
イントロダクション
高齢化社会にあって、アルツハイマー病や認知症といった病気と、どう向き合って人生の最後を終えるのか。これは今、多くの人たちが直面する人生の課題だ。本作は、遺伝性アルツハイマー病を宣告され、自らの余命を知る女性小説家が、最後に自分の尊厳を守り、そして、残る人たちに美しい記憶を残そうと静かに行動した究極の人生最終章である。
主役の中山美穂はアイドルとして国民的人気を博し、最近では映画やドラマでも大活躍する女優である。本作では自身の年齢より年上の女性小説家の役を見事にこなしており、ラスト・シーンでみせる、遺伝性アルツハイマー患者の無垢で透き通るような表情が観る者の心を揺さぶる。
涼子をそばで支える韓国人留学生役には、TVドラマ「コーヒープリンス1号店」などで日本でも大人気となったキム・ジェウク。アルツハイマー病という重いテーマを考えさせる一方で、残された者たちが患者とどう向き合うべきなのか、そして自身の未来にどう向き合うのか、観る者に突きつける重要な存在を、純朴な表情と流暢な日本語で体現している。本作の撮影後、キム・ジェウクはドラマ「愛の温度」に出演。韓国で大ブレイクしている。
監督を務めたチョン・ジェウンは、韓国屈指の女性監督で、『子猫をお願い』(01)でデビュー後、劇映画とドキュメンタリーの双方でマルチにその手腕を培ってきた。本作では作家を主役に配し、彼女の住む家や書斎へのこだわり、日本文学をリスペクトした劇中劇など豊潤な表現で、独自の才能とセンスを印象付けている。また、初の劇映画音楽に取り組んだ新垣 隆の叙情的な音楽ときめ細かく臨場感あふれる映像が、作品を一層儚く美しい人間ドラマに昇華させている。
ストーリー
50代でありながらも美しく、若い読者にも根強いファンを持つ、売れっ子の女流小説家・松村涼子(中山美穂)。作家として成功し、満ち足りた生活を送る涼子だったが、遺伝性のアルツハイマーに侵されていることを知り、人生の終焉に向き合うことを余儀なくされる。“魂の死”を迎える前に、小説を書く以外に何かをやり遂げようと、大学で講師を務め始めた涼子。ある日、大学近くの居酒屋で、韓国人の留学生チャネ(キム・ジェウク)と出会い、ひょんなことから涼子の執筆活動を手伝うことになる。作業を進めるうち、現実と小説の世界は混沌として交差して行き、二人も徐々に惹かれあっていくのだった。しかしアルツハイマーは容赦なく進行していく。愛と不安と苛立ちの中、涼子はチャネとの関係を精算しようと決意するのだが、その思いはチャネには受け入れがたく、二人の気持ちはすれ違っていく……。
(2017、日本・韓国、上映時間:111分)
キャスト&スタッフ
出演:中山美穂、キム・ジェウク/石橋杏奈、勝村政信、菅田 俊、眞島秀和、澁谷麻美/永瀬正敏
監督:チョン・ジェウン
監督・脚本・原案:チョン・ジェウン
ストーリー・劇中小説:藤井清美
音楽:新垣 隆
エンディング・テーマ曲:「朝焼けの中で」作詞・作曲・唄 根津まなみ
企画・製作:山上徹二郎、坂本敏明、イ・ウンギョン
プロデューサー:山上徹二郎、イ・ウンギョン、山口幸彦
アソシエイト・プロデューサー:鈴木俊明、藤岡美和子
ギャラリー
















予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
https://www.cine.co.jp/detail/chouno-nemuri.html
公式X:@chouno_nemuri
公開表記
配給:シグロ
5/23(金)アップリンク吉祥寺ほか全国公開
(オフィシャル素材提供)