漫画家・浅野いにお⽒による新境地にして衝撃の問題作を原作にした映画『零落』(3⽉17⽇公開)の⼀般試写会が3⽉9⽇(木)に都内劇場で⾏われ、主演の斎藤 ⼯と主題歌『ドレミ』を書き下ろした志磨遼平(ドレスコーズ)がトークショーに参加した。
上映終了後の会場内のディープな雰囲気を⾒ながら志磨は「すごくズシンと後を引く映画ですよね? 皆さんも今そんな気持ちではないですか?」と呼び掛け、斎藤も「内臓に響く、ホルモン・シネマです。ホルモン焼き映画……それはさすがに違うか」と笑わせつつ「撮影中は“回復をしない”をテーマに過ごしていた。⽇々リセットされてチャージしないことが唯⼀、本作に対する向き合い⽅だと思って。完成した作品を観て⾃分がまさにその状態だったので『ちゃんと回復してねえな』と思えた」と主演としての⼿応えを報告した。
志磨は深澤 薫(斎藤)に同じ表現者としての“業”を⾒たという。⼀⼈のミュージシャンとして「歌うにしてもしっちゃかめっちゃかに歌うし、曲作りにおいても綺麗ごとは書かない」ことを⼼掛けている志磨は「僕らがやっていることは、みっともなければみっともないだけ喜ばれる仕事。ライブをやって頂くお⾦は“みっともない代”だと思っている。深澤だって漫画を辞めればいいだけの話なのにそれをせず、⼈を傷つけている。それは表現者の“業”なのだと思う」と鋭く分析。すると斎藤は「僕は⾃分のターニグ・ポイントになった『昼顔~平⽇午後3時の恋⼈たち~』で、不貞という絶対に⼈には⾒せない部分を映像で表現して⼈⽬に晒すことで報酬をいただいている、ということを実感した」と志磨の⾔う“みっともない代”の意味を深く理解していた。
志磨は⾳楽を担当するだけではなく、深澤 薫(斎藤)にインタビューするデリカシーのない記者・くぅ~太郎役として出演。斎藤は「くぅ~太郎の悪気のない⾔い⽅によって深澤 薫の傷や痛みの輪郭がクリアになる。志磨さんの⾔葉が悪意なくブッ刺してくる細い針のようで、精神的にきつかった……」と志磨の熱演にたじろぐと、当の志磨は「そのように思ってもらえたならば良かったです! 撮影もとても⾯⽩かった」と胸を撫でおろしていた。
浅野による原作漫画の魅⼒の話題になると志磨は「⽂学的であり、まるで私⼩説に近い漫画家漫画。セリフのないようなところの漫画表現がものすごくて、⾏間を読ませるような⼒がある」と絶賛。斎藤は浅野がつげ義春の『ねじ式』に衝撃を受けて漫画家になったヒストリーに触れながら「⽵中監督のデビュー作もつげ義春さん原作の『無能の⼈』で、『零落』とは親⼦関係にあるような気がする。浅野さんの原作を初めて読んだときに僕は“え!?”と思った。普段⾒落としがちな影の部分に美を描くつげさん同様、浅野先⽣も漫画を描くことで浄化する向き合い⽅をしていると思った」と孤⾼の漫画家との共通点を⾒出していた。
観客とのQ&Aではお互いの印象を尋ねる質問が。⽑⽪のマリーズ時代から志磨のファンという斎藤は「それこそ下北沢の⼩さなライブハウス時代から追いかけていた⼈なので、今回の融合はご褒美です。同い年ではあるけれど、これからも追いかけていくべきクリエイターのお⼀⼈。これからも想いを募らせていきます」とラブ・コール。志磨は「僕は天邪⻤な性格。そんな僕に共感するという⽅は僕と同じようなところがあると思う。斎藤さんは華々しい世界にいる⼈だと思っていたけれど、こうやってお話を聞いていると“だから僕の曲を聴いてくれていたのか!”と分かります」と納得し、斎藤に向けて「ひねくれたところがおありですね? なんだか僕はホッとして嬉しいです」とニヤリとしていた。
最後に3⽉17⽇の劇場公開に向けて志磨は「初めて映画の劇中⾳楽を作ったので、個⼈的に⼀⽣忘れられない映画になりました。そんな作品が公開になることを光栄に思っています。皆さんも折に触れて観返したり、周りの⼈に勧めてくれたら嬉しいです」とヒット祈願。主演の斎藤も「内臓に落とし込まれた『零落』をしっかりと咀嚼して、この作品が皆さんの内側にどう響いたのか、それを⾔葉や⽂字にしてほしいです。僕はGoogle社を超える絶対的な謎のサーチ能⼒を使って皆さんの感想を⾒つけますので、ぜひ⾔葉にして表現してください」と期待していた。
登壇者:斎藤 工、ドレスコーズ・志磨遼平
MC:SYO
原作情報
BIG COMICS SPECIAL『零落』浅野いにお
全1巻発売中 小学館・刊
「何やってんだよ、俺」零落(おちぶ)れた深澤がちふゆを追いかけて逃避⾏ ドレスコーズの「スーパー、スーパーサッド」が流れる本編映像解禁!
零落(おちぶ)れた元売れっ⼦漫画家・深澤が束の間の安息を願って、⾵俗嬢・ちふゆを追いかけて⽥舎へ⾏くシーンを初解禁。⽗親の⾞を借りたちふゆが⾼校の時によく聞いていたという曲を⾞で流しながら深澤を迎えに来る。いつもラブホテルでしか会わない“猫のような⽬をした”⾵俗嬢・ちふゆの⼀⾯しか知らない深澤は、少し⼾惑っていた。さらに⻘い空の下、⾵の⾳が鳴る海岸を⼆⼈が歩くシーンも公開。「⾃由でいるのにも才能が必要なんだと思う」と話す深澤に対し「あなたにその才能が?」と尋ねるちふゆ。深澤は⾃分のなかの想いを少しずつ静かに⾔葉にしていく。
ちふゆが⾞で流している曲は、本作の⾳楽を担当したドレスコーズ・志磨遼平が2014年に発表したアルバム『1』(読み:ワン)に収録された楽曲。3⽉8⽇(⽔)に発売となった7inchレコードには、主題歌「ドレミ」と「スーパー、スーパーサッド」のオリジナル⾳源が収録。なお「スーパー、スーパーサッド(劇中ラジオedit)」を聴くことができるダウンロードコードが封⼊されている。本商品は ELR store(ECサイト)と⼀部店舗で購⼊することができる。
「ドレミ」7inchレコード発売中
ELR store:https://kingeshop.jp/shop/g/gNDS-1065/?elr=44598(外部サイト)
販売サイト一覧
https://evilamag.com//uploads/2023/01/dresscodes_7inch.pdf(外部サイト)
[価格]\2,000(税抜価格 \1,818)
[形態] 7inchレコード
[品番] NDS-1065
[収録内容]
01. ドレミ (映画『零落』主題歌)
02. スーパー、スーパーサッド (映画『零落』劇中挿⼊歌)
公開表記
配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ
2023年3月17日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)