
イントロダクション
現実と虚構が入り乱れ、時間軸すらも歪み迷路と化した物語が、阿鼻叫喚の”カットアップ・レトロアニメーション”で叩きつけられる。映画全体に爆薬を巻きつけたような、カテゴライズ不可能の問題作『ORLIK』がついに劇場初公開。
本作は、スチール等を切り抜き、それらを複雑に組み合わせることによって基本の映像を制作し、そこに動画化の技術、デスクトップ・アートの手法等を加えたコラージュ・アニメーション作品。フランスのヌーヴェル・ヴァーグに見られるジャンプカットも多用している。
監督を務めたのは、香港国際映画祭などでカルト的な評価を得た『LUGINSKY』(ルギンスキー)のhaiena(ハイエナ)。
今作『ORLIK』においてはヌーヴェル・ヴァーグや、アメリカン・ニューシネマへ想いを馳せる主人公・オルリックに監督自らの身上を投影し、失われた前時代の映画に鎮魂を捧げる。政府機関や反体制組織の思惑に翻弄される男の姿を通じ、戦争の不条理に対する強烈な風刺も盛り込んでいる。前例のないアニメーションのキャラクターには、舞台俳優たちが中心となり命を与えた。
“既存の演技法や感情表現を逸脱したかった”――オルリックの前に現れる登場人物はどれもこれも奇人であり、そもそも実在するのかどうかも不確かだ。その不安定な曖昧さを如何に演技へ落とし込むのか、試行錯誤の末、金子貴伸や黒崎純也らの尋常ならざる取り組み、創意の結果、2次元にも3次元にも、2.5次元にも属さない、新しい『怪演』が生まれた。真田うるは、真城あさひ、キクチカンキらを含め、“彼らでなければ今作を送り出す心持ちにならなかった”役者がそろった。
『地獄の黙示録』と『ニュー・シネマ・パラダイス』を混ぜ合わせ、ゴダールで仕上げたものが『ORLIK』だ。かつての映画を知る者には懐かしく、それらを知らない世代にはまったく新しく映るだろう。そして、社会がどれだけ腐敗し、世界が業火に包まれようと、目的を叶えようと煩悶する哀れな夢追い人の飽くなき執着、矛盾、生き様には誰もが熱にあてられるはずだ。これこそ、新世紀ヌーヴェル・ヴァーグ。

ストーリー
「おれはオルフェだった、コワルスキーだった」
脳の中で映画を撮影しながら、内戦の地に降り立つ男が見たものとは。
“インナーチューブ”に暮らすインディペンデント映画作家のクラレンス・オルリック。
何もかもに失敗し、彼は失意と赤貧に陥り、虚勢にすがるような暮らしにあった。些細なきっかけをもって、彼は“オールドボール”の文化再生機関に所属する秘密警察官・ミラーにより、不毛な内戦への関与を強いられる。
時を同じくして、悪友フジキの手による装置“ボイルドブレイン”が完成。自己の意識を映像化し、カネも人手もいらずに映画づくりが可能となる電送装置を使い、オルリックは再起を賭ける。けれども装置の副作用として、彼は時間の感覚を失い、思い出と空想がない交ぜの迷乱した神経状態へと陥る。
精神を蝕まれながら、戦地“アンペイドサラリーズ”へ送り込まれたオルリックは、爆撃と妄想が降り注ぐ旅路の中、映画への狂的な妄執に憑かれていく。
(2025年、日本、上映時間:78分)
キャスト&スタッフ
原作・監督・音楽:haiena
アートディレクター:ジャン・ピエール・フジイ
主演:金子貴伸
出演:真田うるは、キクチカンキ、黒崎純也、真城あさひ、haiena
特別出演:椎木ちなつ
制作:J&HFilms
整音:こだまプロダクション
ギャラリー






予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)

公式X:https://x.com/haienana(外部サイト)
公開表記
配給:ユーステール
2025年5月23日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)