現代において最も影響力のあるアーティストにして“伝説のロック・スター”デヴィッド・ボウイの人生と才能に焦点を当てたドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』。いよいよ公開を今週3月24日に控えた、本作の公開直前特別トークショー「デヴィッド・ボウイの無限の世界へ~レトロスペクティブ・ナイト~」が、3月22日(水)にSUPER DOMMUNEにて開催された。
本トークショーにはボウイを敬愛するミュージシャンの土屋昌巳とSUGIZOが登壇。二人が憧れ、追い続けてきたボウイの広大な知識と貴重な実体験のエピソードを交えた、ディープなボウイトークが繰り広げられた。
約40名のボウイ・ファンが詰めかけた満席の会場に登場した土屋とSUGIZOはそれぞれ「今日は楽しんでいってください。(SUGIZOくんは)茶飲み友達なので(笑)」(土屋)、「僕が最も影響を受けたデヴィッド・ボウイのトークを、最も影響の受けた師匠の昌巳さんとご一緒できて光栄です」(SUGIZO)と挨拶。日本におけるボウイの語り手として欠かせない存在の二人だがボウイと直接会う機会は得られなかったそうで、SUGIZOが「最後までファンタジーの存在でしたね」と思いをこぼすと、「ボウイも言ってたけど、夢は果たせないから意味がある」と土屋もフォローしながら互いにボウイへの熱い思いを滲ませた。
そんな冒頭からボウイ愛があふれ出る二人のボウイとの出会いについて「『スペイス・オディティ』がリリースされた、高校3年から大学1年生くらいのときですね」と土屋が振り返れば、「『戦場のメリークリスマス』ですね。その直後にリリースされた『レッツ・ダンス』を聴いたときに存在をしっかりと認識しました」とSUGIZO。ボウイに魅了されたきっかけを尋ねられると、土屋が「お顔が綺麗。絶対的なビジュアルですね」と即答。「それから音楽のすごさに気づいていきました」と明かすと、「同感です。子どもの頃は本気で付き合いたいと思っていました」とSUGIZOからは衝撃の告白も! その後は、楽曲やライブ映像を鑑賞しながら年代ごとに様変わりしていくボウイの歴史を辿りつつ、それぞれの“私とボウイ”について語り尽くし、いよいよ話題は本作の感想へ。一足早く試写で観賞したという二人は「芸術を見たいと思ったら強く推奨します。芸術というのは簡単に分からないんです。優れた芸術家というのは簡単に分からせないように創っていますから。この作品にもそれが根底にあるんです。そして、(劇中で語られる)ボウイの一言一言が重いんです。そして半分以上何言っているか分からない(笑)。そして最後には宇宙船の外に放り出されたように“答えなんてないんだよ”という声が聞こえてきましたね」(土屋)、「僕は大ロック・スターであるボウイの裏側にある静けさが好きで。劇中でも寺院を訪問する姿などが描かれていますが、最も派手な世界にいたからこそ精神世界では静けさやスピリチュアルなものを求めたのではないかと感じるんです。そのボウイが求めた感覚をいまならよく分かるのでとても感慨深い。おそらくボウイの二面性というか、核心は静けさや普通の英国のジェントルメンだったのではないか」(SUGIZO)と、ミュージシャンならではの共感、分析を交えながら感想を語った。
さらに、土屋が「音がとにかく素晴らしかった。『ボヘミアンラプソディー』と同じスタッフが担当していて、どうやって作ったのか聞いてみたいですね。これまでに観てきたライブ映像の音と明らかに違うので、ぜひ劇場で聞いてみてほしい」と、本作の音について絶賛すると、SUGIZOは「この映画のために伝説の楽曲たちをミックスしている。さらにボウイが大好きだった往年のSF映画なども素材としてミックスし直しているのですが、それを作品として成立させる総合力が素晴らしい」と付け加えた。
トークの総括として二人にとってデヴィッド・ボウイとはどんな存在かを問われると、「人生そのもの。死ぬまで追いかけるでしょうし、その時まで僕のなかでボウイは生き続けている」と土屋は生涯ボウイ宣言。SUGIZOは「僕の永遠のヒーロー。ボウイ以上のヒーローは僕にはいない。夢はボウイのツアー・ギタリストになることだったんです。それは本当に叶うと思ってたんですけどね」とボウイへの憧れを噛みしめるように語った。
最後に、「映像ももちろん、音も素晴らしい。一度、本気でボウイと向き合ってみてください。損はしないと思います」(土屋)、「お世辞抜きに音楽ドキュメントの最高峰。あたかもボウイの脳内を覗いている、ボウイに語り掛けられているような2時間20分です」(SUGIZO)と観客に向けてメッセージを送り、イベントは終了した。
登壇者:土屋昌巳、SUGIZO
公開表記
配給:パルコ ユニバーサル映画
IMAX® / Dolby Atmos 同時公開中
(オフィシャル素材提供)