
登壇者:小栗 旬、窪塚洋介
阿南英明医師(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 理事長)
近藤久禎医師(DMAT事務局次長)
増本 淳プロデューサー
2019年12月に中国の湖北省武漢市で初めて発生が確認され、2020年に入ってから世界的流行(パンデミック)を引き起こした新型コロナウイルス。世界規模で人類が経験した新型コロナウイルスを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品である映画『フロントライン』が6月13日(金)より全国公開となる。
この度、映画『フロントライン』のキックオフイベントと題し、日本体育大学にて約350名が在籍する保険医療学部 救急医療学科の生徒を対象に特別試写会が開催された。試写後には小栗 旬と窪塚洋介演じるDMAT隊員のモデルとなった、阿南英明医師と近藤久禎医師によるトークの後、生徒には内緒で小栗と窪塚がサプライズで登壇! 未来の救急救命士たちを前に、当時のクルーズ船内での状況や、本作に込められたメッセージを語り尽く、学生からの質問に答えるQ&Aも行った。
本作の主人公・結城英晴のモデルとなった阿南英明医師、DMAT事務局長で仙道行義のモデルとなった近藤久禎医師、映画『フロントライン』の企画、脚本を担当した増本プロデューサーが登壇し、一言挨拶するとイベントがスタート。
本作の感想を阿南医師は「事実に基づいて作り上げていただいたと思います。船の中や外で本当にあったことを積み上げていただいて。僕は4回泣きました」と、近藤医師は「できたことを思い出せた半面、その後の課題についても焦点を当てていただいたと改めて感じました」と話した。増本は本作へのリサーチ期間を経て「一年ぐらい取材させてもらって、当時パソコン画面越しだったので、初めて(阿南医師と近藤医師に)お会いしたのは撮影に入る直前でしたよね。今こうしてお二人と立たせていただけたことが光栄です」と完成した思いを語った。続けて、増本は「当時『THE DAYS』を撮影していて、10日ぐらい経った頃にコロナの影響で撮影が止まってしまいまして。どうにか続けたいと思って、日本で一番新型コロナウイルスに詳しい方にどうやって撮影したら安全なのかを聞きたいというのがあって阿南先生たちに話をうかがって。何度も取材をしていくうちに、撮影再会のための取材よりも、ダイヤモンド・プリンセス号でそんなことがあったんだという話を聞いて当時の報道と違うところがあったので興味を持ちました。これは何らかのかたちで伝えられたら意味があるなと思ったのがきっかけです」と本作の企画について振り返った。
DMATの組織について近藤医師が「ちょうど今年で発足から20年になりますが、被災地の都道府県の要請に基づいて、個々の医療機関からチームが派遣されるシステムになっています。実際に出動するのはDMATに登録しトレーニングを受けている医師や看護師などになります。災害時に現場に行き、被災地で頑張っていらっしゃる医療機関を支える、そのためであれば何でもやるという組織になっています」と説明。DMATの活動をする上で最も大事にしていることを問われると阿南医師は「それぞれの現場で困っていることが違うんですよね。違う困りごとを一瞬で拾い上げて支援のかたちを構築することを心がけてます。船の中で困っている人がいる、では私たちは何をするべきなのかを考えて動いていったということですね」と話した。
阿南医師をモデルにした結城を小栗が、近藤医師がモデルになった仙道を窪塚が演じ、そのキャスティングについて「取材を通してお二人からの言葉で素敵だなと思ったのが、災害時は何も決まってないから立場がどうとか、セクションがどうではなくて、できることは全部やるということでした。いろんな人に批判もされるでしょう、それでも我々はやるんですとお話されていて、批判を恐れずに困っている人のために厳しい状況に立ち向かっていくキャラクターを誰にお願いするかとなった時に、批判を恐れずに自分が正しいと思う表現をしている人は小栗 旬と窪塚洋介なんじゃないかと思ってオファーしました」と明かした。
小栗についての印象を阿南医師は「背が高くてスタイルが良くてカッコイイんですよね。芝居に入るとぐっと入り込んで集中されてたんですけどそれが魅力的で。小栗さんが劇中で使っていた聴診器は実際に僕のものなんです。診察のシーンは研修医にもこうやってほしいなと思うくらい、本当にすごい再現性でしたね」と話し絶賛した。
ここで阿南医師から「今日は僕らの仲間が来ています!」という紹介と共に、メインキャストの小栗 旬と窪塚洋介がサプライズ登壇! 生徒から歓声があがり大盛り上がり!

小栗は今作のオファーについて「増本さんに脚本を読ませてもらった時に、取材されたものってどれくらいあるのか聞いたら、ものすごい分厚い資料が送られてきて、それを読んだらどれ位強い想いでこの作品を作りたいのかが伝わってきて、これは参加しないわけにはいかないと思いました」と回顧し、窪塚は「正直最初は警戒したんですけど、まるでドキュメンタリーのようなリアリティのある脚本であったことと、撮影の初日にキッチングローブが用意されていて、医療用の手袋じゃないんですかって聞いたら、実際に対応初日に間違えてキッチングローブが届いちゃったんですというのを聞いて、これは緻密な取材のもと作られているから背中を預けられるなと思いました」と裏話を交えて本作への出演について明かした。MCの「この二人でなければ成立しなかったですよね」という質問に、増本は「しないって言わなきゃいけない流れですよね(笑)」と笑いを誘いつつ、「小栗さんがこれはやるべきですよねって言ってくれたんですよね。芝居ができるとか、かっこいいのは十分知っているので、彼がそう言ってくれて相談して良かったと思いました。窪塚さんについては、芝居も存在感も素晴らしいし、ただね、ヤンチャじゃないですか(笑)。彼から現場へのリスペクトを感じられたからやりたいと言っていただいて強く心を打たれました」と制作の裏側を明かした。

