ドイツ、フランクフルトで開催された第23回ニッポン・コネクションでは、満員御礼が続出する盛況ぶりを見せ、2023年6月11日(日)の授賞式をもって6日間にわたる映画祭が幕を閉じた。約100本に及ぶ日本の短編・長編映画が市内の8会場で上映されたほか、60以上のイベントが開催された。スター・ゲストの三浦透子氏を含め、約45名の映画関係者及びアーティストが日本から来独、また100名を超えるゲストが世界中から駆けつけ、作品・パフォーマンスを観客に紹介する機会を持った。会場来場者数は過去最多の18,500人超を記録。来場者、専門ビジター、ゲストが多岐にわたるプログラム、フランクフルトでの夏祭りを共に楽しんだ。
6月11日に映画祭会場Künstler*innenhaus Mousonturmで授賞式が行われ、今年の映画祭が閉幕した。今年のニッポン・ライジングスター・アワードは俳優、歌手の三浦透子氏に閉幕式にて直々に贈呈された。本賞は日本映画界の卓越した若い才能を讃えるべく今映画祭で初めて授与された。第23回ニッポン・コネクション映画祭では、三浦氏は『ドライブ・マイ・カー』、『そばかす』、『私たちのハァハァ』、『山女』に出演していた。
ニッポン・ヴィジョンズ審査員賞は、リム・カーワイ監督の自虐的にも映るロードムービー『あなたの微笑み』が受賞した。インディーズ映画監督が必死に自分の作品を売りこみに日本各地のミニシアターを訪ね歩く旅。松永大司氏(映画監督)、Karen Severns氏(映画祭キュレーター、ジャーナリスト)、Claudia Bertolé氏(映画学者、批評家、作家)からなる国際的な審査員は、映画から発信されるメッセージ、主演者の見事な演劇と主人公の情熱を高く評価した。今回で13回目となる本賞では、日本映像翻訳アカデミー(JVTA)の後援により、次回作品への字幕が提供される。
またスペシャル・メンションとして、中川 駿監督の『少女は卒業しない』が言及された。審査員は、撮影、編集、自然な演技、感動の結末の巧みさを強調した。
また、3つの観客賞も授与された。今年で第18回目を迎えるニッポン・シネマ賞には、鈴木雅之監督の『湯道』に決定。フランクフルトのメッツラー銀行の後援により2,000ユーロの副賞が贈られた。奇妙なキャラクター、タイミングの良い笑いのセンスをもって、日本の銭湯を愛おしく描き出した。
ニッポン・ドックス賞の受賞作品として観客が選んだのは、金 聖雄監督作品『オレの記念日』。不当な殺人罪の判決を受け29年間を獄中で過ごした主人公。1996年に仮出獄した後、日本の司法システムによって不当な判決を受けた他の多くの被告人のための無罪判決を求める活動を続けている。1,000ユーロが賞金として与えられる本賞は今年で4回目の授与となる。
第9回ニッポン・ヴィジョンズ観客賞を受賞したのは、萱野孝幸監督の『断捨離パラダイス』。ピアニストとしてのキャリアを断たれた律稀が清掃業者で働き出すコメディ。脚本も担当した萱野監督はユーモアたっぷりに、かつ日本の社会システムに批判の目を向け、社会の片隅で生きる作中人物を愛を持って描ききった。フランクフルト日本文化普及センターをスポンサーとする当観客賞の受賞監督には1,000ユーロの賞金が贈られた。
来年、第24回目となるニッポン・コネクション映画祭は、2024年5月28日~6月2日にフランクフルトで開催される。
さらにプログラム重点テーマ「Cityscapes & Countryside」のもと、映画祭で上映された複数の作品が、ライン・マイン地域で今後数ヵ月にわたり上映される予定。上映日程は映画祭ホームページ■公式サイト:NipponConnection.com (外部サイト)にて随時発表される。
映画祭について
日本映画祭「ニッポン・コネクション」は約70人のボランティアを中心としたチームからなるNPO法人「ニッポン・コネクション」により運営されている。また、ヘッセン州のアンゲラ・ドルン科学芸術大臣、フランクフルト市のナルゲス・エスカンダーリ=グリュンベルク市長及び在フランクフルト日本国総領事館の後援を受け開催されている。2000年の映画祭発足以後、日本映画に関する世界最大級のプラットフォームへと発展し、2019年には17,000人を超える来場者を迎え、ヘッセン地方における最大級の映画祭となった。
オンライン・プラットフォームbetterplace.orgにて資金活動キャンペーンが実施されています。
https://www.betterplace.org/en/projects/88584(外部サイト)
(オフィシャル素材提供)