イベント・舞台挨拶

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』プレミア舞台挨拶

© 2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会

 登壇者:萩原利久、河合優実、伊東 蒼、黒崎煌代、大九明子監督

 映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』のプレミア舞台挨拶が都内で行なわれ、主演を務めた萩原利久と共演者の河合優実、伊東 蒼、黒崎煌代ら個性溢れるキャストたちとメガホンを取った大九明子監督が、タイトルにちなんだ、空をイメージしたブルーのバルーンで飾られたステージに登壇してクロストークを行った。

 本作は、福徳秀介(ジャルジャル)の恋愛小説を実写映画化。思いがけない出会いから始まった大学生のラブ・ストーリーが描かれる。映画『勝手にふるえてろ』(17)、『私をくいとめて』(20)などの大九監督がメガホンを取った。

 昨年4月の撮影。本作に込めた思いについて聞かれた大九監督は「主人公が、命に向かわざるをえないストーリーだったので、(私自身の)若いころの痛み、大事な人をなくす痛み、成長していくためのいろんな痛みなどを(自分の中から)引っ張り出しつつ、下手くそだとしても痛みを正しく伝えたいなと思いながら真剣に完成した作品です」と説明した。

 冴えない日々を送っている大学生・小西徹役を演じた萩原は「小西は会話をしながら相手の言葉を原動力にする人物。共演者の皆さん、それぞれが素晴らしい引き出しを持っていたので、いかにそれをこぼさずにキャッチするかを考えながら演じていました」と話す。

 また、ロケ地となった関西大学のキャンパスについて「リアルな学生たちがいっぱいいる中で撮影させてもらいました。どうすれば、景色だったり、匂いだったり、色だったり……を、一つひとつを取りこぼさずにキャッチできるかを意識して、いつも以上に受け皿を大きくする意識をしていたと思います」と振り返った。

 さらに、「キャンパスにいる皆さんがキラキラしていて眩しかった。どこに行っても明るい声が聞こえていました。一人ひとりが伸び伸びしていて……。すごくいいものを吸収させてもらいました」と感謝の気持ちを伝えた。

 誰とも群れない孤高の存在で、小西が恋に落ちるヒロイン・桜田 花役を演じた河合は「脚本を通しで読むと、桜田なりの孤独や父の不在など、彼女の抱えているものが分かります。最初は“小西から見た桜田”の形から入ろうと思いました。お団子頭だったり、背筋をまっすぐ伸ばしたり……と、小西からの印象を入り口にしています」と説明した。

 小西のアルバイト仲間・さっちゃん役の伊東は「さっちゃんは明るくて、周りを巻き込むようなパワーがある子なので、いつも以上に笑顔でいよう、オープンでいようと意識しました」と話す。大九監督が「さっちゃんはスタッフのおじさんたちから大人気でした」と話すと、萩原は「さっちゃんに冷たく言うシーンの後では、スタッフの皆さんが冷たかった。『小西、最低だな』と言われた」とぼやき節。伊東は「撮影したあとスタッフさんが来てくれて『小西、本当にひどいよね』と慰めてくれたんです」とエピソードを披露した。

 小西の唯一の友人・山根を演じた黒崎は、方言“山根弁”を話す人物。「非常に個性的なキャラクターなので、脚本を読んだときはどうしようかと。一歩間違えれば見るに堪えない役になると思いました……(苦笑)」と話す。「初号試写は緊張したんですが、原作者の福徳さんが優しく『良かったよ』と言ってくださったのでホッとしました」と話した。

 終盤、作品の一押しポイントをフリップで紹介することに。

 萩原は「走るシーン」とフリップで発表。「今回カメラマンの乗った撮影の車が本当に速かった。全力で走っても追いつかない。こんなに本気で走るシーンを撮ったのは初めて。坂道での“ガチ走り”に注目してほしいですね」と自身の全力疾走をアピールした。

 大九監督は「小西が、脳内にはびこった妄想を振り払うために自分の一番弱い部分から逃げるというシーンだったので、死に物狂いで走らないとだめだと思い、ドライバーさんには『振り切るつもりで』と伝え、利久さんには『車について来て』とお話ししました」と説明した。

 「衣装・メイク」と書いた河合は「お団子頭の作り込みや洋服もそうですが、桜田は人からどう見られるのかという自意識がある子。ノーメイクではないだろうし、でもトレンドを追っているわけでもなく、自分自身で選んでいるという絶妙な感じを(スタッフが)取り入れてくれたのが興味深かったです」と話した。

 伊東は「(犬の)サクラです。皆さんも観ていたら、(頭を)ワシャワシャしたくなってたまらなくなると思います(笑)。私は後半になるにつれて、サクラの顔を見るだけで泣ける気がしていました」と語った。

 それを聞いた大九監督は「サクラは一番気難しい俳優でした(笑)。東京と大阪を往復してもらったのですが、大阪に入るとはしゃぐスイッチが入ってしまって大変でした(笑)」と述懐した。

 大九監督はフリップに音楽と書き「伊東さんにもクラシック・ギターを演奏してもらったりしました」と話した。

 黒崎は芝生での楽しかったと言う撮影シーンを挙げた。「天然の芝生、きれいだった」。

 「出会いと別れ」を描く本作にちなみ、「始めて出会う人に対して心がけていることは?」と聞かれると、萩原は「話をよく聞くことが大事」。河合は「愛せるところを探す」。伊藤は「ほどほどの声量で笑うこと」。黒崎は「無理をしない。時に任せる」と答えていた。

 最後に萩原は「(観客それぞれが置かれている)状況でいろんな見方ができる作品だと思います。それが、長くこの作品を楽しんでいただけるのではと、初号試写を観たときに感じました。公開がとても楽しみです」、大九監督は「皆で力を合わせて、命と向き合って作り上げました」と観客にメッセージを送った。

 本作はテアトル新宿とテアトル梅田で4月18日から先行上映されることが発表された。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:日活
 2025年4月 テアトル新宿ほか全国ロードショー

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました