
【登壇者】ダブル主演:藤堂日向、宮澤 佑
共演:奏羽 茜、中原シホ、林田隆志
監督・脚本:石田祐規
映画『夢に生きる』初日舞台挨拶が3月28日(金)にヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、ダブル主演の藤堂日向と宮澤 佑、共演の奏羽 茜、中原シホ、林田隆志、監督・脚本の石田祐規が作品への思いを語った。
本作は、数々の広告映像を手掛け、TikTokチャンネル「深夜劇場」にてショートドラマを配信し8万人以上のフォロワーを持つ映像クリエイター・石田祐規による長編映画デビュー作品で、音楽の世界を夢見る若者たちを描く。ミュージシャンになるためにアルバイトをしながら路上ライブの日々を送るシンジを藤堂、ミュージシャンになる夢を諦め日々の仕事に忙殺されるアキラを宮澤が演じた。
石田監督は、「僕の初長編映画です。僕自身、会社員になって独立した後もずっと映画を作りたいという思いがありました。でも、仕事に忙殺されたり、守るものがあって……と葛藤する中で、等身大の作品を作ろうと。夢をテーマにしたものを1作目にしたいと強く思っていた時に、最初に頭に浮かんだのがラスト・シーンでした。シンジの叫びが最初に浮かび、エンドロールが終わった後のアキラの行動が思い浮かんで、これを軸に作品を作ろうと考えて作りました」と本作の撮影に至るまでの経緯を説明。続けて「夢をテーマにした映画でこうしたストーリーやメッセージを描いているのは、これまでにないと思います」と思いを語った。

今回は、オーディションを経て出演が決まったというキャストたち。宮澤は、「俳優をやってきて、初めて長編映画の主演をやらさせてもらうことになり、決まったときは素直に嬉しい気持ちが生まれてきました。ただ、アキラは自分とはあまり近くない役だったので、それは苦労したところでもあります。バットエンドでもハッピーエンドでもない終わり方がこの作品の良さでもあるので、そのニュアンスを演じるのも難しさとして一つありました」と出演が決まったときの心境を明かす。

一方、藤堂は「僕は出演が決まった時は舞台に出演している最中でした。本番前に決まったという連絡をもらい、手が震えてしまって。これを記憶にとどめたいと思って、『主演が決まりました』と震えた声で言いながら自分の手を動画で撮りました。共演者のみんなにも『決まりました。これからも舞台頑張ります』と報告したという感じでした」と当時を振り返った。

また、奏羽は「出演が決まる半年前くらいにアキレス腱を断裂してしまい、歩けるようになって初めて受けに行ったオーディションがこれだったんです。アキレス腱が切れてしまったときは夢を諦めようかなと思いましたが、オーディションをサイトで見て、そのサイトからも熱量が伝わってきたので、これは絶対受けたいと思って受けたものでした。私にとって復活の作品でしたので、思い入れも深いですし、自分の夢にもう一回挑戦していこうと思った作品でした」と熱く語った。

中原は唯一、オーディションでの出演ではないそうで、「石田監督の前作の短編映画でご縁をいただいたのですが、今回のオーディションの募集要項を見て、もう一回、石田監督と作品を作りたいと思って応募したら、『中原さんにはこの役をお願いしようと思っていました』と言っていただいて(出演が決まった)。それが本当に嬉しかったです」と明かす。そして、「この役を私がやるということは監督にきっと何か熱い思いがあるんだろうなと思い、覚悟を持って挑ませていただきました」と力強いコメントを寄せた。

ライブハウスの店長を演じた林田は「石田さんの想いが熱すぎて、その想いを受け止められる年配者は僕だけだろうなと思っているんです。僕は何十回もライブハウスに通っていますし、監督自身が音楽をやっていたということもお聞きして、これを受け止めるのは僕だけだと。出演が決まってガッツポーズを取った記憶があります」と胸を張った。

キャストたちから口々に「監督の熱量」という言葉があがるほど、石田監督の熱い想いが詰まった本作。宮澤は撮影の思い出を聞かれると「撮影前にめちゃくちゃ念入りに本読みをしたんですよ。石田さんの熱量が凄まじくて。なので、それで僕も火が着きました。監督の熱量に負けないように作ってやろうと撮影していた記憶があります」と話す。藤堂も「本読みの段階から、カメラを置いておいたら、そのまま撮影できるんじゃないかというくらいの熱量だった」と同意。石田監督は「後にも先にもこんな撮影はできないというものをやらせていただきました」と覚悟を持っての撮影だったと語った。

舞台挨拶の最後には、石田監督は「この作品はうまくいっていない人、悔しい思いをしている人、歯を食いしばっている人、見えないところで頑張っている人、必死に頑張っているけど結果が出ない人に響く作品だと思います。特に、最後のシンジの言葉やアキラの行動は心にくると思います。ただ、いろいろな立場の人物が登場するので、きっと観る人によってそれぞれ響く人物がいると思うので、自由に捉えて観て嬉しいです」と改めてアピール。
宮澤は「ハッピーエンドやバッドエンドのどちらかで終わりがちなところを、どう表現しているのかを楽しみに観ていただけたらと思います。この映画を観て感じることは人それぞれ違うと思うので、観て感じたものをSNSなどでつぶやいていただいて、この映画を堪能していただけたらと思います」と呼びかけた。
そして、藤堂は「規模の小さな映画だと思いますが、本当に素敵なお芝居をしています。こうした映画が上映になるまですごく道のりが長いんです。いろいろな方が駆け回って、ようやく上映ができていることに僕たちも感謝していますし、皆さんにも感謝しています。まだまだこの映画は続きますので、何か感想をSNSなどに投稿していただければ嬉しいです」と感謝を述べて舞台挨拶を締めくくった。
公開表記
配給:SAIGATE
3月28日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)