小栗は阿南医師について「この脚本に描かれているよりも実際はあくが強い方だからねと言われていたんですが、実際会ってみたら本当にあくが強い方たちで(笑)、こういう方たちが熱意を持ってこの作品に向き合っていただけるなら大丈夫だろうなと思ったのが阿南先生への印象ですね。現場で段々熱くなっていく阿南先生の姿を見てしっかりやらなきゃと思いましたね」と話した。

窪塚は「もし目隠しをしてこの現場に連れてこられたら、当時の現場のままだからクラスターの現場がもう一度再現されたみたいですって近藤先生が言っていたのが印象的でした。最前線にいた方がそう言うなら、ここで仙道として生きて仙道として芝居すればそう見えるんだという安心感がありました。“結城ちゃん”とバディで向き合っていく」と劇中の結城の呼び方についても触れ、実際に近藤医師が“阿南ちゃん”と呼んでいるということで二人の医師の関係性も忠実に再現されていることを明かした。

撮影現場でのことを「クルーの触診をするシーンがあるんですけど、すごく安心しました。俺はその日の阿南先生の追体験をするようにやればいいんだと思って、心強かったです」と小栗。窪塚が「些細なことも含めてリアリティを追求したいと思ってたんですけど、DMATの方々も本当に命をかけて向かい合っているから、芯を食っているところ以外はこうしないといけないではなくて、お二人の生き様が僕たちの後押しになっていて」と話すと、小栗も「そうだね、人間味みたいなもの加えられて」と同調した。

DMATについても小栗は「DMATは感染症チームじゃないのにこの危機を乗り越えたのがもの凄いことだと思いますし、自分もこれからも興味深く追いかけさせていただきたい」と敬意を表し、窪塚は「出てくる全ての人が素晴らしくて、名もなきヒーローというか、こういう人たちが守ってくれてるんだっていうのを感じました。人の想いやささやかな優しさでこの世界が満たされていたらいいなと思いますし、これから皆さんも救急救命士になっていくと思うんですけど、一人ひとりが主役で、大きな声ではないけどたくさんの期待を寄せられている」とメッセージを送った。

ここで会場に集まった学生からの質問に答えるQ&Aを実施。「この映画を作るうえで大切にしたことは何ですか」という質問に小栗は「“やれることは全部やる”というのは持ちつつ、結城の役で自分があきらめたら全部終わっちゃうんだと思ったので“あきらめない”というのはテーマとして大事にしました」と答え、窪塚は「ぶれないことを大切にしていたはずなのに結城に激昂してぶれてしまう、この温度感やバディ感を大事にしました」と明かした。更にこの会場に集まった生徒を目の前にして改めて「こんなにたくさんの未来のヒーローたちがまっすぐ生きてるんだということに息をのんだというか、胸がつまる思いがあります。そういう人たちが支えてるんだと思って、応援してます」と熱い言葉を送った。そして、大学生活がこれから始まるんですけど、新しいことを始める時に心がけていることはとの質問に窪塚は「自分軸で歩いてきたなと思うので、それで今一番幸せだと思います」と、小栗は「自分に期待しないようにしていて。元々自分に期待するタイプだったんですが、練習したこと以上のことってなかなかできないと思うんです。日々できることをするというのをチャレンジするときは心がけてます」とエールを送った。

最後に窪塚は「6月13日からこの映画が公開になります。この頃こういうふうに生きてたなとまだちょっと生々しい部分も残ると思うんです。こぼれ落ちちゃったものもあるけれど、この映画を通してそれも全て前に進む力にかえて、今日が一番若いと良く言いますから、皆さんの力もお貸しください」と、小栗は「これからの未来を作っていく皆さんに初めに観てもらえたことが非常に良かったと思います。洋介くんと言葉を借りて、僕たちも頑張りますので、皆さんも一緒にがんばっていきましょう」とそれぞれ挨拶し、イベントを締めくくった。

災害派遣医療チーム(DMAT)とは
Disaster Medical Assistance Team
大地震、航空機事故、大規模災害、感染症のまん延など、医療体制が逼迫する事態において、迅速に被災地に駆けつけ、命を守るための専門医療チーム。医師・看護師・業務調整員(救急救命士、他医療職、事務職員)から構成され、主に発災直後の急性期(約48時間以内)に活動を開始する災害医療のスペシャリスト。2020年ダイヤモンド・プリンセス号 新型コロナウイルス集団感染において、専門外である感染症への対応にあたり、未知のウイルスに<最前線>で挑んだ。
日本体育大学 保健医療学部救急医療学科とは
切迫した危機的状況下で、人命に関わる重責を担える、総合的な実践力を持った救急救命士を育成する。救急医療、蘇生医療、災害医療を3つの柱として、それぞれ国際的な立場で実践活動・指導できる救急救命士を育成する目的で設立された学科。医療人として求められる高い倫理観と崇高な精神を学ぶことができ、災害時の情報の管理方法と医療に必要な物品・物質の管理を行う災害医療ロジスティクス業務を、日本で唯一カリキュラムに取り入れている。
公開表記
配給:ワーナー・ブラザース映画
6月13日(金) 全国公開
(オフィシャル素材提供)