イベント・舞台挨拶

『アンダーカレント』公開記念トークイベント 大島依提亜×木村和平「アンダーカレント」の世界観

🄫豊田徹也/講談社 🄫2023「アンダーカレント」製作委員会

 真木よう子主演映画『アンダーカレント』(10月6日公開)の公開を記念して、下北沢にある本屋B&Bにて10月2日(月)、ポスタービジュアルを手がけたデザイナーの大島依提亜氏と、ポスター撮影を担当した写真家の木村和平氏による初の対談イベントが実施された。今泉監督作品では前作『窓辺にて』で初タッグを組み本作で2作品目となるが、対面したのは本日が2回目で対談イベント自体は初ということで、お互いが距離感をつかむためのジャブを打つかのように静かにイベントがスタートした。

 もともと原作漫画の大ファンだったという木村は完成した映画を鑑賞してみて「僕はかなり好きな映画でしたね。今泉映画の中でもいちばん好きだった。原作漫画は、自分にとっても重要な作品だったので、それをどうするのかなという感じで。それを探る感じで制作過程を見ていたんですけど、出来あがった作品を観たら今泉さんしかできないものだなと思ったし、シンプルに好きな映画でした」と感じたという。一方の大島は「僕が今泉さんの作品に参加したのが前作(『窓辺にて』)からだったんですけど、その前からファンで観ていてはいたんですけど、最近は作品ごとにちょっと重みが増していますよね。主題も単純に重くなっているんですけど、その中に今泉さんの独特の軽さみたいなものがあって、重いものを水の中に入れて、その浮力で軽くするというような絶妙さがあるんで。原作の重さがありながらも、すごく軽やかなところもあって。そこがすごく絶妙ですよね」とコメントした。

 映画のスチールカメラマンとして参加する際は、「監督と撮影監督が話すのと同じくらいに、監督と自分がコミュニケーションをとることができた時はうまくいきますね」と語る木村。今泉監督とは、『愛がなんだ』『街の上で』『窓辺にて』などを担当してきた。そのことを踏まえた大島が「やはり『愛がなんだ』からはじまった今泉さんのスタイルが木村さんの写真になっているんですよ」と指摘すると、木村も「それはありがたいと同時に大丈夫かしら、という思いもありますね。でも最初からうまくいってたわけではなく、最初はもめたこともありましたが、お互いにシンパシーを持ってやっていることが分かってきて。今泉さんがどこを見せたいか、なんとなく肌感覚で分かってきた」と明かす。

 そんな二人が今回タッグを組んだのは本作で3作品目だが、実際に会ったのは本作のビジュアル撮影をした時が初めてだったという。
 「(ポスタービジュアルの)水中シーンのロケハンの時にお会いしたんですが、たいして会話をしなかった。僕が人見知りということもあるんですが」という木村に対して、「得てしてアートディレクターとカメラマンは同じ方向を見ているから、うーんとなりがちで、あまり会話をしないんですよね。でもしゃべらずとも共有できるものがあるから不思議ですよね」としみじみ語った。

 本作のビジュアルは、原作コミックの表紙をオマージュした形にしたという。そのことに「『マイ・ブロークン・マリコ』の時も、マンガ原作の映画をやったんですけど、それもコミックの表紙が顔になっていて。あの時は別のカメラマンさんでしたが、それと同じに撮るのが果たしていいことなのか。コミカルな作品ならパロディーでもいいけど、シリアスな作品だと意外と勇気がいるんですよ。あの作品は打ち合わせの時に迷ったけど、とにかく迷ったならやってみようとやってみたんですが、実際に撮ってみたら、カメラマンさんのスキルもありますし、(主演の)永野芽郁さんの説得力がすごくて。同じ絵柄なのに、ちゃんと実写としての説得力があって。撮ってみないと分からないなという感じがしたんですよ。そして今回もやっぱり案の定そういう感じになったし」と語ると、木村も「確かマンガ原作の実写化作品の写真をやるのがこの時がはじめてだったと思うんですが、今回は原作表紙へのリスペクトがありつつも、もちろん違うものになりますというのは確信があったし、どうにかしないとただのパクりになってしまうというのがあったけど、でも結果的にうまくいった」と振り返った。
 水中から浮かび上がる、かなえ(真木よう子)の幻想的な写真が印象的な本作。この写真の撮影を振り返って「本当につらかった」と笑う木村は、「実はプールが苦手なんですよ。でも真木さんが水の中に入っているのに、自分が淵から撮っていてもいいものが撮れるはずがない。だから水の中に入れる服と、鼻栓など潜水グッズをいろいろと買って。真木さんと一緒に“せーの”で潜って。限界まできたら上がって、というのを何回か繰り返した。あれはなかなかハードでしたね」とその裏側を解説。
 そんな流れから話の話題は、スチールカメラマンとしての木村の独特なスタイルに。「やはり本編にあるシーンの写真がなくちゃというのはありますけど、本編にはないかもしれないけど、写真でしか見せられない一枚絵での写真を撮りたいと思っていて。あるシーンでカットがかかった時に、お芝居がどう続いているのかと想像して。それを事前に役者の方に説明して、理解してもらって撮ったりもしますね」という木村。『愛がなんだ』の時のポスタービジュアルでは、テルコ(岸井ゆきの)をおんぶするマモちゃん(成田 凌)という本編にないシーンを非常に印象的に使用したことで話題を集めた。「あれはもともと脚本にあったシーンで。脚本を読んだ時にも気になっていたんですけど、結果的に編集の時にカットされたシーンだった。でもそれが(ポスタービジュアルに採用されたことが)きっかけで本編にない写真もありじゃないかと思って。それ以降、意識的に本編にない、前後の時間の写真を撮ってみようかなという考えでやり始めました」とそのきっかけを説明。

