作品紹介

『アハーン』

© Will Finds Way Films

イントロダクション

 ヒンディー映画初、ダウン症の当事者(アブリ・ママジ)が主演を務めたハートフル・コメディ。ニキル・メールワーニー監督・脚本のデビュー作となった本作は、2019年にメルボルンのインド・フィルム・フェティバルで初公開されたが、限られた予算と新型コロナのパンデミックの影響などもあり、その後本国インドでの上映までに2年を要した。しかしそのわずか2ヵ月後にNetflixでの配信が始まり話題を呼ぶ。シンプルな脚本ながら、ダウン症の青年の「日常」をストレートかつコミカルに描出するこの意欲作は、世界で最も多産なインドの映画界にあって異彩を放っている。
 あまり歌って踊らない、笑いと涙がギュッと詰まった日常譚の80分!

© Will Finds Way Films

ストーリー

 ダウン症をもつ青年アハーンは、愛情深い両親と共にインドの大都市ムンバイに暮らしている。何不自由のない日々を過ごすアハーンであったが、周囲の目を気にする両親の“配慮”によって家に縛り付けられた彼は「自立したい」「仕事を見つけたい」「素敵な女性と結婚したい」という切実な思いを募らせていた。
 一方、中年男性オジーは、気難しい性格と潔癖症が過ぎて妻のアヌに見限られ、家に一人取り残されていた。
 そんな折、アヌと親交があるアハーンはオジーの家を訪れる。オジーは妻と会うためにアハーンを利用することを思いつき、自由な外出を願うアハーンとの間の奇妙な協力関係が始まることとなるのだが……。

 (原題:Ahaan、2019年、インド、上映時間:80分)

キャスト&スタッフ

アハーン(Ahaan)/アブリ・ママジ
 明るく朗らかで実直なダウン症の青年アハーンを演じるのは、アブリ・ママジ。ムンバイの特別支援NPO が主催するワークショップに見学に訪れた本作監督ニキル・ペールワーニーと出会う。当初は主演のモデルとなる予定だったがダウン症当事者として出演することに。本作で俳優デビュー。
 インタビューで印象的だった言葉「(監督)ニキルはいい人、でももう終わったこと」は、アハーンの今を生きるキャラクターとどこか通ずる。「アハーン」出演前は、カフェで週5日働いていたが、演じることに目覚めた今「ぼくがやりたいのはカフェのテーブルを拭いたりお皿を洗うことじゃない」と言って聞かず、週1日の勤務になっている。

オジー(Ozzy)/アリフ・ザカーリア
 準主演の強迫性障害で気むずかし屋オジーを演じるのはアリフ・ザカーリア。人嫌いのキャラクターを見事に演じる。テレビから映画、舞台(ミュージカル)まで幅広く活躍し、ミュージカルMerchants of Bollywood(「ボリウッドの商人」)のワールドツアーに参加。映画そして物議を呼んだ問題作Nanak
Shah Fakirでも主演を務めた。

アヌ(Anu)/ニハリカ・シン
 アハーンの良き理解者でオジーの妻アヌを演じたニハリカ・シンは、ミス・アース・インディアに2005年に選ばれキャリアをスタートさせたが、出演作品が非公開となるなど不遇の時を過ごす。2012年に公開されカンヌの「ある視点」賞の候補作となったMiss Lovely に準主演として出演し頭角を現す。近年は監督・プロデューサーとして活躍。

オネラ(Onella)/プラビータ・ボルタックール
 アハーンの意中の人オネラを演じたのはプラビタ・ボルタクール。音楽活動も行う。

ガヤトリ“母”(Gayatri)/Shilpa Mehta
 アハーンの希望を叶えたい、もっと外に出て欲しいと心の中では願うも夫にやり込められる優しき母を演じるメータ。インド映画の著明大作『家族の四季 – 愛すれど遠く離れて-』(2001)にも出演。

ランジット“父”Ranjit /Kaizaad Kotwal
 息子との距離感が掴めずにいるランジットを演じ、作品にリアリティを与えるはカザード・コトワル。プロデューサー、監督、デザイナーでもあり、オハイオ州立大学コロンバス校で舞台・メディアスタディ・映画の授業を受け持ち人気教授だった。

ハリ(Hari)/Haresh Raut
 アハーンのケアテイカーかつ良き理解者、ちょっぴりお調子者演じるラウトは撮影期間中に、アハーン役のアブリ・ママジが最も親しくした一人。

精神科医・シッピー(Sippy)/Rajit Kapur
 オジーの強迫性障がいに暴露療法を施す精神科医。この役を演じたカプールは、インド映画通でなくても見覚えがあるかもしれない。映画と舞台でコメディーからThe Making of the Mahatma でNational Film Awards of India(ナショナル・フィルム・アワード)で主演男優賞を受賞。

監督:ニキル・ペールワーニー
 ムンバイ生まれ。ノンフィクションTV 番組の監督からスタート。映画の世界に惹かれ、『Stanley ka Dabba』(2011)でアモール・グプテを、『Dil Toh Baccha Hai Ji』(2011)でマドゥール・バンダールカルをアシスト。
 その後、初の短編映画『Chana』(2012)を監督。長編監督デビュー作となる『Ahaan』(2019)は、4年の歳月をかけて資金を調達し、自主制作した。

ギャラリー

オフィシャル・サイト(外部サイト)

 https://ahaan.jp/

 生活の医療社 公式サイト:https://peoples-med.com/(外部サイト)

公開表記

 配給:生活の医療社
 配給協力:ラビットハウス

 2025年9月5日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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