イベント・舞台挨拶

『ミッシング』STVホール特別試写会withアフタートーク

© 2024「missing」Film Partners

 登壇者:読売新聞小樽支局長 片岡正人、札幌テレビ放送 報道解説員 急式裕美(きゅうしき・ひろみ)
     𠮷田恵輔監督[リモート出演]

 2022年の出産後、1年9ヵ月ぶりの芝居に臨んだ石原さとみが主演を務め、『空白』(21)、『愛しのアイリーン』(18)、『ヒメアノ〜ル』(16)の𠮷田恵輔がオリジナル脚本でメガホンをとった映画『ミッシング』が5月17日(金)に全国公開される。

 公開を前に5月11日(土)に札幌テレビ放送STVホール特別試写会「ミッシング」withアフタートークが開催された。
 当日は、読売新聞小樽支局長片岡正人氏、札幌テレビ放送報道解説員急式裕美氏、そしてオンラインで𠮷田恵輔監督も参加し、「報道の在り方」などをテーマに、トークイベントが実施された。

 試写会が終了し、片岡氏が登壇、急式氏の呼び込みで𠮷田監督がスクリーンに登場し、アフタートークがスタート。

◆𠮷田監督「誰もが前向きになれるように、覚悟を持って作った作品」

 ヒリヒリするような人間描写に心が揺さぶられる本作。「最も覚悟のいる作品と語っている意味合いは?」という急式からの質問に対して、「実際に同じような環境に置かれている人もたくさんいると思います。そんな人たちが仮に観てくれたら、救いというか、なにか優しいものを感じてもらえるようなものを作ろうと、覚悟を持って臨みました。フィクションとして映画に没入できるものもあるが、本作は実際にも起こりえるような内容で、誰もが前向きになれるような作品になればいいなと思います」と語った。受けて、急式氏は「夫婦を襲う絶望、もどかしさにリアリティがあり、鑑賞しながら同じ気持ちを抱くことができた」、片岡氏は「(会場の)皆さんも同じお気持ちだと思うが、石原さとみさんの鬼気迫る演技にとにかく圧倒された。僕が呼ばれたのは報道の話をということだと思いますが、私は夫婦のドラマとして、とても感銘を受けました」と本作を観た感想を綴った。

「まるでドキュメンタリーのよう」リアリティのある描写

 夫婦のドラマとして感銘を受けたという片岡氏は、夫婦役を演じた石原と青木のやり取りのシーンで、死にものぐるいの沙織里と冷静に対応する豊、事件に対するアプローチの仕方が夫婦によって違ったのが印象的だったとコメント。
 𠮷田監督は、「青木さんは現場でも石原さんを支えていて、本当の豊をそのまま連れてきたようなキャスティングになった。石原さんが役に入り込み本当に沙織里になりきっていたので、そのリアリティが途切れないように、周りのスタッフ含め全員が石原さんを支えていた。まるでドキュメンタリーのように撮影した」と撮影の様子を振り返った。

◆マスコミが重要な役割になっていた

 SNSが普及し、個人が情報を発信できる時代。マスコミの取材方法も変わってきているとし、テレビや新聞の報道の在り方についてのトークでは、「作品の中でマスコミが重要な役割を占めていて、視聴率に追われるテレビ局のシーンはリアリティに溢れていた」と急式氏。片岡氏は「新聞はテレビと違い視聴率などはないが、ニュース価値を考え、大事なことを優先に記事にしている。報道姿勢は変わらない。速さも重要だが、正しい情報を伝えるのが新聞の役割」。𠮷田監督から、「取材を通じて、ローカルのテレビ局は一人が抱える仕事の分量が多すぎると感じた。テレビ局によってカラーもやり方も違う。自分がもし同じ環境で働いていたら、本作で描いたマスコミと同じような事をしてしまっていると思う。マスコミの方は熱意と正義感をもっている」と、撮影前にマスコミへの取材を重ねた中で感じた思いを語った。

◆客席からの質問に、𠮷田監督が真摯に回答。涙ぐむ質問者も。

 その後、映画を観たばかりの観客から監督への質問を受け付けるコーナーに。
 中には映画を思い出し涙ぐみながら質問をする質問者も出るなど熱のこもった質問に𠮷田監督は真摯に答えました。
 その中で、「石原さんが役にのめり込み過ぎて自分がどう演じたのか覚えていないという発言をテレビで見たが、そこは、どのシーンだと思いますか?」という質問に対して、「いろいろと鬼気迫るシーンはありますが、警察署でのシーンもその一つだと思います。現場では、台本にはないオーダーをしたのですが、石原さんは、正常ではない境地に達して、演技を超えた世界に入っていたと思います」と撮影現場でのエピソードを披露した。

◆「自身の分岐点となる作品。石原さとみの“本気”を見てほしい」𠮷田監督からのメッセージ

 最後に𠮷田監督から、「『ミッシング』は大事な作品となった。自身の作品は全部大切だが、その中でも分岐点になる一作。多くの人に届くことを願っています。石原さんが「このままじゃ私はダメだ。自分を壊したい」という強い覚悟で挑んだその答えを、『ミッシング』で出したつもりです。石原さんの本気を、一人でも多くの人に観てもらいたいです」と締めくくった。

 会場内は感動に包まれ、優しい気持ちで、アフタートークは終了した。

公開表記

 配給:ワーナー・ブラザース映画
 2024年5月17日(金) 全国公開

(オフィシャル素材提供)

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