主演に高良健吾を迎え、罪の真実と正義の在り方を問う本格ノワールミステリーが誕生する。
1月24日(水)に、本作のキャストや監督が登壇する、先行上映会挨拶が実施された。さまざまな思惑が絡み合う骨太なミステリーを、監督の故郷である福井県で全編撮り上げた本作。その福井に主演の高良健吾、そして共演の大東駿介、石田卓也が齊藤勇起監督と共に降り立ち、撮影の裏側や撮影エピソード、作品に込められた思いまでたっぷり話した。
劇場にキャストと齊藤監督が登場すると、満席の会場は大きなどよめきとともに万雷の拍手でお出迎え。高良は「今日は足元が悪い中お越しいただいて、ありがとうございました。自分たちも特急で福井に来るつもりが、運休になって飛行機になり、飛ぶか分からないという中、来ることができてとても嬉しいです」、大東は「今日はここに4人立たせていただいていますが、福井の皆さんと作った映画だと思ってます。慣れっこかもしれませんがこんな寒い中、ありがとうございます」、石田は「皆さんの地元で撮らせていただいた映画が今日観ていただけるということで嬉しく思います。皆様が知っている景色などがたくさん出てきて、そういうところは福井の皆さんしか楽しめないところだと思うので、楽しんでください」、そして本作がデビュー作でもある福井出身の齊藤監督は「福井で皆様に観ていただけること、本当に嬉しく思います。自分が撮りたかった話を福井で撮るということがどれほどマッチするか分からなかったけれど、出来上がった作品を観て福井で撮ってよかったと思いました。ロケ地など地元の人だけがにやっとするところもあるかと思うので、楽しんでいただければと思います」と、食い入るように舞台を見つめる観客へ4人も喜びの挨拶から舞台挨拶は始まった。
監督が本作の構想時期から相談をしていたと高良は、本日撮影地福井での上映会を迎えた心境を「一言でいうと嬉しいです。監督から構想を公園で聞いているとき、3~4年前はまだ何もなくて、でもその話が映画という形になって、こうやって福井で先行上映ができる……俳優としてなかなか味わえない過程で、本当に嬉しいです」というと、監督は、「今日来てくださっているこの映画に携わっていただいた方、いろいろな関係者の方の力添えや、俳優の3人など、たくさんの人のお力があって、こういう場を持てた。感謝しかありません」と、感慨深く語った。
福井での撮影のエピソードについて、高良は「福井はとにかく『人』。福井の皆さんに協力してもらって支えてもらって撮影ができた。エキストラの皆様がしっかりと背後を固めてくださり、説得力があったので、自分の役に引き算ができた。俳優経験があるわけではないエキストラの皆さんが、力をくれて、春というキャラクターが完成した」と、役作りにも大きく影響したと振り返り、大東は「福井の皆さんには助けてもらえて、特に環境にも助けてもらえた。映画のスクリーンを通して、この美しい故郷がどう映っているのか、皆さんには再確認してもらいたい。これから新幹線も通り多くの人がくると思うけど、当たり前の日常が本当に素晴らしい美しいところであることを実感してほしい」と福井の風景の美しさを絶賛し、石田は「撮影の初日は緊張するもので、特に今回はシリアスなシーンだったけど、おいしいお昼ごはんを出してくれたり、深夜まで続く撮影もエキストラなどで力を貸していただき皆さんのおかげで完成した。エキストラで参加された方はいらっしゃいますか?」と客席に問いかけると十数人から手が上がる。すると、大東があるお客さんが持っている団扇に注目、その団扇には白い鳥が3羽描かれており、「この団扇! 僕のクランクアップの時に、何を話そうかと考えている時に、頭上に白い鳥が3羽舞っていて。まるで僕ら3人みたいだなと思ったんです。どうしてその話を知っているんですか?」とお客さんに問いかけると、「僕もそこにいたんです」とまさかの答え。まさに、地元の方と一体になった作品作りが実感できた瞬間になった。
福井で撮影した理由を聞かれた監督は、「話を作っていくうちに、福井で撮らなきゃ、撮ったほうがいいなと思った。福井は映画の撮影地としてはまだまだ知られてなくて、宝の山。僕なりの福井のプレゼンでもあった。皆さんのおかげでスケールも大きくなった。小さいころ遊んでた場所も出してます」と、地元愛も理由の一つであることを明かした。
その福井で食べた、食べたい名物を聞かれると、高良・大東・石田の3人は声をそろえて「蟹!」。10月に来福している高良と石田・監督は3人で蟹を囲んだといい、大東は「今回は絶対食べます!」と鼻息荒く語った。
会場も盛り上がる中、舞台挨拶もいよいよ終了の時間に。最後に高良は、「罪であったり悪であったり正義であったりいろいろな方の解釈がある、自ら考えることにカロリーを使うかもしれない。けれど、映画を観るからこそ考えて、新しい価値観に出合える作品になっていると思うので、その感覚を自分の中で大切に育ててもらえると、映画に携われてよかったと思うし嬉しく思います。ぜひくらって、楽しんでください」、大東は「今日こうやって観てもらえることを嬉しく思います。ショッキングなシーンには目をそむけていただいて、その奥にあるドラマを楽しんでもらいたい。今はどこでも映画が観られるけど、映画館に来るまでにわくわくして映画を楽しむということを実感していただき、末永く愛してもらえると嬉しいです」、石田は「僕たち以外のキャスト、スタッフ、エキストラも含めて、みんなで全力で作りました。でも、あと一歩、最後は皆さんが観てくださって感じてくださって完成するので、僕たちの映画を完成させてください」、そして、齊藤監督は「僕なりのリスペクトをこめて福井で撮影させてもらった。映画は記録的な側面もあって、あの日あの時にやきつけた映像が100年先にも残る。これからも福井は変わっていくかもしれないけれど、あの日の福井は残せたと思う。『罪と悪』というタイトルが結びつく瞬間があるかもしれない。その感性の中で受け止めていただいて、3日、1週間、できれば10年先にも心に残る作品になればこれ以上ない幸せです」と、4人それぞれが心からの感謝を告げて舞台挨拶は終了、観客は劇場内から4人が見えなくなるまで、大きな拍手を送り続け、イベントは幕を閉じた。
登壇者:高良健吾、大東駿介、石田卓也、齊藤勇起監督
公開表記
配給:ナカチカピクチャーズ
2024年2月2日(金) 公開