大槻泰永(おおつき・ひろのり)は、上京してから32年、サラリーマンをしながら真黒毛ぼっくすとして活動を続けているミュージシャン。酔いどれな印象ばかりが先行してしまうが、ライブ活動だけでなく、大槻の日常を追い、曽我部恵一(サニーデイ・サービス)や石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)などのミュージシャン仲間や元妻、娘なども取材することで、大槻の新たな一面も垣間見れ、あがた森魚とのライブタイトルを冠した代表曲「酔いどれ東京ダンスミュージック」の歌詞の内容も深みを増して感じられてくる、愛すべきドキュメンタリーが誕生した。この度、本作の被写体の大槻泰永のオフィシャルインタビューが届いた。予想を裏切らず、お酒持参のインタビューとなった。
本作監督の長瀬由依は、東京藝術大学に在学中の2016年の春、度重なる偶然の理由で大槻の主催するライブに行き、後日、最寄り駅で目の前を歩いていた大槻に声をかけたことが出会いのきっかけだった。その後何度か杯を交わし、その人柄に惹かれ、卒業制作として構想するも、撮影は2017年春から年末まで続き、未完のまま卒業。のちに完成した作品は、東京ドキュメンタリー映画祭の正式出品作に選ばれた。
本作は、2021年9月17日よりアップリンク吉祥寺にて待望の劇場公開が決定。名古屋・シネマスコーレでは10月9日より、アップリンク京都では近日ほか、全国順次公開される。
アップリンク吉祥寺では、上映後の1曲ライブ演奏付きのトークショーも決定している。
黒条奏斗
1985年、就職で上京を機に真黒毛ぼっくすを結成、ライブハウス等で演奏活動。
1989年、太陽レコードより4曲EP「ダイナマイト」発表。その後、ライブごとに演奏者を集めるかたちで精力的に活動、自身の青空レコードより「酔いどれ東京ダンスミュージック」「夢の旅」等10枚のアルバムを発表。
2020年には曽我部恵一と共演した「純情LIVE!」を発表。また「九十九里浜まで」がTVで取り上げられて話題になる。
所属されている真黒毛ぼっくすについてお教えください。
自分がやりたいメンバーの寄せ集めでやっています。まぁ適当なんですね。1985年位からだと思いますけど、緩やかな形態になったのは、この20年位かな。
“酔いどれミュージシャン”と呼ばれていますが、いつ何を飲んでいるんですか?
今日はウィスキーですね。お酒はずっと飲み続けるんです。仕事の時以外は。アルコール依存なんですよね。アルコールがないことが怖いんですよね。大体飲み続ける。平日は仕事が飲み終わったら飲み始める感じです。
本作ご出演の経緯をお教えください。
俺が終電を降りた時に長瀬が後ろから歩いてきて「大槻さんですよね?」って声かけてきてくれて。今思うと奇跡的です。「あれ、可愛い子ちゃんじゃない。呑みに行こうか?」って言ったら、家に来たんだよね。異常だったけど。当時は無欲で長瀬とただ飲んで楽しかったです。
長瀬が卒業制作で撮りたいって言ったから、びっくりしちゃうよね。やりましょうという感じだったよね。全然期待していなかったし。
撮影を半年続けていかがでしたか?
お互い分からないから試行錯誤だった。長瀬が質問しに部屋に来たり、ライブなど撮影してくれました。やっているうちに、長瀬とのプロセスは、若干いい方向に行ったんじゃないかなと思います。僕は出演している側なのにさんざん長瀬に要望を出しました。
曽我部恵一さんが本作について、「この映画にはいろいろな天才的なミュージシャンが出てきます。よくもまあ、これだけの人たちが、と思う。レベルとしては、ザ・バンドのラストライブを映画化したマーティン・スコセッシ監督の『ラスト・ワルツ』級だ」とおっしゃっていますが?
(あれだけのメンバーが)よく来たよね。たまたまだよね。俺の才能じゃないよ。
過去にもご一緒した方たちが、またご一緒したいと思ったっていうことは、愛されているからだと思うんですが?
まぁ若干はね……。自信ないけどね。
本作の見どころはどこだと思いますか?
僕は今回の作品が公開されて、いいと思ってくれる人がいれば、ありがたいなと思うけれど、自分としてはダメですよ。客観的に見られないです。酔いどれだし。
本作を観た方からはどのような感想をもらいましたか?
「一人のある側面をしっかり捉えていると思う」や「編集も構成もライブシーンも素晴らしい」などの感想を頂きました。
読者にメッセージをお願いします。
もし興味を持った方がいたら、ぜひ劇場に足を運んでください。言葉にできない何かを感じてもらえたら嬉しいです。
公開表記
配給:アルミード
9月17日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)