
登壇者:萩原利久、ジャルジャル福徳秀介、大九明子監督
第37回東京国際映画祭コンペティション部門公式出品作品『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(4月25日公開)。その公開直前舞台挨拶が4月7日(月)に都内映画館で実施され、主演の萩原利久、原作者の福徳秀介(ジャルジャル)、そして大九明子監督が参加した。
小説家デビュー作が映画化された福徳は、映画化決定の際の心境について「無茶苦茶嬉しかった。どんな映像になるのかという期待感もありながら、とにかく嬉しかった」と回想。制作サイドからはジャルジャルとしてカメオ出演のオファーもあったそうだが「それは映画の世界を壊すと思ったので(笑)、断りました」と原作者としてのみ本作にコミットした理由を述べた。

完成作を鑑賞した際は、思わず萩原をハグしたという福徳。「最高過ぎて、なんて素晴らしい映画なのかと。『最高でした!』と“萩さん”にハグした」と振り返ると、萩原は原作者に作品を観られるというシチュエーションに「緊張した」そうだが「上映後に福徳さんが階段を降りて来られながら……」とステージ上で当時を再現してハグ。福徳は「開始10分で『これは良い映画だぞ』と思って、そこから3分ごとに『映画としてめっちゃええやん!』と。そんな状況で萩さんと階段のところで会うんだから、そりゃあハグするって!」と大興奮だった。

一方、萩原は演じた小西 徹が心の内を打ち明ける水族館シーンに触れて「僕の中で小西という人物を演じることにおいてポイントにしていた場面でした。小西を演じる上での自由度が一段階上がった気がする。頭で考えて演じるのではなく、全身で臨むようなシーンになりました」と注目ポイントに挙げた。福徳もその水族館シーンに触れて「小西がしゃべり出して、ウソみたいに桜田(河合優実)にガン見される。その逃げ場としての水槽の中のクラゲが良かった。水槽の中を見るふりをして桜田の目力に耐えるためのクラゲがある」と大九監督の演出を絶賛。大九監督は「小西が心情を吐露するならば水族館だろうと思ったし、水族館の中でもクラゲのコーナーは一段階暗いシチュエーションだったので、そこを選びました」などと狙いを述べた。

さらに福徳は小西がする「バイバ~イ」の言い方がツボにはまった様子。「あのバイバイのニュアンスは難しいはず。恋人がいたり好きな人がいたりする日常では自然とやれるけれど、演技だと出来ないのでは?」と聞くと、大九監督は「まさにそう! 最初は普通のバイバイだったけれど、私がニュアンスを説明してやってもらった。私がニヤニヤと満足するまでカットはかけませんでした」と舞台裏を明かした。
そんな中、福徳から「生バイバ~イを聞きたい」とリクエストされた萩原はテレながらも、公開生バイバ~イ。客席から黄色い悲鳴が上がるも、当の萩原は「やっぱり出来ない!」と納得しない様子で「撮影中はエキストラさんのほかにリアルなギャラリーの方がいたので、そういう人目も役に与える影響がある。あそこならば何でも出来ました! 自分であのバイバイを『よし、やろう!』と思ってもなかなか出来ません」と状況に助けられたと照れながら明かしていた。

さまざまな人生訓が出てくる本作にちなんで「大切にしている言葉」を発表。福徳と大九監督が劇中のさりげない一言を挙げる一方で、バスケ好きの萩原はコービー・ブライアント選手の座右の銘「マンバ・メンタリティ」を挙げて「明日が今日よりいい状態になるように準備する、向上心を持つという意味。それってバスケに限らずいろいろな仕事に変換できる」と理由を話した。
最後に福徳は「この映画が単純に好きだなと思えたので、皆さんも5回くらい観てください」とアピール。主演の萩原も「今日の話を参考に、ぜひもう一度観てください。いつ観るかで感想も変わると思うので何度でも観て一つひとつの感想を楽しんでください」、大九監督も「スタッフ・キャストで小さな宝物のようなものを散りばめた作品なので、5度くらい観てください」と大ヒットを祈願していた。
公開表記
配給:日活
4月18日(金) テアトル新宿、テアトル梅田のみ先行ロードショー
4月25日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)