インタビュー

『幸せはシャンソニア劇場から』ノラ・アルネゼデール インタビュー

©Cos Aelenei

1936年のパリ。下町にあるミュージック・ホール:シャンソニア劇場で働く人々の悲喜こもごもを描いた心温まる群集劇

 『コーラス』製作ジャック・ペラン&クリストフ・バラティエ監督待望の最新作『幸せはシャンソニア劇場から』で主役のひとり、歌姫・ドゥースを演じたノラ・アルネゼデールに映画について話を聞くことが出来た。

ノラ・アルネゼデール

 1989年オーストラリア人の父とエジプト人の母の間に生まれる。パリに移住し、幼い頃から歌やダンス、演劇を学ぶ。テレビドラマ出演を経て、『Les deux mondes』(07)で映画デビューを果たす。本作は映画出演2作目だが、2009年度の“ルミエール賞”と“金の星賞”で新人賞を受賞。今後の活躍が期待される美しい女優である。

日本は初めてと伺いましたが、行ってみたい場所はどんなところですか?

 まったく初めてなので、どんなところに行けばいいのか、逆に教えて欲しいわ(笑)。買い物をした渋谷には、もう一度行ってみたいと思っているの。

本作に出演が決まるまでのいきさつを教えていただけますか?

 3年くらい前になるけど、監督が歌える女優を探していると聞いて、オーディションを受けたの。ドゥース役には若すぎるということで、別の歌手役(端役)で出演するために2週間ほど歌の練習をしたわ。そして歌を聴いて、監督が気に入ってくださってドゥースの役をいただいたの。
 大好きな監督の作品に出演できるのなら小さな役でも嬉しいと思っていたのに、監督からドゥース役に挑戦して、「僕と一緒に冒険してみないか」と言われ、夢のようだった。

1936年のパリが背景になっていますが、どのようなリサーチをして撮影に入られたのでしょうか?

 当時の映画作品をたくさん見たわ。歌に関してはエディット・ピアフなどの歌声を聴いて参考にしたの。

撮影当時はまだ10代でしたね。ドゥースはずいぶん大人っぽい役だと思うのですが、役作りで注意されたのはどんなことでしょう?

 ビジュアルは、衣装やメイクアップでかなり変わると思う。それにずいぶん助けられたわ。歌に関しては、当時の歌手の歌い方などを参考にして、古い感じをうまく出すように工夫したの。

たくさんのベテラン俳優さんたちと共演されましたが、その中でどんな風に自分の役を演じようと思われましたか?

 ドゥースは地方からパリに出てきたおとなしい女の子だけど、いろんな人に出会っていろんな経験を積むうちに変化してくわ。歌手としての自分に自信を持つようにもなります。そんな彼女の変化をうまく出したいと思いながら演じていました。

彼らや監督から何か特別なアドバイスを貰いましたか?

 特別にアドバイスをいただいたということはなかったけど、皆さんのお芝居があまりに素晴らしくて、こちらもうまく演じなければという思いだった。ピゴワル役のジェラール・ジュニョさんはフランスでは神話のような方なのよ。一緒にお仕事することが出来て本当に幸せだったわ。ピエール・リシャールさんもそう。ご一緒出来て、いい思い出がたくさん残っているの。

ドゥースはポジティブで強い女性ですが、ご自身との共通点はありますか?

 一番の共通点は歌に対して情熱を持っているということね。私は13歳の時にパリに移住してきたの。そして歌やお芝居のレッスンを受けたりしてから音楽学校に入った。ドゥースも地方からパリに出てきて、ミュージック・ホールに出て歌手になろうとしている。そんな部分が私と似ていたので、私が13歳の頃に感じた感情をそのままうまく作品の中で生かそうとしたの。恐怖や不安を感じるシーンなど、気持ちの揺れるシーンは私自身も経験したことなので演技に生かしたわ。そんな気持ちって誰でも持っているものじゃないかしら? 周りの人の評価がすごく気になる時があるけど、そんなときの不安になる気持ちはうまく演技に活用できたと思う。ドゥースは自分の夢のためにとても前向きよね。私も同じなの。

2009年度の“ルミエール賞”と“金の星賞”で新人賞を受賞されましたが、どんな感想をもたれましたか? 今後はどんな女優になって行きたいですか?

 受賞は全く予想していなかったので、大変嬉しかったわ。今後も出来るだけ長く女優を続けて行きたいと思っているの。いい役を演じて、いい作品に参加したい。今後もいい人たちとの出会いがあればいいなと思っているわ。またミュージカル・コメディに出演したいとも思っている。常に前向きで、向上心のある女優になりたいわね。それと、仕事を通じて世界各地を回りたいの。

 胸元が大きく開いたセクシーなドレス姿で現れたノラ・アルネゼデール。まだ20歳とは思えない大人っぽさ。美貌に加え、劇中で披露される歌声も素晴らしい。今後が期待されるフランスの女優のひとり。いろいろな役に挑戦し、魅力的に成長して欲しい。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:日活
 2009年9月5日(土)より、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋 ほか全国ロードショー

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