映画『お終活(しゅうかつ) 熟春! 人生百年時代の過ごし方』(2021年春公開)の製作発表記者会見&セットビジットが3月16日、千葉県流山市の柏日本閣で行われ、主演の水野 勝、剛力彩芽、松下由樹、高畑淳子、橋爪 功、香月秀之監督が勢ぞろいした。
本作は、終活をモチーフに、葬儀社に勤務する主人公、菅野(水野)が、離婚危機にある結婚四十数年になる大原夫妻(橋爪、高畑)と知り合い、積み重ねた人生を一度整理する大切さを教えながらも、自身も絶縁していた父親との関係を見つめ直すというストーリー。
コロナウイルス対策として、取材陣、関係者はマスク着用の上、アルコール消毒、検温を行った上での参加。100人弱のメディアが集まり、橋爪は「たくさん、いらっしゃったんですね。この様子を山田洋次監督が見たら、嫉妬するじゃないかな」とユーモアたっぷり。香月監督も「撮影にもコロナの影響はあったが、このまま乗り切れそうな感じです」と報告した。
葬儀会社の新入社員を演じる水野は「実際に(本作の葬儀監修、ロケ協力の)一柳葬具總本店さんに足を運び、講習を受けさせていただきました。ベテランの方々の胸を借りて、真摯に役に向き合いたいです」。熟年離婚寸前の夫婦を演じる橋爪と高畑。「最近、終活、終焉という映画にしか出られないので、熟年と言われるとありがたい」(橋爪)、「長く時を過ごしているのに、けんかばっかりしている夫婦なんですが、あることをきっかけに思い出すシーンがあって、そういうことは大切にすべきだなと思います」(高畑)。その親夫婦の危機を食い止めようとする娘役の剛力は「熟年離婚寸前の両親って、どんなだろうと想像がつかない。お二人の些細なけんかから始まり、大きくなっていくのを見ていると、どうしてもお母さん寄りになったりする。私たちの立場から見て、夫婦、両親はどう見えるのか、何かを考え直すきっかけになればと思っています」と話した。一級葬祭ディレクターの資格を持つ葬儀社の社員を演じる松下は「お終活のタイトルの通り、終わりを迎えるというよりは、終わりのために生きるということがどういうことか、ということを強く感じております」と本作の核を語る。
この日は、同所で、真一(橋爪)と千賀子(高畑)の金婚式にて千賀子が所属するコーラス・グループによる歌唱シーン、子どもたち(剛力)が両親に贈り物をするシーンの撮影が行われた。香月監督は「脚本も書いているのですが、俳優さんの魂が入っていくと、自分の書いたもの以上になっているシーンが多々あって、想像以上に手応えを感じている。山田洋次監督には負けると思いますが……(笑)」と話していた。
「人生整理」をすることになった場合、最初にしたいことは?
水野 勝:僕は、BOYS AND MENというグループ活動と並行して、役者をやらせていただいています。グループは10周年になって、転換期。ただ、歌って踊っていくだけではなく、メンバー個人個人が何をできるのか、お客様に喜んでいただけるパフォーマンスができるのか。そう思った時に役者を頑張っていきたいと思っています。人生整理ではないですが、グループ活動と役者業を一生懸命やっていきたいと思います。
松下由樹:人生整理よりも家の整理です。まずは断舎離して、家の周り、身支度を整えたい。そんなことくらいしか思い浮かばない。
剛力彩芽:私も洋服の整理をしたばかり。小さい時から大事にしている物もたくさんあるので、これからの人生のために振り返ってメモしたり、家族に聞いてみたりしたい。楽しみながらお片付けをしたい。
高畑淳子:畳一畳しか、洋服を持たない女になりたい。
橋爪 功:私に聞くのですか? それは単なるいじめでしょう(笑)。
香月秀之監督:この映画の中に好きなセリフがあります。それは『思い出は年を取らない』。僕も年を取ってきて、定年になった同級生と同窓会ばかりをしている。その時は子どもの時の感じで楽しそうに喋っていることが多々ある。そういうことをしながらではないと、人生は楽しくないんだろうなと思っています。
身近なことで整理したことは?
水野 勝:僕も断捨離はしました。先日、引っ越しまして、整理した学生時代の写真を見て、こんなだったんだ、と。いい機会になりました。
剛力彩芽:洋服の整理をしたばかり。増えるんですよね。こういうものを着ていたんだと思うと、なかなか整理できない。大好きなので、毎シーズンずつ増えていくんです。
久々の映画出演は?
剛力彩芽:お芝居は久しぶり。すごい緊張しましたが、素敵なキャストさんばかりで、温かく迎えてくださったので、楽しくやらせていただいています。
コロナウイルスの影響はありますか?
水野 勝:いろいろなところでライブが中止になり、映画館も自粛しているところもあります。エンターテインメントに携わっている身としては収束して欲しいです。ただ、多くの人の健康にかかわっているので、慌てる必要はないかなと思っています。今は団結してこの作品に取り組んでいます。
橋爪 功:僕は、気が小さい後期高齢者なので、テレビは観ないようにしています。大変な世の中ですよね。困ったな。でも、僕らよりも困った人はたくさんいる。もっと退院の記事を出して欲しい。全快して、ほかの病気も治っちゃったとか、明るいニュースがほしいです。
高畑淳子:私も退院した方のことを伝えて欲しいと思っています。
剛力彩芽:たくましい両親なので、見守るだけですね(笑)。実際ロケにも影響は出ていますが、それでも活動ができるからこそ、笑顔になってもらえる、いい作品を届けられるようにしたいと思っています。
松下由樹:直接影響受けたのは、病院でロケの許可が出ず、セットで撮影したことのみです。お互いに気をつけて、最低限ケアして臨むべきかなと思っています。
プロデューサー・川田 亮氏:終活=死に支度と取られがちですが、この映画は人生整理がテーマ。暗いイメージを持っている方もいますが、この終活後こそ、新たに明るく過ごせる人生がある。また、親子の二世代がテーマ。人生の転換点を迎える70代と30代の男女の違い、世代間交流を香月監督の脚本と演出、出演者の多彩な演技で見せていきたい。
葬儀シーン監修、ロケーション協力、一柳葬具總本店、加藤智弘氏: 一柳葬具總本店は名古屋で創業143年の会社です。最近、目立っているのは急死。昨日の夜、お酒を飲んだ、朝ごはんをいっしょに食べたばかりという方が亡くなっています。核家族が進み、一緒に住んでいる方は少ない。生活環境が分からず、親戚も疎遠になっている。家族だけで葬儀をやるというのが多くなっている現状があります。そこで役に立つのはエンディングノートです。万が一の時に誰に連絡して欲しいとか、銀行の通帳や印鑑はどこにあるとか、残されたご家族が後から助かるわけです。ただ、法的な効力はないので、遺言書をお作りすることをオススメします。
登壇者:水野 勝、剛力彩芽、松下由樹、高畑淳子、橋爪 功、香月秀之監督
キャスト&スタッフ
監督:香月秀之
出演:水野 勝、剛力彩芽、松下由樹、高畑淳子、橋爪 功ほか
(2021年、日本)
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給 イオンエンターテイメント
2021年春、公開!
(オフィシャル素材提供)