
第80回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門での上映が話題となった『けものがいる』が、4/25(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開される。この度、ヒグチユウコの書き下ろしイラスト、スリリングな本編映像が解禁、追加コメントが到着した。
近未来、人間は<感情の消去>を余儀なくされていた――
転生する女と男の愛と運命をスリリングに描く
ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』を始め、世界中から選りすぐりの話題作が集結した第80回ヴェネチア国際映画祭の公式批評スコアで一位を獲得し絶賛された話題作がついに4月公開となる。本作は『SAINT LAURENT サンローラン』、『メゾン ある娼館の記憶』などでカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された実績を持ち、現代のフランス映画界で最も独創性豊かなフィルム・メーカーのひとりである鬼才ベルトラン・ボネロ監督が、イギリスの文豪ヘンリー・ジェームズの傑作中編小説「密林の獣」を自由かつ大胆に翻案。近未来をクールに映像化した2044年、35ミリ・フィルムで撮影された1910年、実際の事件にインスパイアされた2014年と、3つのコンセプトの世界観を驚くべき手腕で緻密に構築し、100年以上の時を超えて転生を繰り返す男女の数奇な運命を、スリルとロマンで描いている。
主人公ガブリエルを演じたのは、ヨルゴス・ランティモス、ウェス・アンダーソン、グザヴィエ・ドラン、デヴィッド・クローネンバーグ、ミア・ハンセン=ラヴといった名だたる個性派監督たちから愛され、『007』シリーズや『デューン 砂の惑星PART2』などのハリウッド大作でも知られる国際的スターのレア・セドゥ。また相手役には当初ギャスパー・ウリエルが決定していたが、2022年1月に不慮の事故で急逝したことで、『1917 命をかけた伝令』のジョージ・マッケイにルイ役が託された。
ボネロ監督は時代ごとにまったく異なるルイを見事に演じ分けたマッケイを「天才」と絶賛し、本作をウリエルに捧げている。
この度は、画家として活躍するヒグチユウコが本作を観て書き下ろしたレア・セドゥの表情が印象的なイラストとコメントが到着した。
ヒグチユウコ(画家)
何度見ても楽しめた。恋愛映画で時折感じる違和感がなくて、後味がいいとか、そういうことじゃないところが、すごくよかった。
ドランの映画にもある、深くてたどりつかない、とどきそうで、とどかない感じ。現実で出会うそういうものに、なんだか近い気がした。
なおこちらのイラストのカラー版は劇場販売されるパンフレットに収録されている。
また実際に発生した地震や、実在の大量殺人鬼エリオット・ロジャーをモデルにした事件が描かれている2014年のロサンゼルスを舞台にしたパートの1シーンであるスリリングな本編映像も解禁となった。レア・セドゥ演じるガブリエルが、一人で過ごす豪邸でオンライン占い師から「あなただけに話すわ」と言われたあと、得体の知れない何かの存在に気がつき、怯え、叫ぶ! その姿は往年のサスペンス映画のようであり、またサブリミナル的に差し込まれた映像には「けもの」のような影が……。
そして、小説家の平野啓一郎、俳優の竹中直人などの著名人からのコメントに続き、 劇作家・演出家・俳優の長塚圭史、アーチストの長島有里枝、社会学者の西田亮介などからも絶賛コメントが到着した。
コメント
在本彌生(写真家)
どうかこの先も人類が豊かな「感情」と共に、未来を築けますように。
劇中の時代クラブが素敵、あんな店なら毎週通いたい。
長島有里枝(アーチスト)
間違わない世界と引き換えに捨てかねない宝石があることへの注意喚起、パンクでセクシーな世界観に溺れた!
長塚圭史(劇作家・演出家・俳優)
いかなるテクノロジーを以てしても、心の奥深くで想った人の記憶は消すことはできない。人間の強靭な意識への讃歌。物語を越えた映画のならではの時間を体感した。
西田亮介(社会学者、日本大学危機管理学部教授)
AIによる人間の脆弱性への介入が現実味を帯び、規制される時代に、時代を超える描写で「人間性とはなにか」に迫った実験作。
ぬまがさワタリ(いきものクリエイター)
3つの時空が絡み合う壮大な心理劇を刺し貫く、赤く輝くハトの瞳。
その翼が運ぶのは、死か恐怖か、人智を超えた運命か。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
感情は仕事の邪魔になるって? 感情も意識もなく虐殺を起こしてしまうようなAIには言われたくない台詞です。感情を素直に表現すべきか、抑制すべきか、その選択がどんな結果をもたらすか、なかなか答えの出ない課題を突きつける作品です。レア・セドゥの演技が見事です。
星野概念(精神科医)
人生も、臨床も、他のいろいろなことも、こころを使うほど豊かに、そしてややこしくなっていくように感じます。
豊かだけどややこしいことが急速に少数になっていきそうな現代の怖さをひしひしと感じさせる、すごくややこしい構成の、非常に魅力的でフラクタルな作品でした。
公開表記
配給:セテラ・インターナショナル
4/25(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)