登壇者:徳竹未夏、丈、山本莉那(主題歌「アキラ」を担当)
映画『ひとくず』『西成ゴローの四億円』などの上西雄大監督の劇場最新作『うさぎのおやこ』は、軽度の知的障害を持つ娘・来栖玲と、精神疾患を抱える母・梨加が、彼女たちを取り巻く人々の善意と悪意に触れながら、少しずつ光が差し始める日常を描いた人間ドラマ。「ミラノ国際映画祭2023」にて、外国語長編映画 最優秀作品賞、外国語長編映画 主演女優賞(徳竹未夏、清水裕芽)を受賞する快挙を果たした。
本作の舞台挨拶が3月23日(土)に東京・シネリーブル池袋で開催され、主演を務めた母・梨加役の徳竹未夏、借金取り役で共演した丈、主題歌「アキラ」を担当し、ケースワーカー役でも出演した山本莉那が登壇した。
鑑賞後の観客の盛大な拍手で迎えられた徳竹は「私は独身で子どもはいないんですけれども、『ひとくず』に次いで子持ちの役で、親子で障害を持っている役でした。娘とも上手くいかないし、自分もお母さんとしてちゃんとできず、いろいろ葛藤する中で、ケースワーカーや精神科医の存在によって、最後は幸せな方向に向かい、明るい未来を描けたと思います」と笑顔で語る。
役作りについて問われると、徳竹は「上西監督が書く作品はすごく分かりやすいので、どうしようと悩むことはなく自由にさせていただきました」と説明。山本は上西監督が作詞した歌詞に合わせて心情を作ることが難しかったようで、「自分の性格が明るいので、玲ちゃんがパパのことをどう思っているのか……というところでの役作りは大変でした。煌々と光るスタジオだと気持ちが暗くなれないので、『電気を薄暗くしてください』『もっと暗くしてください』とお願いして、最後は暗闇の中で歌っていました(笑)」と収録時の裏話を紹介した。
丈は「上西監督の作品にはちょいちょい出させていただいて、今回もワン・ポイントを美味しく演出していただきました。観ていて自分の演技に感極まりました」と自画自賛して会場の笑いを誘い、「コテコテの東京人なので大阪弁をマスターするのが大変でしたが、とにかく関西弁で“やらしく”演じたいと思いました」と振り返った。
すると、徳竹もとっておきの裏話を披露する。「上西組の映画はわりと私の部屋を使いがちで、来栖親子の部屋も私の部屋を使っています。私んちのドアを丈さんがドンドンドンドンと叩いていました」と暴露。山本が「ご近所さん大丈夫ですか?」と心配すると、徳竹は「撮影中はワチャワチャしていますが苦情はわりとなく……」と答え、「上西監督がレイアウトを変えて雰囲気を変えていますが、6作品くらいで私の家が出てしまっています。わりと土足で入られがち……」と苦笑した。
楽しい舞台挨拶もあっという間で、最後に丈は「本当に胸を打つ映画でした」とアピール。山本は「コロナの時期からスタートしたので見えないものもありましたが、こうやって劇場で皆様と一緒に拝見できたことをうれしく思います」と喜び、「こんなに号泣するとは思わなかった。演技上手すぎ」と徳竹の芝居に感嘆する。
その声に照れ笑いを浮かべつつ、徳竹は「本当は清水裕芽ちゃんも来たがっていましたが、自転車に乗っていたら車にぶつかるというアクシデントがあって来られませんでした。でも、上映後の皆さまの拍手を裏で聞いていましたので、彼女に伝えたいと思います」と約束し、「彼女は今年26歳くらいですけど、見た目は小っちゃくて可愛い女の子で、当て役の作品だと思います。まだまだ上映しますので、ぜひとも口コミで広げていただけましたらと思います。ありがとうございました」と頭を下げた。
公開表記
配給:ニチホランド
シネ・リーブル池袋にて公開中
4月5日(金)より大阪:シネ・リーブル梅田、京都:UPLINK京都にて全国順次公開
(オフィシャル素材提供)