
2021年、コロナ禍を機に独学で作り始めた短編アニメーション『MAHOROBA』が、ぴあフィルムフェスティバル、下北沢映画祭ほか国内の自主映画祭で数多くの賞を受賞した鈴木竜也監督がたった1人で、1年半を費やし描き上げた長編デビュー作『無名の人生』。この度、本作がフランスのアヌシー国際映画祭 長編コントルシャン部門にノミネートされた!
『MAHOROBA』ではブラック企業に勤める男が逃亡を図る物語、続く『無法の愛』でははみ出し者の男女の関係を軸に、現実社会で起きた無差別刺傷事件にも焦点を当てるなど、一貫して“不条理な世の中に生きる者たちの生き様”をシニカルな描写で描いてきた鈴木監督。『無名の人生』は、仙台に暮らすいじめられっ子の孤独な少年が、父親の背中を追ってアイドルを目指すところから始まる物語。生まれてから死ぬまでに蔑称や源氏名などいくつもの呼称で呼ばれた主人公の波乱に満ちた100年の生涯を、高齢ドライバーや芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争など今まさに我々が直面する数々のセンセーショナルな社会問題を背景に全10章で描き切る。鈴木監督がたった一人で描き上げた本作は、脚本をあえて準備せず、章ごとにタッチも色彩も変化し、観る者を飽きさせない変幻自在なアニメーションとなっている。
制作期間7年半、総作画枚数4万枚超で国内外を席巻した岩井澤健治監督作『音楽』(19)、世界の映画賞で称賛されたストップモーションアニメ『JUNK HEAD』(21)のヒットが記憶に新しい、日本の個人制作の長編アニメーション市場。今回、岩井澤監督が『無名の人生』のプロデュースを手掛け、アニメ業界にさらなる多様性をもたらす。鈴木監督たっての希望で主人公の声を務めたのは、ラッパーのACE COOL。昨年5月に2ndアルバム『明暗』をリリースし、3月6日には東京・WWW Xでワンマンを開催。その卓越したスキルで抒情的・哲学的なラップを放ち、聴く者を魅了している。田中偉登・宇野祥平・猫背 椿・鄭 玲美・鎌滝恵利・西野諒太郎(シンクロニシティ)・中島 歩・毎熊克哉・大橋未歩・津田寛治の10名。実力派俳優から、フリーアナウンサー、お笑い芸人など、世代もフィールドも異なるキャスト陣が、そのほとんどが声優未経験ながら、監督の孤高の作品作りと唯一無二の作風に共鳴。
5月16日の劇場公開に先駆け、『無名の人生』が、フランスのアヌシー国際映画祭 長編コントルシャン部門にノミネートされた! 「アヌシー国際アニメーション映画祭」は、アニメーション分野の映画祭としては世界最大規模かつ最も長い歴史を持つ映画祭です。長編コントルシャン部門は、「個性のある長編映画、観客に対して挑戦している作品」をテーマに選出される部門。今年は6月8日から行われ、鈴木監督も参加する予定。
この結果を受け、鈴木監督からのコメントも到着した。
いよいよ劇場公開まで1ヵ月を切った『無名の人生』。先日3月18日に先行上映を行ったが、実施直後のfilmarksでのトレンド上位入り、マスコミ試写の盛況、そしてこの度のアヌシー選出などの反響を受け、5月8日(木)に急遽、2回目の先行上映会を行う。上映後には、鈴木監督と、本作プロデューサーで、監督作『音楽』でアヌシーをはじめ海外映画祭を席巻、新作『ひゃくえむ。』公開が控える岩井澤健治監督のアフタートークも行う。
そして現在、武蔵野館の劇場ロビーには、『無名の人生』特製ディスプレイが登場。作品に合わせ、さまざまなディスプレイを展開している新宿武蔵野館。通常は、劇場から専門業者にデザイン発注しているが、今回は特別に鈴木監督みずからデザインしている。武蔵野館史上初の試みとなった特製ディスプレイ、劇場にお立ち寄りの際はぜひご覧いただきたい。

▼鈴木監督からのコメント
これまで一度も海外の映画祭に応募したことがなかったのですが、心魂を傾け作り上げたこの映画を、アヌシーだけに送って、一撃で入選させていただけたことが何より嬉しいです。まるでアヌシー湖のように透明なフランスのお客様の心に、この作品がどんな波紋を描くのか……。齢30にして初の海外渡航。おいしいもんいっぱい食べて、普通に観光も楽しみたいと思います。
『無名の人生』 先行上映会舞台挨拶@新宿武蔵野館
日程:5月8日(木)
会場:新宿武蔵野館
時間:19:15の回 上映後
料金:2,000円均一
登壇:鈴木竜也(本作監督)、岩井澤健治(本作プロデューサー/『音楽』『ひゃくえむ。』)
※ 登壇者は予定につき、予告なく変更となる場合がございます。予めご了承下さい。
入場者特典:特製ステッカー
オンライン予約販売:4月25日(金) 19:00〜
武蔵野館オンライン予約サイトはこちら▼
https://musashino.cineticket.jp/mk/theater/shinjuku/schedule(外部サイト)
ストーリー
仙台の団地でひっそりと暮らす、いじめられっ子の主人公。やがて彼は、ある転校生との出会いから父親の背中を追ってアイドルを夢見るように。そこから図らずも成り上がっていく主人公の美しくも悲哀に満ちた人生が、高齢ドライバーや芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争など、今まさに我々が直面する数々の問題を背景に描かれていく。「本当の名前を呼ばれることの無かった男」が最後に直面する、誰も見たことのない景色とは――。
(2024年、日本、上映時間:93分)
キャスト&スタッフ
監督・原案・作画監督・美術監督・撮影監督・色彩設計・キャラクターデザイン・音楽・編集:鈴木竜也
声の出演:ACE COOL
田中偉登、宇野祥平
猫背 椿、鄭 玲美、鎌滝恵利、西野諒太郎(シンクロニシティ)、中島 歩、毎熊克哉、大橋未歩、津田寛治
プロデューサー:岩井澤健治(『音楽』『ひゃくえむ。』)
予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:ロックンロール・マウンテン
5月16日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)