イベント・舞台挨拶

『ミッシング』公開記念舞台挨拶

© 2024「missing」Film Partners

 登壇者:石原さとみ、中村倫也 、青木崇高、𠮷田恵輔監督

 2022年の出産後、1年9ヵ月ぶりの芝居に臨んだ石原さとみが主演を務め、 『空白』(21)、『愛しのアイリーン』(18)、『ヒメアノ〜ル』(16)の𠮷田恵輔がオリジナル脚本でメガホンをとった映画『ミッシング』が、5月17日(金)に全国公開となり、翌18日(土)、公開を記念した舞台挨拶が行われた。
 ある日突然いなくなった幼い娘。その帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族。事件により世間の注目を浴びたことにより、謂れのない誹謗中傷や好奇の目に晒されながらも、いつか必ず会える、その日を信じて、出口のない迷路を彷徨い続ける母親・沙織里を演じるのは、今までの自分を壊して欲しいと、7年前、自ら𠮷田恵輔監督に直談判をした石原さとみ。出産を経て母となった彼女が魅せる、これまでのイメージを一新させた新境地に、既に話題が沸騰。さらに、中村倫也、青木崇高を筆頭に、森 優作、小野花梨、細川 岳、有田麗未(ありたつぐみ)、小松和重、カトウシンスケ、山本直寛、柳 憂怜、美保 純ら豪華実力派キャスト陣が集結。“人間描写の鬼”𠮷田監督が「自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品」と語る本作は、雑音溢れる世の 中をリアルにそして繊細に描き、そこに生きるわたしたちの心を激しく揺らす。
 17日(金)に全国257劇場で公開されるや、SNSでは「断トツで本年度ベスト。今年これを超える劇場体験ができるとは思えない」「苦しい。でも柔らかで優しい光があとからそっと寄り添ってくれる」「自分がポチポチと呟いた指先の向こうに、こんなにも傷つく人がいるかもって考えないとね」と、衝撃や共感、気づきの声で盛り上がりをみせるなか、5月18日(土)、新宿ピカデリーにて「公開記念舞台挨拶」が開催された。主演:石原さとみをはじめ、中村倫也 、青木崇高、𠮷田恵輔監督が登壇。過酷な撮影を乗り切った石原らは、晴れやかな笑顔で挨拶。「この映画で少しでもやさしい気持ちや、優しい行動が広がってほしい」というメッセージに満席の観客からも暖かい拍手が沸き起こった。

 公開前から「石原さとみが凄いらしい」と噂が広がる映画『ミッシング』がついに劇場公開! たったいま映画を鑑賞したばかりの観客を前に主演の石原さとみ、中村倫也、青木崇高、𠮷田恵輔監督が登場。なかなか鳴りやまない拍手喝采の中、石原は、「一人でも多くの方に観ていただきたい。その一心で、本当にとても多くの取材を受けさせていただきました。でも、その度に記者の皆さんからのこの映画に対する溢れる想いを聞けて、本当に幸せな時間でした」と感慨深げに振り返り、「ぜひお外へ出て温かな柔らかい風を感じて、映画の余韻に浸っていただけたらと思います」とにこやかな表情を見せた。続いて中村は、「たくさんの方に観ていただいて、じんわりとした気持ちになっていただければと思います」と余韻に浸っている観客へ挨拶。青木は「観るのに、心をすごく使われたと思います」と観終わったばかりの観客を気遣いつつ、「けれども観てよかった、そう思われるような映画だったのではないでしょうか」と力強くコメント。最後に𠮷田監督は「4年前くらいから企画をして、結構長い時間かかってやっと公開することができました」と感慨深い表情。しかし、「余韻を壊さないようにしたいんですけど、多分僕と中村さんは無理だと思う(笑)」と少しおどけた挨拶し、会場は和やかな空気に包まれた。

◆好きなシーン・注目してほしいシーン

 鑑賞直後の観客と映画の感動を共有したい!という趣旨で、まずは「個人的に好きなシーン・これから観る人に注目してほしいシーン」の話題へ。石原は【行方不明になった娘・美羽の捜索ポスターにイタズラで目に画鋲が刺さっているのを一生懸命抜くシーン】を回答。撮影を振り返り、「現場に入った次点でもうその状態になっていて、本当に苦しくなって。泣くシーンじゃなかったんですけど、段取りの時点で涙が止まらなくて」と今でもその光景が脳裏に焼き付いていることを告白。実は当日撮影がなかったが、現場の様子を見にきていた青木も、このポスターを見てしまったそう。“人間描写の鬼”と称される𠮷田監督の演出を目の当たりした青木は、「本当に鬼だと思いました」と当時の衝撃を回顧した。

 失踪事件を唯一追いかけるローカルTV局の記者・砂田を演じた中村は、【飲み会でみんながウェーイってなっているのに、真面目なことを言って白けさせる砂田】をお気に入りのシーンにセレクト。「僕も急にマジレス・モードになるときがある」と中村自身にも砂田に似た一面があり、共感したそう。これには石原も「ずっとボケ続けるかと思ったら、時折すごい鋭く冷静に突っ込まれますよね」と同調。中村は「楽しく話をした後にバランスを取りたいのかも」と語った。

