
登壇者:鈴木亮平、有村架純、 鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ、前田 哲監督
いよいよ全国公開を迎えた映画『花まんま』は公開初日となる4月25日(金)に初日舞台挨拶を実施し、主演の鈴木亮平をはじめ、有村架純、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカというメインキャスト陣と前田 哲監督が登場した。
盛大な拍手で観客に迎えられながら登壇し、イベントがスタート。まず挨拶として、それぞれの作品への想いを口にした。主人公の俊樹役を演じた鈴木は「本日『花まんま』の初日を迎えて、皆さんのお顔を見ながらお話しできるのがとても嬉しいです。この話は兄妹だけではなく、親から受け継がれていく命や、次の世代にどう伝えていくか、別れざるを得なかった人との喪失感など、立ち直っていく過程も含めて人間であり美しい姿だと思います。皆さんがどんな気持ちで観てくださるのかを想像しながら過ごしたいと思います」と初日を迎えた喜びをコメント。
続いて妹・フミ子役の有村は「私たちは監督もふくめ、スタッフの方たちとも非常に和やかに過ごしていました。そういった空気感がしっかりと映像に映っている映画になっています。ぜひ、この春にこの映画を観て温かい気持ちになってほしいです」と挨拶した。
フミ子の婚約者・太郎役を演じた鈴鹿は「この作品は本当に温かくて、愛情にあふれた作品です。約1年前に撮影していましたが、今日公開を迎えて嬉しい気持ちです。映画を観て、大切な人や近くにいる人のことを思い出して、優しい気持ちで帰っていただけたらと思いながら、僕も……帰ります」と締めると、鈴木から「帰るんかい!」と鋭いツッコミを受けて会場の笑いをとっていた。
そして、俊樹とは幼馴染で、フミ子にとっては姉的な存在の三好駒子役を演じたウイカは「この物語は家族、兄妹のお話です。家族は血を分けた家族もあれば、違った形で結ばれる家族があって、自分にとってホームと思える場所に気づきながら歩まれると思います。皆さんにも自分の人生という花を咲かせるために必要な存在がいると思います。そんな人生のかけがえのない存在を思い出せるような映画です」と映画に込められたメッセージとともに挨拶した。
最後に、前田監督は「映画化にいたるまで、原作に出会ってから17年かかって完成しました。今ここにいるメインキャストの皆さんのおかげで素晴らしい作品になったと思います。俳優の皆さんが全身全霊で役に挑んでくれたことが素晴らしいと思っています」とキャスト陣の役への向き合い方や演技力に賞賛を送った。
続いて、それぞれが演じたキャラクターや役作りについての話題へ。本作で俊樹という役を演じる上で、映画では描かれていない家族や兄妹のバックボーンなども考えて準備を重ねたという鈴木。「良い脚本には役の本音は書かれていないんです。役作りの時は、その裏にどんな気持ちがあるかを大事に考えています。俊樹は幼い頃に両親が亡くなってしまった原因について考えて、乗り越えてきたんじゃないかと思います。そして一番こだわったのは、映画の中で描かれていないフミ子の思春期について、すごく大変だったという設定を想定していました。いろんなことを経てきた二人の歴史が見えてくるといいなと思いながら取り組んでいました」とバックボーンを想像しながら役を作り上げたことを明かした。鈴木が考えていたフミ子の思春期時代の設定を今知ったという有村に対して、鈴木は「本人は思春期が大変だったことを気づいていないので、ちょうどいいんです」とフミ子側の立場でコメントした。
有村の演じたフミ子は“別の人の記憶を持つ”というキャラクターで、生まれ変わりとも少し違う、かなり難しい役どころ。演じる上で大切にしたことについて、有村は「フミ子にとってその存在が恐怖心なのかというところから紐解いていきました。フミ子にとってどうなのかを自問自答しながら、別の女性の存在を共存していく感覚で台本を読み進めていました」とフミ子の複雑な役作りについて振り返った。さらに兄・俊樹との関係性について「私も姉がいて妹の立場ですが、異性の兄妹だと関係性が違うと思いました。ベタベタはしない、お互いの悩みや相談事はしないドライな距離感が心地よくて、でも根底には感謝の気持ちがあるので、ラスト・シーンに繋がっていくのだと想像していました」と語った。
改めて、兄妹役として共演したことを聞かれると鈴木は「心からよかったな、幸運だったなと思います」と笑顔で回答し、有村は「私は『阪急電車』という映画がデビュー作で、一緒のシーンはありませんが亮平さんとその作品に出演していました。それから約15年を経てから関西が舞台の映画でご一緒できて縁を感じました。地元のお兄ちゃんのような親近感を持って自分も現場に立つことができました。亮平さんとご一緒で良かったです」と互いに共演できたことへの感謝を伝えた。
鈴鹿の演じた太郎は、カラスと話ができるという役柄。役作りの一環としてカラスのぬいぐるみを常に身に置いていたという鈴鹿は、「衣装合わせの時に小さいカラスのぬいぐるみが置いてあって、ずっと机の上にカラスがいる状態で過ごしていたので、目は慣れたと思います。実際のカラスは生地というか、質感が全然違っていて緊張がありました」と語り、実際のカラスを触ると「生地感」は堅かったという鈴鹿に、鈴木がツッコミを入れて笑いが起きていた。さらに、実際にカラスと会話できる人がいるというエピソードを明かしつつ、鈴鹿は撮影中「カラスに“カァ”って言うとうなずいてくれた」と明かし、カラスと通じ合えていた気がすると自信を覗かせていた。
ウイカの演じた駒子は、俊樹とフミ子とは幼い頃からの付き合いという関係性で、原作には登場しない映画オリジナルのキャラクター。駒子の役作りについて、ウイカは「映画の中では思春期や子どもから大人になる間は描かれていませんが、そこが人生で一番ターニング・ポイントが大きいと思います。その時期におそらく駒子みたいな子が絶対にいたであろうと着想を得たんだと思います。きっと駒子に感情移入してくれる人は多いと思います。役作りはそれほど取り組んでいませんが、衣装合わせの時に前田監督に“駒子やん!”と言っていただきました」とすでに駒子そのものだったことを明かした。さらに、ウイカは「亮平さんがいつも関西弁で話しかけてくれて、昔からいた幼なじみのように接してくれました。現場全体が家族のような雰囲気で初日からやりやすくて、力のかかるシーンは一度もなかったです」と現場の和やかな雰囲気を振り返っていた。
そして、本作で特に話題を集めているのが、フミ子の結婚式で披露する俊樹の感動的なスピーチ・シーン。鑑賞者からは、「思わず拍手してしまいそうなほど感動した」「自分もその場にいるような感覚で涙が溢れた」「私もあんなお兄ちゃんが欲しい!」といった絶賛の声が数多く届いている。そのスピーチの内容について、鈴木は「映画館で観てくださるお客さんが、映画が始まってから登場人物たちの人間関係をずっと見てきて、自分も参列者になってその場でフミ子と太郎の結婚式を見届ける時のことを考えてきました。俊樹がその場で思いついたことを話しているような感覚になってもらうにはどうしたらいいだろうと考えました。子ども時代の撮影シーンを見ながら、ぬいぐるみに関するエピソードを聞いてアイデアを思いついて、亡くなった父が俊樹にどんな話をしたかという部分を取り入れながら、俊樹が感じてきたことを含めてスピーチの撮影日の数日前に完成しました」と、監督やプロデューサーと相談しながら作り上げたことを熱意を込めて語った。
また、「自分の父が生きていたら妹の結婚式でどんなスピーチをしていたんだろう、というのを想像しながら内容を考えました」と自身の家族に重ねながら大事なスピーチ・シーンを準備したのだという。その感動的なスピーチを現場で聞いた有村は「セリフではなく、兄やんの生きている声だと思いました。何度聞いても自然と鼻がつんとしたり、目頭が熱くなるような不思議な時間でした」、有村の隣でスピーチを聞いていた鈴鹿は「兄やんの心の底からでてきた魂の言葉で、言葉から枝分かれしているものもあって、自分が見てきたいろんな記憶が頭の中で再生されていきました。太郎としてもこの言葉を聞いて、より覚悟を決める思いがあったのではと思います」と心に残る素敵なスピーチだったことをコメントしていた。
ここで、劇中で登場するフミ子の口癖である「一生のお願い」にかけて、『花まんま』チームの誰かに「一生のお願い」をするなら?という質問をフリップで回答。
まず前田監督は、「映画『花まんま』を家族や友人に勧めてチョーダイ!」というお願いを観客の皆さんへアピールした。

