6月7日(金)より新宿武蔵野館・渋谷ホワイトシネクイントにて日本劇場初公開となる『男女残酷物語/サソリ決戦』。
本作は、終わりなき男女の対決を描き、『華麗なる殺人』(65)、『バーバレラ』(67)、『女性上位時代』(68)といった時代を象徴する作品に匹敵する内容ながらも50年以上もの間埋もれ、海外でようやく近年その存在と価値を発見された作品だ。日本ではほとんど誰にも知られることなく、知られていないが故に誰にも待たれることもなく、存在自体が確認されていなかった。この上映で初めて、我々はこの傑作を発見することとなる。
その日本劇場初公開と共に特報が解禁されるや否や、「前衛的でポップ!」「キメキメで尖った映像」「こりゃまた凄い映画があったもんだ!」とはじめて観る映像とその世界に心を奪われる人々が続出。音楽は『ベニスの愛』(70)、『夜行性情欲魔』(71)、『血みどろの入江』(71)等を手掛けるイタリア映画音楽の巨匠ステルヴィオ・チプリアーニによるもので、音楽愛好家は「スコアがとにかく絶品!」と震え、フランスの芸術家ニキ・ド・サンファルによる作品≪ホン≫のレプリカが登場することから、アート好き方面には「ニキ好きとしては見逃せない」と、その邦題のインパクトのみならず芸術点の高さからも各方面のざわつきが起こっている。
今回、解禁されたのは8つのハイテク装備紹介。慈善財団大幹部でありながら、女性を支配したいという欲求を持ち、精巧な拷問の達人であるセイヤー(フィリップ・ルロワ)。彼がある夜、誘拐し監禁した記者メアリー(ダグマー・ラッサンダー)は、洗練かつ野蛮なありとあらゆる手法で拷問を受ける。今回はその秘密のアジトで使用されるハイテク装備の数々をはじめて解説していく。
メアリーがはじめて拷問を受け、セイヤーの恐るべき思想を聞くことになるのが「磔部屋」。
また、大幹部かつ自己管理を徹底するセイヤーならではの設備として、周囲に石とメトロノームが配置された「鍛錬部屋」では、セイヤーがローイングマシンのようなもので拷問のための身体造りに勤しんでいる。
「最新鋭シャワー部屋」では、円形の装置の中で周囲を見渡しながらシャワーを浴びることができ、外部に取り付けられたダイヤルで温度調整も自由自在。夜も拷問は止まらない。
メアリーの寝るベッドには仕切りが存在し、向こう側からセイヤーが登場し驚かせる「間仕切り開閉式ベッド」。
そこでは、セイヤーに瓜二つの人形と愛し合うように強いられる「俺人形責め」が行われる。
「水責めプール部屋」では、セイヤーが喜々としてメアリーに放水。逃げ惑う姿を西ドイツ製カメラContax IIIaで収め悦に入っている。
人間が吊るされているのかと思いきや人形であり、“ここに入れられた女は発狂する”という恐ろしいエピソードを披露される「ボンテージ人形部屋」も目を引く空間だ。
「ある実験」が始まってからの屋外で確認できるのは、同じく西ドイツ製の水陸両用車である「アンフィカー770」。
いずれにおいても、女性を相手に地球上のどの場所に於いても優位にありたいという意識が見て取れる装備であり、デザイン性とストイックさから優雅さと近未来的な世界観を感じさせる。
このように、多くの拷問設備が登場する本作だが、映画倫理機構による厳正なる審査の結果、どなたでも鑑賞可能なG区分となっているため、安心して足を運んでほしい。
現在、全国共通券(紙券)1,500円が新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほか一部上映劇場とオンラインにて販売中。先着特典として付いてくる「“決戦準備用”レコード・ジャケット型チラシ」が評判を呼び、劇場窓口では幅広い年齢層に大変な売れ行きとなっている。中音楽に関する情報と、映画/海外ドラマ・ライターのなかざわひでゆきによるミニコラムを掲載。熟読して、めくるめく映像世界とチプリアーニの奏でる美しきメロディの連続に心を準備しておきたいところだ。
公開表記
配給:アンプラグド
6月7日(金)より新宿武蔵野館・渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開