イベント・舞台挨拶

『陰陽師0』特別ティーチイン付き上映イベント

©2024映画「陰陽師0」製作委員会

 登壇者:佐藤嗣麻子監督、加門七海(呪術監修)、岡野玲子(漫画「陰陽師」作者)

 5月12日(日)、『陰陽師0』の脚本・監督をつとめた佐藤嗣麻子監督、呪術監修をつとめた加門七海、そして入場者特典の描きおろしイラストカードが大きな話題を呼んだ、漫画「陰陽師」の作者・岡野玲子を迎えた《特別ティーチイン付き上映イベント》が開催された。制作秘話や驚きのこだわりポイントなど、“呪の核心”を知る、呪術界屈指の3人がここでしか聞けない『陰陽師0』の裏側を語り尽くし大盛り上がりのイベントとなった!

 4月19日より封切りとなった本作は、公開から週末の興行収入2週連続で実写邦画No.1を獲得し、興行収入は10億円に迫る勢いだ。そんな話題作の立役者である佐藤嗣麻子監督、加門七海、岡野玲子ら、呪術界屈指の3人が集結するイベントには、呪術のコア・ファンたちが駆けつけ、すでに2回以上映画を観たというリピーターも多数いるほどに会場は熱気に溢れていた。

 観客からの大きな拍手で迎えられた3人。佐藤監督は「何度も観ていただいている方もいらっしゃると思いますが、本当にありがとうございます」と笑顔で挨拶し、加門は「今日は休日に集まっていただき嬉しいです。すでにご覧になっている方も改めて楽しんで」、岡野は「監督とは漫画の連載の当初に原作の獏さんからご紹介を受け、その時から映画を撮りたいとおっしゃっていました。今回、晴れて映画化されて本当に良かったと思います。おめでとうございます」と改めて映画の公開をお祝いした。

 佐藤監督の念願叶っての映画化ということで、映画を観た感想を問われると、加門は「何回観ても自分がどこを見るかによって印象が変わる。改めて関わることができてよかったと思います」と佐藤監督と顔を見合わせ、岡野は「欲望が渦巻く陰陽寮と、徽子女王と博雅の純愛の、二つの流れがあって。この二つが対照的な呪であり、まことに陰陽師らしい映画だと思います」と絶賛した。

 入場者特典の若き晴明を描いた描きおろしイラストカードが大きな話題となったが、岡野は「監督から依頼があったときに浮かんだのが、晴明が印を結ぶ姿。さらに下書きのときに宇宙卵を持っている姿が浮かんだんです。はがきを持ってくださった皆さんも、宇宙卵と同じで、皆さんが晴明に愛でられていると思ってください」と、イラストに込めたメッセージについて語った。

 また、実在した最強の呪術師・安倍晴明がどんな人物だったと考えるかという話題になると、加門は「晴明は史実を考えると、政治的な駆け引きの上手い人物だと表現されていますが、彼は陰陽師という立場上、人の欲望を見続けてきた人間です」と分析すると佐藤監督も賛同し「そうですね、唯一神様になった陰陽師であると加門さんがおっしゃっていて。昔の人は祟りを恐れて神様にするという監修がありました。晴明からの祟りを恐れて神様にしたのでは」とコメント。岡野は真面目な人と言い、「霊剣を修理したということが史実にあって、それを考えると真面目で物知りだけど表に出されずに上の人に名前をとられてしまったのではないか」と、それぞれが思う“晴明像”を明かした。

 舞台となった平安中期は、文献にあまり情報がなく、平安京を再現するのには苦労もあったそうで、「平安中期の資料がなかったのでものすごく調べました。『日本の服装』という書籍の中で、夏の装束があるのですが、胸がはだけていて、こういう感じにしたいと、実際は袴を上にあげました。それが今回の女性の衣装です。清涼殿以外の建物は、中国を模したという史料に基づいてつくっています」と、実際の参考資料を手に取り解説した佐藤監督。

 以前掲載されたインタビュー記事の中で、呪術好きがより楽しめる2つのポイントを質問していたことについて、加門自身が回答を発表する場面も。
 “「金龍封印」は、実はとても格の高い、めったに表に出てくることのない符が元になっています。さて、それは何でしょうか?”という質問についての回答は「これは流符といいます。中でもあの符は雷の神様が用いる符で、力の強い符です」といい、続いて“晴明が片手で印を結ぶシーンがあります。昔の呪禁師(じゅごんし)が使う印なんですね。さてそこはどのシーンでしょうか?”という質問には「火龍が追いかけて来るシーンなんですが、監督から走りながら結べる印が欲しいというリクエストがありまして、掌で結ぶ印というものを作りました。ぜひもう一度見て確かめてください」と、呪術ファン必見のコメントが。

 ここから、会場の観客とのQ&Aセッションがスタート。

Q:平安時代の沓(くつ)は、実際にあのように走れたのでしょうか。
 A:走れますが、長距離は難しいかもしれません。アクションの時はアクション用の沓をつくりました。(佐藤監督)

Q:陰陽寮が暗く、孤独が象徴される中で、花が印象的でした。史実に基づくものなのか、意図があればお伺いしたいです。

 A:今でも、祭りの時に斎王が花を頭につける慣習があります。平安以降、清少納言の時代にはこのような慣習がなくなったとも言われています。(佐藤監督)

Q:安倍晴明が死後1000年経っても人を惹きつけるのはなぜだと思いますか。
 A:京都の晴明神社は人々から感謝されつくられた神社だと思いますし、晴明の魂の人柄だと考えています。(岡野)

 映画に隠された意図を探る興味深いトークが繰り広げられたイベントも終盤を迎え、岡野は「漫画の陰陽師を知らない人もいらっしゃると思いますが、この機会にぜひ読んでみてください。漫画が完結した2005年は晴明が亡くなって1000年という年でした。今年はそれから19年ということで、太陽と月の周期が一巡する時なので、そういったタイミングで映画になり、晴明と博雅が活躍するのはとても意味のあることだと思います」、加門は「今日の話を聞いてもう一度映画を観たいと思っている人もいらっしゃるのでは。何回観ても面白いので、欲望のままに何度でも観てください」と最後までしっかりPRし、佐藤監督は「呪とは何かとか、どうすれば思い込みにかかるか、解けるかというのを描いた作品です。現代にも使えることなので、なんでも鵜呑みにしないとか、呪を祓ってから観てみてください」と、最後の舞台挨拶で映画に込めた強い思いを語り、イベントは幕を閉じた。

公開表記

 配給:ワーナー・ブラザース映画
 大ヒット公開中!

(オフィシャル素材提供)

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