ウイカは「キャスト・スタッフそのまんまで『花まんま2』をやりたい!」と発表して会場からは拍手が。ウイカは「俊ちゃんのああいうところも観たいという欲がでてくると思います。駒子はフミ子の結婚式に参列しながら、自分がいつ(ウエディング・ドレスを)着れるんだろうかと思っていたんじゃないかな。『花まんま2』いかがでしょうか? きっと観客の皆さんも帰り道では同じ気持ちになっていると思います!」と駒子の心情に寄り添いつつ続編の制作を熱望していた。

続いて鈴鹿は、鈴木に「胃腸をください」とまさかのお願い。鈴木が役に合わせて肉体改造をしているため「きっと素敵な胃腸をお持ちなんじゃないか」と理由を告白し、鈴木からは「ここで言ってどうなるのよ!」とツッコみされつつ「後で控え室で分けます」と承諾を得ていた。

そして有村は、ウイカに「声を少し分けてほしい」とお願い! 自分の声が小さく、鈴木に「声量を上げてほしい」と頼まれたこともあることを告白。「ウイカさんは声に芯があってどれだけ早口でも全部聞き取れるってお芝居をしている身としてはすごく欲しいスペックです」と伝えると、ウイカは「関西人がみんな声でかいと思わすなと心の中で思っている方もいるはず」とフォロー。「出そうと思えば大きい声を出せるのか?」と聞かれた有村は、マイクなしで「おはようございます!!」と元気な挨拶を披露し、観客から大喝采を浴びていた。

最後に、鈴木は有村へ「関西弁でツッこんでください」とお願い! 鈴木が「いよいよ今日4月25日に公開になりました、映画『アンパンマン』ぜひ観てください」とボケると、有村が「アンパンマンちゃうねん!!」と勢いよくツッコミを入れ、会場を盛り上げていた。

イベントの最後に、有村は「すごく楽しく撮影に参加することができて、とても幸せな撮影期間でした。観終わった後に、家族のことを思い返したり、自分の人生を振り返ったり、そんな愛おしい時間に浸れる映画になっていると思います」とコメント。
鈴木は「僕は原作でも描かれているもう一つの家族とのエピソードが本当に好きです。この映画を観て、原作を読んでからまた映画を観ていただくと、より深くこの作品を楽しめると思います。誰かを大切に育てたことがある人や、誰かに育てられた思い出がある人、大切な人を亡くした経験がある人……誰もが持っている記憶の琴線に触れる映画だと思います。今日ご覧になっていい映画だと思っていただけたら、ぜひ周りの人にもオススメしてもらえたら嬉しいです」と観客に向けたメッセージを送り、大盛況のイベントは幕を閉じた。
公開表記
配給:東映
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