 青木は自身のシーンではなく、【森 優作さんが演じる沙織里の弟・土井圭吾の存在。TV局のインタビューを受けるシーンや、そのインタビューが流れる番組観て頭ポリポリするところやトーストの焦げをカリカリ取るところ】と数々の土井圭吾のシーンをレコメンド。「なんかヤベーな」と感じたことを率直に語りつつも、「とんでもないキャストを放り込んできたなと思いました」と、独特の存在感を放つ森を絶賛した。圭吾が頭を掻くシーンも、トーストの焦げを落として食べるシーンもアドリブではなく台本にしっかりと書かれていることに話題が移ると、劇場パンフレットに台本が丸々掲載されていることが紹介され、石原も「どれが台本に書かれたことで、どれがアドリブかが分かりますね」と二度三度楽しめることをアピールした。

 𠮷田監督は【夫婦が蒲郡駅前でビラ配りをしている最中に、変なおばさんからしつこく話しかけられるシーン】と回答。シリアスな中にも「こういう人、いるいる」というユーモアあふれる象徴的なシーンをモノマネも交えながら説明すると、思わず客席から笑いが巻き起こった。𠮷田監督は撮影を振り返り、「沙織里の気持ちになると可哀想だけど、実はかなり笑いを我慢していました」と告白。対して石原は、「高い声で何か叫んでるけど、その声がこっちの感情を逆撫でして、もっと苦しくなる」と語り、𠮷田監督は石原の集中力に驚かされ、まさに石原に沙織里が”憑依”していたと賞賛した。

◆印象的なラスト・シーンについて

 続いてMCからラスト・シーンについて質問がおよぶと𠮷田監督は、「折り合いをつけることが無理な状況の人が、その先を生きていくのには何が必要か、ということをテーマにした」と熱弁。さらに「一番辛いはずの自分が他者のために行動して、他者のために泣いたりすると、一周回って自分に帰ってくる。そういうことが多分救いになるんじゃないかな」と、自身の願いも込めたという想いを語った。

◆最近、優しさを感じたできごとについて

 そんな監督の想いも通じて、すでに映画を鑑賞した方々からは「辛いけど、ラストは優しい気持ちになれる」という声が多い本作にちなんで、<最近優しさを感じた出来事>でトークが展開。 

 石原は「子ども用に机を探していたがなかなか見つからなかった時、義理の両親が子どもにぴったりの机をゼロから作ってくれた」というほっこりするエピソードを披露。すると自身も日頃からDIYをするという中村がなぜか「言ってくれたら作れたのに」となぜか対抗意識を見せ、会場の笑いを誘った。

 続いて中村は「石原さとみ先輩!」と即答し、「取材中にボケた時もちゃんとツッコんでくれる。ファンになりました」と石原を大絶賛! さらに「さっきもスマホを使って自動販売機で飲み物を買う方法を教えてくれた」とまじめな性格の石原の優しさエピソードを披露すると、石原は照れた表情を見せ、二人の仲の良さが伺えた。

 青木は公開初日の昨日、同業者の友人が映画を観てメールをくれたことに触れ、「『本当に泣けた』と。『いい作品に出られたね』と言ってくれて。石原さんも本当に素晴らしかったと」と早速賞賛の声が届き、「この作品をご覧になった方が、優しい気持ちで劇場を後にしてもらえたらなと。優しさが世の中に広がっていってくれたらな、と。そういう気持ちが早速動き始めてるのかなって、すごく嬉しい気持ちになりました」と、しみじみと語った。

 最後に𠮷田監督は「ポケモンGOが好きで、いつも一緒にやっている近所の70代のおばあさんが、俺の自転車のカゴにいろいろな物を置いていってくれる。先週もドーナツが入っていた」と、ほのぼのとした体験を語り、場内も<優しさ>をめぐるさまざまな想いが溢れ、温かい空気に包まれた。

 締めくくりには、映画を象徴する柔らかな「光」をイメージしたボードをバックに𠮷田監督は「本当に大事な作品で、俺とか石原さんにとって、ものすごく分岐点になる作品なので、一回でも多く、一人でも多くの方に観ていただきたいと思っております」と、映画を広めてもらうべく、力強くコメント。

 石原は、つい最近公園で迷子の男の子を探す母親と出会ったというエピソードを披露。まさに劇中で沙織里が体験したような場面に遭遇し、石原もその子どもの行方を気に掛けていたところ、その母親が大号泣しながら走り去るところを目撃。その姿に恐怖を感じ、サービスセンターで迷子の男の子の特徴を確認しようとしたところ、実はその男の子が無事見つかり、母親の涙は安堵の涙だったことが判明。「私も本当に泣けてきて、すごく安心した。あのお母さん、よかったって本当に思ったんです」と語り、「本当にこの映画で沙織里という役を演じて、自分の財産となりました。そして、一年以上経っても沙織里という女性の気持ちが私に生き続けているんだなってことも知りました。どうか少しでも彼女の苦しさが伝わったらいいなと、そして誰かに優しくて温かい言葉をかけてくださるような出来事や行動が、一人でも増えていったらいいなと心から願っています」と切実な想いを吐露した。

 その石原の熱い言葉に観客も共鳴する中、なんと青木が思わず大号泣……! 万雷の拍手のなか、舞台挨拶は終了した。

公開表記

 配給:ワーナー・ブラザース映画
 全国公開中

(オフィシャル素材提供)

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