 そのスタイルは映画の撮影現場で、映画カメラマンと同じ立ち位置で撮影できないというジレンマから始めたものだったという。「どうしても狭い撮影現場だと、ベスト・ポジションはムービーのカメラで。そのまわりだと録音さんの場所とかもあるんで、スチールカメラマンが入る場所がなかったりする。それはいい写真にならないんじゃないかと思っていて。でも今は撮影も4Kとか8Kとかになっているので、場面写真を使いたいなら、ムービーの映像切り抜きでいいんじゃないかと思っているんですが」と語る木村に対して、大島は「僕はその意見には真っ向から反対したい」とキッパリ。「これは僕の経験からなんですが、本編を観て。この構図がいいなと思って本編映像から抜くと、ことごとく弛緩(しかん)しちゃうんです。例えばカメラがパン(縦や横に動かす)しても、パンした先の広さも加味された構図になるから。そこで止まった時には、そこですでにトリミングされている映像になってしまう。結局うまくコマ抜きができないなとなって。今はまさに、(現場でスチールカメラマンが撮る)スチール写真の重要さを痛感しているところです」とスチールカメラマンの重要性について語る大島の言葉は、木村にとっても目からうろこだったようで、「それを聞けてよかった」としみじみ。
 その後もクリエーター同士ならではの、それぞれの創作の裏側、クリエーションのポリシーなどを深掘りしていく密度の濃いトークに観客も興味津々。今泉監督のユニークな演出スタイルなど、今泉監督と密度の濃いコラボレーションをした二人だからこそ話せる裏話が次々と披露されるなど、およそ2時間にわたる充実のトークはあっという間に幕を下ろした。

 登壇者:大島依提亜、木村和平

 さらに、東京を拠点にTシャツを通したさまざまな活動で話題を呼んでいるカルトTシャツ集団[weber]とのコラボTシャツが映画公開日の10月6日(金)正午より発売することが決定! 水に漂うかなえ(真木よう子)のヴィジュアルを「サイアノ」という特殊な写真技法を用いて再現した深いプルシアンブルーのヴィジュアルをフロントにシンプルに配置し、プリントはその写真の特徴を活かすために、3版分解のシルクスクリーンプリントを採用。「嘘」がテーマの作品内容に合わせて相反する白と黒の「在りもの」ボディを使用し、コピーライトも入った90sの雰囲気を意識した”Futuristic vintage/未来のヴィンテージ”のコンセプトに沿った仕上がり。映画『アンダーカレント』の世界に浸るにはぴったりなアイテムとなっている。

[アンダーカレント× weber] Tshirt 詳細

 ブランド名:weber
 発売日:10月6日(金) 正午
 オンラインショップ:https://weber71.stores.jp/(外部サイト)
 カラー:白、黒
 価格:7,700円(税込)
 サイズ展開:M、L、XL
  M:着丈:71cm 肩幅48cm 身幅52.5cm 袖丈20.5cm
  L:着丈:74cm 肩幅50.5cm 身幅55cm 袖丈21.5cm
  XL:着丈:78cm 肩幅53cm 身幅58cm 袖丈22.5cm
 素材:コットン100%
  ※ 海外製、WASH加工なので多少の実寸誤差あり

公開表記

 配給:KADOKAWA
 2023年10月6日(金) 全国公開

 (オフィシャル素材提供)

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