イントロダクション
漫画家・土田世紀が残した『かぞく』のなかで描かれた5つのエピソードを原作として、澤 寛自身の生い立ちや経験を織り交ぜ、現代家族を包括的に描く映画へと昇華させた。旧来の家族構造から「核家族」を基準に、「婚姻関係」「親子関係」「血縁関係」「法や倫理に背いた関係」「父とは」「母とは」「子とは」などのテーマを各エピソードに振り分け、土田世紀が描いた物語が現代家族の背負ってきた旧来の家族構造の特徴である家父長制家族の諸問題から生まれた物語であったとして、それぞれ家族の再生を試みながら「家族とは何か」を問いかける。
音楽には舞台音楽家である棚川寛子(『アンティゴネ』『マハーバーラタ』など)を起用。SPAC 静岡県舞台芸術センター芸術総監督である宮城聰氏協力のもと、ムーバーとスピーカーに分ける演劇様式を極めたSPACの俳優たちによる音楽演奏と共に、映画の外から映画へ介入する「声や息の出演」という独自の表現を確立し、映画へ音楽と息を吹き込む。サウンド・デザインはアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作品『世紀の光』『ブンミおじさんの森』『メモリア』などに参加してきた清水宏一が担当。棚川の音楽、SPACの演奏とともに、映画独自の世界観を築いている。撮影は山本英夫が担当し、山本が撮影したフィルム映像を、澤寛自身でカラグレーディングの指揮をとり、色彩を確立。秋田と千葉を中心としたロケーションから日本の風土を写すことで、日本的霊性を映像に呼び込み、映像美を手に入れている。
ストーリー
父が失踪したマコトは、母と二人、住み慣れた街を離れて新しい街へと向かう。内縁の妻と密やかに生活を送るケンジ、その妻ハルカはある秘密を抱えていた。妻を亡くし、父1人で2人の子どもを育てるタケオは、子どもたちと海へドライブに出かけた。久しぶりに実家へ帰ってきたユウイチは、自分の名を呼ぶ女性に森の中へといざなわれていく。――これは4人の男の4つの家族が、複雑に絡み合い、喪失から再生へと向かうさまを、静かに描く叙情詩だ。
(2023年、日本、上映時間:1時間22分48秒)
キャスト&スタッフ
監督・脚本・編集・衣裳デザイン:澤 寛
原作:土田世紀「かぞく」(日本文芸社刊)
音楽:棚川寛子
演奏:SPAC
音楽制作特別協力:宮城 聰(SPAC 静岡県舞台芸術センター芸術総監督)
サウンドデザイン:清水宏一
撮影:山本英夫
プロデューサー:松橋真三
企画・プロデューサー:鈴木大造
出演:吉沢 亮、永瀬正敏、小栗 旬、阿部進ノ介(主演登場順)
製作プロダクション: クレデウス
予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
製作・配給:アニプレックス
2023年11月3日(金・祝) 公開
(オフィシャル素材提供)