イベント・舞台挨拶

バイオコークス体験『ファッション・リイマジン』特別試写会&トークショー

©2022 Fashion Reimagined Ltd

 イギリス発、異端のデザイナーが「世界を変える」までの情熱に満ちた等身大ドリームストーリー『ファッション・リイマジン』が9月22日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開されることを記念して、文化学園とコラボしたサステナブルな試写イベント(観客は文化学園の学生対象)が実施された。ゲストには、文化女子大学短期大学部(現・文化学園大学)の卒業生で、皮をアップサイクルしたきもの作品「THE LEATHER SCRAP KIMONO」で第101回ニューヨーク ADC賞「The ADC Annual Awards」にて銀賞・銅賞を受賞したデザイナー・アーティストの篠原ともえとWWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクターの向 千鶴。
 文化学園大学と近畿大学が共同研究している再生可能エネルギー「Ethical Zamp(エシカルザンプ®)」のワークショップを学生とともに体験、その後、試写会前に映画から考える地球と共存するファッションと、グローバルな視点から見るファッション業界のサステナビリティについて語るトークイベントが開催された。

 新しく服飾をつくる際には、どうしても端切れや仮縫いなどの残布が出てしまう。そこで文化学園大学での実習では、近畿大学バイオコークス研究所が提案する次世代バイオ技術のシステムを導入。<残布を固めて、再固形化することによって、ゼロ・エミッションの循環型社会を実現する>としている。そして実際にその行程を体験した篠原は「すごい!」と感心することしきり。最後には学生から、循環型素材からつくられたイヤリングをプレゼントされ「かわいい! かわいいじゃないですか」と大喜びし、「今度はイヤリングをつくりに母校に帰ります」と笑顔を見せ「これからもたくさんいろいろなものをつくってください!」とメッセージを送った。

 その後は会場をホールに移動し、同学の学生を対象にした試写会を実施。映画上映前にステージに登壇した篠原は「母校です!」と笑顔を見せると、「現在はデザイナーのお仕事をさせていただいております。皆さんと同じようにここでデザイナーを夢見ていて。課題をやったり、作品をつくったりして。こうして夢が叶って、今があります」と挨拶。

 映画をすでに鑑賞済みの篠原は、「とにかくデザイナーのエイミーが徹底しているんですよね。徹底した信念を貫き通すことで、ファッション業界だけでなく、社会も変わっていくのが、ドキュメンタリーとして収められていて。痛快だったシーンもあったし、自分でも、これからどういうクリエーティブをしていこうかと、自分に向き合う時間をいただいたような気がします」とコメント。向も「まるでロード・ムービーを観ているような、終わった後に、気持ちが良くなる映画だなと思いました。それは先ほど篠原さんがおっしゃっていただいたように、彼女が真実を追究することで生まれるものじゃないかなと思います」とコメント。

 そして「エイミーが自分のルーツをたどるシーンがあるんですけど、それってアーティストとして共感できるなと思ったんです」と続けた篠原。「エイミーは自然の中で育っているから、自分の作品にもルーツが映し出される。わたしも出身地が(東京の)青梅なんで。自分の中のルーツに、いつも自然があった。作品にも自分の人生がかもし出されているところがあるのかもしれない」と振り返る。向も「やはりアーティストがゼロから何かを生み出す時は、ルーツというのが絶対に重要なもの。であると同時に、ものをつくるときの素材のルーツ。そのふたつを垣間見ることができる映画だったなということを、篠原さんのお話を聞いていて思いました」と深くうなずきました。

 篠原がサステナビリティに関心を持つようになったのは、つい最近のことだったそう。「でも向さんは早くから関心を寄せていましたし、エイミーも早かったですよね」と語る篠原。篠原からの言葉を踏まえて“ファッション業界がサステナビリティに向き合うようになったのは2010年代後半くらいのこと”だと解説した向は、「でもエイミーは2017年くらいからすでに提唱していたので、少し早かった。もしかしたらまわりからは“変わり者”だと思われていたのかもしれませんね。でもみんながやっていることでなく、みんながやっていないことをやろう、というクリエイターとしての想いもあったと思う」と述べる。

 すると「わたしは今日、向さんとお話しできるのはすごく意味のある時間だなと思っていて。先ほどサステナビリティというのが出てきたのが2010年代後半ごろだとおっしゃっていましたけど、まさにそうしたアクションをすることに背中を押してくれたのが、向さんだったんですよ。わたし自身がファッション・デザインで、自分らしいものづくりを進めていこうと思ったタイミングだった2019年の11月号に向さんがコラムを書いていたのを読んだんですよ。そのタイトルが『サステナビリティこそクリエイティブだ』というもので。それってどういうことなんだろう、と思ったんです」と語ると、向も「篠原さんみたいな方に記事を覚えていただけるなんて。幸せです!」と笑顔。

 「それまで和物が好きとか、ざっくりとしたものはあったんですけど、どこを目指していいか分からなかったんです。その時に、『サステナビリティこそクリエイティブだ』という言葉に出合って。できないことや、困難なことに向き合っても、好奇心をもって楽しそうに向き合っている方たちの姿を取材した向さんが「SDGsの未来は明るいと思った」と書いていたのを見て、わたしも課題があったとしても、ワクワクするようなデザイナーになりたいなと思ったんです。それは<出来ないから自分の好きなものだけをつくる>というデザイナーではなく、挑戦するデザイナーになりたいなと、そのコラムを見て思ったんです」と明かした篠原。そこから自分の作風も変わっていったという。

 皮をアップサイクルしたきもの作品「THE LEATHER SCRAP KIMONO」で第101回ニューヨーク ADC賞「The ADC Annual Awards」にて銀賞・銅賞を受賞という快挙を成し遂げた篠原。向も「篠原さんへの受賞に対してのコメントがたくさん上がっていたんですが、本当にポジティブで。まるで自分事のように喜んでいた人たちが多かったです。クリエイターが日本をひとつの題材として世界に評価されたということで、こんなにポジティブなコメントがあるのか、と思いました」と感激した様子を見せつつも、「だから皆さんにお伝えしたいのは、クリエイターというのは、自分のルーツをもとにメッセージを伝えることなんですけど、それが人に勇気を与えることがあるんだよ、ということ」と呼びかけました。

 「エイミーもそうですし、わたしもルーツがあるから、今の創作があると思う。だからこの映画を観て、皆さんもそれを探してもらいたいなと思います」と呼びかけた篠原。「文化学園というのは、自分たちの爆発的なアイデアを受け止めてくれる懐の深い学校だと思うので、ぜひ皆さんも怖がらずに、クリエイティブを放っていただきたいなと思います」と後輩たちにメッセージを送った。

 登壇者:篠原ともえ(デザイナー・アーティスト)、向 千鶴(WWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクター)

公開表記

 配給:フラッグ
 9月22日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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