TBSは魂を揺さぶる良質のドキュメンタリー映画の発信地となるべく立ち上げた、新ブランド「TBS DOCS」 のもと、今年も 『TBSドキュメンタリー映画祭 2023』を開催中。
開催から二日目となった「TBSドキュメンタリー映画祭2023」。3月18日、ミステリアスな仮面をかぶり、L.A.メタルブームに沸くミュージック・シーンのど真ん中でギタリストとしての地位を築き上げた謎の日本人ギタリストKUNIの軌跡に迫るドキュメンタリー映画『KUNI 語り継がれるマスク伝説~謎の日本人ギタリストの半生~』が上映され、佐藤功一監督と音楽評論家の伊藤政則が舞台挨拶を行った。
企画経緯について佐藤監督は「KUNIと僕は歳も近く、ポール・スタンレーが好きであり、KISSの『デトロイト・ロック・シティ』からハードロックの扉を叩いた。私は今年の1月にTBSを定年退職し、KUNIも来年還暦を迎える。彼の映画を作るのは今しかないと思ったし、このチャンスにKUNIを紹介しようと思った」と述べた。
KUNIを昔から知る伊藤は「KUNIで映画を作ろうと思ったのがすごい。しかもTBSのバックアップで制作されると聞いて本当にビックリした」と驚愕。劇中では伊藤からのさまざまな貴重な証言もあるが「僕が登場しすぎている感もあるけれど、きっとKUNIも喜んでいると思う」と作品の完成を祝福していた。
さらにKUNIからのビデオ・レターも上映された。KUNIは「L.A.で活動した1980年代から現在までを追うこのドキュメンタリーを通して、若い方々にもこんな人がいたんだと思っていただけたら」とメッセージを寄せた。
ちなみに佐藤監督がKUNIと初対面したのは、2016年開催のメタルフェス・ラウドパーク16というが「実はその時はKUNIさんの偉業を知らず、KUNIさんの演奏中はトイレ・タイムにしていてライブは見ていない。あとでKUNIさんには怒られました」と苦笑い。これに伊藤は「え? KUNIのラスト・ライブを見ていないの!? 嘘でしょ!?」と衝撃的告白に目が点状態も「KUNIはあれが最後のライブと言いながらも、しばらくして『オズフェストに出られないかな? すごいメンツを集められるよ』と電話が来た」とKUNIの衰えぬやる気を報告していた。
そんな謎の日本人ギタリストKUNIの魅力について伊藤は「人間的にいいやつで、悪気がないけれど金魚のフンみたいなところがある。呼んでもいないのにミュージシャンのレコーディングの場にいたりして(笑)。人間関係を作るのがとても上手い」と評価。佐藤監督は「この映画をきっかけにKUNIのことを知ってもらい、彼がまた改めてギターを持って復活するかは分からないけれど、僕はその日を待ち望んでいます」と期待した。
また佐藤監督は「一つの質問をすると話がいろいろな方向に広がるので、KUNIのインタビュー収録には時間がかかる」と撮影時の苦労を打ち明けると、伊藤も「彼は流れるようにしゃべって話がどんどん飛んでいくので編集点が付けづらい。でもそれがKUNIというキャラクター」と笑顔。佐藤監督が「KUNIさんは人の好さが原点としてあるような人」と評すると、伊藤は多くの海外ミュージシャンたちが本作の撮影に協力していることに触れて「じゃなければここまで豪華なミュージシャンは集まらない」とKUNIの魅力的な人間性に舌を巻いていた。
登壇者:伊藤政則(音楽評論家)、佐藤功一監督
『KUNI 語り継がれるマスク伝説~謎の日本人ギタリストの半生~』
監督:佐藤功一
「絶対プロになってみせる! 強い信念のもとアメリカへ渡った⽇本⼈ギターリスト「KUNI」。
ミステリアスな仮⾯をかぶり、LA.メタルブームに沸くミュージック・シーンのど真ん中でギタリストの地位を築き上げ、悲願の全⽶デビューを果たす。
帰国後、プロデューサーとして⾳楽シーンに貢献をした後、再びステージに⽴つが突如ギターを封印。
なぜ彼はギターを封印したのか? ロック・シーンの最先端を駆け抜けた「KUNI」の謎に迫る!
(オフィシャル素材提供)