ。人が人を憎んだり、暴力をふるったりしないこのドラマがね。このドラマが続く以上、ズッーと出続けたいんだ。よろしくね」と笑顔でおっしゃってくださいました。その心根が、まさに織本順吉。さぁ、稀代の名脇役、織本順吉、最後の主演映画。多くの方に観ていただきましょう。
佐野史郎(俳優)
「うしろから撮るな」果たしてその弁明は正直な言葉なのだろうか? 織本さんもまた、「どう撮られるか」よりも「与えられた世界をどう生きるか」に懸命であったように感じられる。カメラのレンズの向こうが黄泉の国であるかのようにも思われ、恐ろしく感じていたのかもしれないけれど。死神に魅入られるような? 「生きたい」「演じたい」と、弱った体に喝を入れて?
根岸季衣(俳優)
年中台詞を覚えていない夢を見る。とても怖い夢。
台詞覚えさえなければ、こんなに楽しい仕事はないのに……いつもそう思う。
いつか覚えられなくなる。
老いていく、衰えていく現実と俳優の業を突き詰め続けた記録は身内ならでは。
結美さん凄い!
そして最後を涙で一世一代の名演で締め括って下さった織本さん、有り難う。
松尾貴史(俳優、タレント、コラムニスト)
「織本順吉さんほど、どんな作品にいても違和感を覚えることのない役者はいません。
物心ついた時から、ずっと「物語の中にいて当たり前」の人でした。
当たり前であるはずの人の、当たり前ではない葛藤と苦悩を目の当たりにして、役者で居続けることの過酷さを見せつけられました。しかし、お嬢様の結美さんの愛情とも呪詛とも言うべきフィルターを通して、親子の情愛を超えた凄みにただただ怖気づくばかりでした。
中越典子(俳優)
死が目前に迫っても使命を全うする。細胞の隅々まで俳優なんだなぁ。
心、身体、脳、本当の限界まで、役を演じ続ける織本さんの、熱き魂を感じました。
橋口亮輔(映画監督)
去年から東映のサブスクに入って、『警視庁物語』という刑事ものを見ていたのですが、そこでも織本さんがほぼレギュラーで24本(1956年~1964年まで)役柄を変えて出演されていて、すごく懐かしく拝見していたばかりでした。昭和世代にとっては、日常的に拝見する俳優さんでしたから。
ある動画で、痴呆で入院するかつての名プリマが、『白鳥の湖』の音楽をかけると、上半身だけですが見事にオデット姫を踊って見せるさまを見たことがあります。
演じることと、カメラと、実人生、全てが一つになったような最後の場面に鳥肌が立ちました。凄いお父様ですね。
公開のご成功を祈願しております。
原 一男(映画監督)
今年80歳になる私にとって、10年先(もっと早いかな?)に訪れるであろう死期の姿を見せつけられているようで、観ている間じゅう激しく心が波打っていた。主人公を軸に家族の葛藤が描かれているが、命が燃え尽きるまで互いを気遣いながらも本音をぶつけ合う姿が羨ましかった。叶うものなら、私もこの主人公のような往生を遂げたい。
大島 新(ドキュメンタリー監督)
なぜうしろから撮ってはいけないのか? 娘にとって父はドキュメンタリーの「被写体」。だが父は、娘が撮る作品の「主演」を務めていたのだ。自らの醜態をも映し出す映像を観て父が漏らした言葉、いや、「名台詞」に、心を鷲掴みにされた。
笑福亭銀瓶(落語家)
時に、駄々っ子のようになる織本順吉。
しかしそれは、近い将来の私かもしれない。
今までできていたことができなくなった自分自身への苛立ち。それは皆が通る道。
死ぬ間際まで俳優であり続ける男と、その家族との闘いが描かれた82分間。
「うしろから撮るな」という言葉が、私には「目ん玉を見開いて、しっかり見てろ」に聴こえる。
織本順吉の姿から目を背けてはならない。
綾戸智恵(ジャズシンガー)
老いは誰にでもあるけど、とにかく俳優として生きたい。
このドキュメントでどうあがいても織本さんは俳優やで。
抱っこされてた娘さんのカメラに最後の演者が映ってたなぁ。
公開表記
配給:パンドラ
2025年3月29日(土)〜新宿K’s cinemaほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)