第14回小説現代長編新人賞を受賞した「隣人X」(パリュスあや子著)が、上野樹里と林 遣都の共演で映画化。
タイトルを『隣人X ‐疑惑の彼女‐』とし、12月1日(金)より新宿ピカデリー他全国公開となる。
世界には紛争のため故郷を追われた惑星難民Xが溢れ、各国がその対処に苦慮していた。いち早く受け入れを発表したアメリカに追随するように、日本も受け入れを決定。人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだXがどこで暮らしているのか、誰も知らない。Xは誰なのか、彼らの目的は何なのか。社会には言葉にならない不安や動揺が広がり、誰もが隣にいるかもしれないXを見つけ出そうと躍起になっている。そんな中、週刊誌記者の笹憲太郎はX疑惑のかかった柏木良子の追跡を始める。スクープのために自身の正体を隠しながら徐々に良子へ近づいていく笹。ふたりは少しずつ距離を縮め、やがて笹の中に本当の恋心が芽生えるが、良子がXかもしれないという疑いを拭いきれずにいた。果たして良子は本当にXなのか? 良子への想いと本音を打ち明けられない罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれる笹が最後に見つけた真実とは。嘘と謎だらけのふたりの関係は予想外の展開へ……!
この度、惑星難民Xのスクープを上げるためにXの疑いがある柏木良子(上野樹里)に近づこうと、週刊誌記者の笹憲太郎(林 遣都)ががむしゃらに良子との接触を図る出会いのシーンが解禁された。
解禁された本編映像では、良子が勤める宝くじ売り場で、「もう一回見てくれよ!!」とハズレクジを持ち込んできた客に言いがかりをつけられているシーンから始まる。そこに良子に近づくタイミングを見計らっていた笹が怯えていた良子を見かねて助けに入る。良子は「ありがとうございました、助かりました」と笹にお礼を言うのみで会話が続かない。焦った笹は「何か食べたいものはないですか? ご馳走します。一緒に食事がしたくて」と食事に誘うも、良子は名前も何者かも分からない男性からの急な誘いに戸惑い断る。だが引き下がれない笹は「スクラッチ買うので、当たったら食事してください」という口説き方で交渉に出る。スクラッチの結果はいかに……!? 笹の少々強引な誘いに良子はどう答えるのか、ぜひ劇場で確かめていただきたい。
11月8日に行われた本作の完成披露舞台挨拶では、上野樹里と林遣都、キャスト2人と十数年ぶりのタッグを組んだ熊澤尚人監督も登壇し、映画が初お披露目となった。いち早く本作を鑑賞した方からは、「普段と違う時間の電車に乗ったらXがいそうでドキドキする」「Xという謎な設定を通して、人との関わりや自分自身のことについていろいろ考えさせられました」などの感想が飛び交い早くも“X”が盛り上がりを見せている。
さらに、直木賞作家や、国際色豊かなオピニオンリーダーの面々から次々と絶賛のコメントが到着し一挙公開された。
直木賞受賞した『恋歌』の作者、朝井まかては「Xは、問いかけてくる。誰が誰を傷つけているのか、何を信じて生きるのか、そして、〈存在〉への愛というものを。−−余韻の深い映画です」とし、3年連続本屋大賞にノミネートされている青山美智子は、「この作品がSFではなく実話だとしても、私は驚かない。描かれている憤りも希望も、目の前の社会であり日常そのものだと思った。そして自分はいったい誰なのかと考えた。人を愛する時、それが何ひとつ意味をなさないことも」と、深い感動と共感を述べた。『小さいおうち』で直木賞を受賞した中島京子も「奇妙な設定だけど、扱われるのはとても普遍的なテーマ。“知らない”怖さを乗り越えた先にある、お互いを“知る”“分かる”ことの大切さとあたたかさを受け取りました」と感想を述べている。さらに、自身も海外に移住し、そこで体感した様々な格差や多様性について「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」などを出版し実態を語っている、ライターでコラムニストのブレイディみかこは「私たちはみな、見知らぬ他者にとってはよそから来た人に見える。だけど心の目で見るとき、よそ者は隣人に変わる」と称賛。そのほかにも、翻訳者でラジオパーソナリティでもあるキニマンス塚本ニキや『マイスモールランド』の川和田恵真監督、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子からもコメントが届いた。
コメント全文 ※敬称略、順不同
朝井まかて(小説家)
Xは、問いかけてくる。誰が誰を傷つけているのか、何を信じて生きるのか、そして、〈存在〉への愛というものを。−−余韻の深い映画です。
中島京子(小説家)
奇妙な設定だけど、扱われるのはとても普遍的なテーマ。「知らない」怖さを乗り越えた先にある、お互いを「知る」「分かる」ことの大切さとあたたかさを受け取りました。
ブレイディみかこ(ライター・コラムニスト)
私たちはみな、見知らぬ他者にとってはよそから来た人に見える。だけど心の目で見るとき、よそ者は隣人に変わる。
キニマンス塚本ニキ(翻訳者・ラジオパーソナリティ)
この映画は混沌とした社会を生きる私たちのリトマス紙だ。誰を疑うか、誰を信じるか。
あるいは、その選択肢自体が罠かもしれない。
川和田恵真監督(映画監督)
偏見と差別の海のなか、外国人留学生と日本の若者がそれぞれの音楽を聴かせ合う時間が光だった。
よそ者が怖いと言う自分も、誰かにとっては危険なよそ者かも知れないことに思い巡らせてほしい。
辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)
Xは私たちが隠している本性やドロドロしたものを浮き上がらせ、解放するためにやって来たのかもしれません……。
炎上や策略、捏造、裏切りなどの毒出しのあと、最後に残るのはたぶん隣人愛です。
今 祥枝(ライター・編集者)
自分たちと同じ姿をした惑星難民Xの存在に怯える人々。
救いを求める他者を“異物”とみなす排他的な空気は、現代の日本社会にも蔓延している。
だが、良子と笹の物語はマジョリティとして自らが“他者”となり得る可能性を想像することの難しさを突きつける。
私は彼らを、笹を非難できるのだろうか。『隣人X』には、今の時代に必要なメッセージが詰まっている。
青山美智子(小説家)
この作品がSFではなく実話だとしても、私は驚かない。描かれている憤りも希望も、目の前の社会であり日常そのものだと思った。
そして自分はいったい誰なのかと考えた。人を愛する時、それが何ひとつ意味をなさないことも。
泊 貴洋(ライター)
『隣人X』は、未知のウィルスによってパニックに陥った、現実世界の映し鏡のよう。そこにリアリティーを与えているのが、『恋する寄生虫』や「VIVANT」などのフィクションに真実味を持たせてきた林 遣都の迫真の演技。そして、上野樹里の“どちらにも見える”自然体の演技に目が離せなくなる。『ユリゴコロ』で才気を見せた熊澤尚人監督の演出も冴え、想像を遥かに超える見応え。
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公式X:@rinjin_x
公開表記
配給:ハピネットファントム・スタジオ
12月1日(金) 新宿ピカデリー他全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)