
登壇者:竹島由夏、出合正幸、柿崎ゆうじ監督
『コウイン 光陰』、『ウスケボーイズ』で監督を務めた柿崎ゆうじ監督が本格時代劇に挑んだ最新作『陽が落ちる』が4月4日より公開中。
本作は、これまで数々の作品で監督、プロデューサー、キャスティングアドバイザーとして活躍し、2018年に大ヒットを記録した小学館ノンフィクション大賞を受賞した「ウスケボーイズ」(主演:渡辺 大)で、大ヒットを記録した柿崎ゆうじ監督による本格時代劇で、封建の世に生きる武士の妻として、夫を支えながらも家族を守るために己の意志を貫く一人の武家の女性が主人公の作品。
幕府の命により切腹を言い渡された夫と、妻・良乃が過ごす最後の一夜を描いた本作は、武士社会の価値観の中で、家族を守るために己の意志を貫く女性の姿を鮮烈に描き出している。
また本作は “ロンドン国際映画祭2025(外国語部門 最優秀監督賞)”、“エディンバラ国際映画祭2025(外国語部門 最優秀監督賞/外国語部門 最優秀作品賞/衣装デザイン賞)”での受賞やヘルシンキシネアジア映画祭2025、トロント日本映画祭への正式招待など、世界的にも評価されている作品である。
4月4日(金)より、切腹を命じられた夫と、その妻の一夜を描く本格的時代劇『陽が落ちる』がついに全国公開! 同日には都内映画館で初日舞台挨拶が実施され、柿崎ゆうじ監督、主演の竹島由夏(古田良乃役)、共演の出合正幸(古田久蔵役)が登壇した。
満員御礼で迎えたこの日、時代劇本格的初挑戦の柿崎監督は「勧善懲悪を描く時代劇は、非常に分かりやすい教育の一つであり、素晴らしい日本の伝統文化。そんな時代劇を現代に残したいという思いがあります。男女の身分差など現代とは相容れない価値観もありますが、家族愛、親子愛、友情と今も変わらないものもある。それが現代へと脈々と繋がっているさまを描きたかった」と製作経緯を解説した。
主演の竹島は「時代劇で描かれる夫婦像というと、女性は男性から一歩下がって膝をつく、男性を立てる文化という前提があります。しかし芯の強い妻と頼りない夫という姿こそ柿崎監督の描きたかったもの。そのテーマを聞いて脚本を読むと、納得させられる部分がたくさんあって、死を前にして武士道を貫ける人はどれだけいるのだろうかと思いました。そんな夫の姿を見て妻は武士としての生涯を終えて欲しいと諭す。江戸時代にはきっとこのような夫婦もいただろうと目が覚める思いでした」と実感を込めていた。

リアルにこだわる柿崎監督の意向で、長野県松代にある重要文化財の武家屋敷でロケを敢行。柿崎監督は「役者たちが当時のそのままの精神状態で芝居が出来るように、あえて撮影所は使用しませんでした。周囲は当然近代的な建物がある場所なので、近くのビルのアルミの窓枠が太陽光に反射したり近代的な屋根が映らないようにフレームを調整したり、苦労もありましたが、あの環境で撮影することが出来て良かったです」と大満足だった。さらに「撮影期間中はコーヒー禁止、洋食禁止、差し入れも和もの以外禁止。それくらいこだわって、あの時代に飛び込む日々でした。しかも久蔵が切腹する部屋は実際に切腹が行われた部屋。照明や機材配置の問題もありましたが、かつて切腹が行われた同じ場所で撮影しました」とストイックな撮影状況を紹介した。
重要文化財に指定されている武家屋敷での撮影について竹島は「建物自体にオーラがあって、衣装姿で現場に入るとそこに漂う空気までもが当時とまったく同じではないかと思うくらい作品世界に没頭することができました。スタッフの皆さんも協力してくれて、楽屋にあるポットなどの近代的なものまで見えない形で配慮してくれました」と感謝。出合も「作られた芸術的なものではなく、昔から存在し続けた本物の武家屋敷。重要文化財で撮影したからこそ、普通の時代劇とは一味違う空気感が生まれたように思います。それは我々の芝居にも反映されました」と恵まれた環境に喜んでいた。

感情を優先した柿崎監督のこだわりで、撮影もストーリーに合わせて順撮りで行われたという。竹島は「こんなに人って役に入れるのかと、自分で芝居をしながら驚きました。途中で感情が溢れて耐えきれず、涙が止まらなくなった時もあります。そんな心境にさせてくれたのは順撮りのお陰です」と熱演報告。出合も「順撮りは時間がかかるものですが、俳優としてはとてもありがたいことです。しかもカットを細かく割るのではなく、一つのシーンを長めに撮っていただけたので、自然と感情が繋がる。細かい事を考えることなく、台本通りに芝居が出来たのは貴重な時間でした」と充実の撮影期間を振り返った。
最後に柿崎監督は「こだわって時代劇を撮りたいという私の想い。そして俳優もそこに向かって一丸となっている。それに対してスタッフの皆さんも嫌な顔一つせず、付き合ってくれた。理想的完成に向けて一点集中で撮影が出来たからこそ、『陽が落ちる』が撮れたと思っています」と関係各所にしみじみ感謝を伝えていた。

公開表記
配給:MomentumLabo.
4月4日(金) 新宿武蔵野館ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)