
登壇者:浅野忠信、瀧内久美、マーク・ギル監督
3月29日(土)、『レイブンズ』公開記念舞台挨拶がTOHOシネマズ シャンテにて行われ、マーク・ギル監督、出演の浅野忠信、瀧内公美の3名が登壇した。
浅野忠信:主人公として舞台挨拶に立つのも久しぶり、やはり自分の中で主人公をやるのと、脇役をやるのとは全然違っていて。今までいろんな役を演じてきて、自分の中の引き出しがいっぱいになってきたんです。だからそれを主人公でやりたかった。主人公で演じるためのプランがいっぱいあったので、今回はそれを存分に使わせていただきました。 『マイティ・ソー』という映画ではじめてアメリカに行って。その時にエージェントの方に『僕はアメリカに引っ越したほうがいいですかね?』と聞いたら『まだ来なくていい』と言われて。要するにアメリカではまだ誰も知らないから、日本で活躍し続けてくれと。そうしてはじめて売り込めるからということで。そこから闘いがはじまったというか。本当にがむしゃらに日本の作品に取り組みましたし、少しでも結果を出そうと心がけてやってきて。それからアメリカの作品も続き、皆さんのお力添えもあって頑張ることができた。
僕は『SHOGUN 将軍』でも悪役をやったんですけど、『早く帰してくれ!』と泣き叫んで。現場でも悪役状態ですよ。マークさんが諦めたらどうしようと思ったんですけど、延期してくれた。それで深瀬の役づくりをしっかりとできるようになった。『SHOGUN 将軍』では賞をいただいて、皆さんにも喜んでいただけて。そして今日も映画館にもたくさんお客さんが来てくれて。いいことだらけ。こんな最高なことはないですね。
瀧内公美:俳優を始めてから、あこがれだった浅野さんと一緒に舞台挨拶に立てたのが嬉しくて。いつか浅野さんみたいな表現をしてやると、経験を重ねてきたわたしですが、まさか浅野さんと対峙する日が来るとは。
すごくエネルギッシュな役柄だったので、いま自分にあるエネルギーをすべて注入して表現をするということを大切にしていました。
目の前で浅野さんが表現していらっしゃる昌ちゃんが、私の演じる洋子にとってはすべてで、時折、暴力的な昌ちゃんが現れても、私がずっと見ている彼の弱さでもあり、受け入れたいところでもあり、叱りたいところでもあるという思いで、浅野さんが全力で投げてくださるのであれば、私はその2倍、3倍で返してやるような、憧れと尊敬の気持ちとともに、お芝居をさせていただきました。
わたしが浅野さんについて語るのはおこがましいですが、ずっと見続けたいという存在感は浅野さんしかいない。われわれの世代の憧れですから。唯一無二という言葉がしっくりくる俳優さんですし、これからも追い続けたいですし、独自の道を歩んできた先輩だからこそ、その後を追って、後進に道をつなげていきたいと思わせてくれるような大先輩です。
マーク・ギル監督:かれこれ浅野さんは20年くらい観ていたので。クレイジーな役から静かな役まで、いろいろやられてきましたが、それらすべてを合わせたのがこの深瀬という役柄じゃないかなと思っています。彼のことは信頼していますし、こういう形でご一緒できてありがたい。現場では毎日、泣いたり笑ったりという時間を過ごすことができたんですが、一番だと言えるのは、彼の演技に感嘆する時間を過ごせたことだと思います。
深瀬昌久とは?
1934年、北海道中川郡美深町生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。日本デザインセンターや河出書房新社などの勤務を経て、1968年に写真家として独立。1974年、アメリカ・MoMAで開催された歴史的な日本写真の展覧会「New Japanese Photography」への出展を皮切りに、これまで世界各国の展覧会に出展多数。1992年、転落事故で脳障害を負い、20年間の闘病の末、2012年没。享年78。
代表作『鴉』は日本写真の金字塔として世界的に高い評価を得ている。2014年に創設された深瀬昌久アーカイブスの働きにより、2024年現在までに世界6都市で8度の回顧展が開催され、11冊の写真集が世に送り出された。2018年、蘭・Foamにて美術館初となる回顧展「Private Scenes」を開催。その開催に合わせて、深瀬が40年間にわたって制作した作品群を編纂した作品集『Masahisa Fukase』(赤々舎より日本語版、Editions Xavier Barralより英語版及び仏語版)が刊行された。
https://masahisafukase.com/(外部サイト)
公開表記
配給:アークエンタテインメント
2025年3月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)