アカデミー賞®⼥優マリオン・コティヤールと⼈気俳優メルヴィル・プポーが、最⾼に美しくて、最⾼に仲の悪い姉と弟を演じた、フランスの名匠アルノー・デプレシャン監督最新作『私の⼤嫌いな弟へ ブラザー&シスター』が、9/15(⾦)にBunkamuraル・シネマ 渋⾕宮下などで公開初⽇を迎えた。
公開を記念し、監督のアルノー・デプレシャンが来⽇。劇場公開作は2015年の『あの頃エッフェル塔の下で』以来8年ぶり、来⽇は6年ぶりとなる監督だが訪⽇はすでに6~7回と話し、「また⽇本に来ることができて感動しています。今回は名古屋・⼤阪・京都と⽇本のいろいろな場所に⾏くことができるのでとても嬉しく思います」と久々の来⽇の喜びを語った。さらに「10年ほど前、⻘⼭真治監督と語り合ったことも⼼に刻まれています。彼の『ユリイカ』はまさに完璧な映画だと思います。そして幸運なことに、私は、映画監督としてだけでなく⼈間としての彼の⼀⾯も知ることができました。私が⽣涯で唯⼀⾏ったカラオケも彼と⼀緒でした」と、昨年惜しくも亡くなった⻘⼭監督との思い出を語った。
映画作りへの質問では、脚本の読み合わせは俳優全員ではなく俳優⼀⼈ひとり別々に⾏い、弟役のメルヴィル・プポーはどんなに⻑いセリフもコンマひとつに⾄るまで脚本をリスペクトし脚本通りにやるタイプで、姉役のマリオン・コティヤールは読み合わせの時もセリフ以上に「彼⼥はなぜ弟を憎むのか」といった役の内⾯を掘り起こす、と主演⼆⼈のアプローチの違いを説明。また本作のクローズアップについてスウェーデンの巨匠ベルイマン監督を思い起こしたという発⾔には「ベルイマンは⾃分にとって最も巨⼤な師。彼は⼈間の醜い感情も勇気を持って表現する。彼の映画を⼤きなスクリーンで⾒ると、実物よりもはるかに⼤きな顔に感動し、まるで顔が⾵景のように⾒え、そして怒りなど決して美しくはない感情にも美しさがあり、⼈間の感情の複雑さに胸が震えるのです」と語った。
また、本作で印象的な“涙を流す”という⾏為について、「涙は⼈⽣を“修復”することができると思う」と答え、本作の重要な涙のシーンは、主演のマリオンと撮影のイリーナ・リュプチャンスキという2⼈の⼥性の⾃由なコラボレーションから⽣まれたことを話した。さらに「デビューから30年、何か変わったことはありますか︖」と聞かれると、「“芸術”というもの⾃体には“進歩”はない」と⼀⾔。「(先史時代の)ラスコーの壁画もピカソも偉⼤さに変わりがないのです。けれど、映画監督としての私個⼈には進歩はあります。だから少しずつでも進歩しようと⼼がけています」と本作でようやく到達できたショットについて語った。
そして会⾒の最後には、監督も知らされていなかったサプライズで、主演メルヴィル・プポーからのメッセージ動画が上映。メルヴィルは「実は僕がアルノーと仕事をすることになったのは、⽇本のゴールデン街のバー“ジュテ”で語り合ったことがきっかけだったんだ」と明かした。メッセージ動画を⾒た監督は、「彼のいう通り。東京のバーで話した時のことは昨⽇のようによく覚えている。あんなに酔っ払った⼈間を⾒たのは初めてだったよ(笑)」と満⾯の笑みを浮かべた。マリオン・コティヤールと共に、メルヴィル・プポーの名演も光る『私の⼤嫌いな弟へ ブラザー&シスター』、プポーとの出会いの出発点が、なんと⽇本のバーだったという「驚きの事実」に集まったジャーナリストも拍⼿喝采で会⾒を終えた。
絶賛公開中の『私の⼤嫌いな弟へ ブラザー&シスター』は、9⽉16⽇(⼟)19:00の回上映後には観客との質疑応答を⾏うほか、名古屋・京都・⼤阪でのイベント登壇も決定している。
公開表記
配給:ムヴィオラ
絶賛公開中
(オフィシャル素材提供)