『悪人』『怒り』で知られる吉田修一の傑作小説『愛に乱暴』が江口のりこ主演、森ガキ侑大監督で映画化、2024年8月より全国公開となる。
「私ね、わざとおかしいフリしてあげてるんだよ。」
愛のエゴと献身、孤独と欲望の果ての暴走を描くヒューマン・サスペンス
原作は、数々の権威ある文学賞を受賞し『悪人』『さよなら渓谷』『怒り』など多くのベストセラーが映画化されてきた吉田修一の同名小説。人間の複雑な感情とその裏に隠された本質を鋭く炙り出してきた著者が、本作では愛が孕)むいびつな衝動と暴走を描く。監督を務めるのは、CMディレクターとして国内外の広告賞を席巻後、初の映画長編作『おじいちゃん、死んじゃったって。』(17)で第39回ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞、ほか『さんかく窓の外側は夜』(21)を手掛けた森ガキ侑大。物語に隠されたある仕掛けから、映像化は難しいと思われた原作小説を繊細にアレンジし、フィルムを使って主人公の背後からまとわり付くようなカメラワークで撮影、息もつかせぬ緊迫感に包まれた見事なヒューマンサスペンスが誕生した。
主演は唯一無二の存在感とユニークで高い演技力で多数の作品に出演する江口のりこ。徐々に平穏を失っていく“妻”を怪演、一瞬たりとも目を離せない危うい女性像を具現化させている。共演には小泉孝太郎、馬場ふみか、風吹ジュンら個性豊かな俳優陣が名を連ね、江口扮する主人公を追い詰めていく。
チェコのカルロヴィ・ヴァリ映画祭コンペ部門へ出品が決定!
チェコ共和国の首都プラハから車で90分ほどの距離にあるカルロヴィ・ヴァリで6月末から7月頭にかけて開催される第58回カルロヴィ・ヴァリ映画祭。出品作が本日発表され、メインコンペティション「クリスタル・グローブコンペティション部門」に日本から『愛に乱暴』が選出された。カルロヴィ・ヴァリ映画祭は、主要国際映画祭の中ではカンヌ、ロカルノと並び、ヴェネチアに次ぐ長い歴史を持つ中・東欧最大規模の映画祭。最高賞であるクリスタル・グローブ受賞作には、ジャン=ピエール・ジュネの『アメリ』や巨匠ケン・ローチの『ケス』などがあり、そんな歴史ある映画際で『愛に乱暴』はワールドプレミアを迎えることとなる。(※なおコンペ作品の中からクリスタル・グローブ賞に選ばれた日本映画は、1958年に家城巳代治監督『異母兄弟』(57)が輝いて以来日本作品の受賞はしていない)
出品決定の連絡を受け、主演の江口のりこは「数ある映画の中から選んでいただけたことに感謝いたします。日本から遠く離れたチェコで、観客の皆様がどのような反応をなさるのか楽しみです」、森ガキ監督は「歴史ある映画祭のコンペで争うことは容易なことではないですが、世界と闘ってくれる作品になっていることは間違いないと自負しております。この映画が世界に羽ばたき、より多くの人の心の中で絶えず生きていくことを切に願っております」と喜びを語った。女性の心の深淵を覗きこむような本作が、歴史ある国際映画祭のコンペティションでどのような反応を得るのか――? 今後の続報に乞うご期待!
不穏な“愛ある日常”場面写真も解禁!
そして、江口のりこ扮する主人公・桃子の一見穏やかだが心ざわつく日常を切り取った5点の場面写真を一挙解禁! 先に眠りについた夫の真守(小泉孝太郎)の手を切ない表情で触れる姿や、義母の照子(風吹ジュン)のごみ捨てを肩代わりする様子、日常の中でふと心に陰りが射す瞬間・台所で物思いにふける桃子や帰宅途中の浮かない表情の真守を切り取ったカット、そして女性(馬場ふみか)を挟んで一触即発の一幕まで、愛ある日常にひたひたと不穏が迫りくるシーンの数々となっている。心乱される美しい妻に扮する江口のりこと、心は常にどこか違う場所にある夫の小泉孝太郎の新たな表情にご注目いただきたい。
監督&主演 コメント
森ガキ侑大(監督)
ようやくワールドプレミアとして『愛に乱暴』が世界の方々にお披露目できることを嬉しく思います。
そして、カルロヴィ・ヴァリ映画祭という歴史ある映画祭のコンペ部門に選んでもらえたことはとても光栄ですし、本当にこの映画が報われた気がします。この映画が世界に羽ばたき、より多くの人の心の中で絶えず生きていくことを切に願っております。映画と一緒に世界の旅ができることにも幸せを感じております。
江口のりこ(初瀬桃子・はせももこ役)
江口のりこです。この度は、歴史ある映画祭で『愛に乱暴』が上映されること、大変嬉しく思います。数ある映画の中から選んでいただけたことに感謝いたします。日本から遠く離れたチェコで、観客の皆様がどのような反応をなさるのか楽しみです。
公開表記
制作・配給:東京テアトル
2024年8月 ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)