ベルリン国際映画祭エキュメニカル審査員賞受賞、アカデミー賞国際長編映画賞®ショートリストに選出され、東京国際映画祭でも上映されたリラ・アビレス監督長編第2作が『夏の終わりに願うこと』(原題:Tótem)の邦題で、8月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開する。この度、各界の著名人たちによる感銘のコメント&オルタナティブポスター、そしていち早く本編を観た彼らに強い印象を与えた、主人公の少女・ソルの心の揺らぎを捉えた本編映像の一部も解禁となった。
少女・ソルの“願い”に心を揺さぶられた著名人・評論家・ライターたちからコメント、長崎訓子、宮嵜 蘭によるオルタナティブポスターが到着!
タレントとして活躍し、家族のコミュニケーションの機微を描いた是枝裕和監督作品『歩いても 歩いても』にも出演するYOUは、「ソルが素晴らしい。願うことは 全てを尊いものに変える力であり 宇宙を創る美しい分子のようだ」と、7歳の少女が初めて迎える“別れ”の予感を受け止める姿を絶賛。「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子は、「スクリーンの前でわたしたちは息を止めて、その願いを見届ける。彼女のこのうえなく真摯な祈りを、ともに願うでもなく、ただ見つめる」と、ドキュメンタリーのように描かれる本作ならではの美しさに感銘。映画監督の大九明子からは「なんと息苦しい。私はこの映画が好きだ」とラブ・コールも到着した。他にも、枝 優花や、コラムニストの山崎まどか、写真家の遠藤文香といった、12名の著名人・評論家・ライターたちからも絶賛のコメントが寄せられている。
また、コメントと併せて本作をテーマにしたオルタナティブポスター2種も到着! イラストを手掛けたのは、イラストレーターの長崎訓子と宮嵜 蘭。長崎訓子からは、劇中でも象徴的に登場する色鮮やかな風船やオウム、カマキリ、カタツムリたちが、ソルの “願い”の見守るような美しいイラスト。
そして宮嵜 蘭が手掛けたのは、父の誕生日を祝福するロウソクの炎を見つめるソルの真摯な瞳と、青々とした草木やそこに宿る生命が共鳴し、命が煌めきを感じさせるイラスト。それぞれがオルタナティブポスターとして、本作の世界観を異なる視点から表現する。
父との別れの予感に涙を浮かべるソルの表情を捉えた本編映像も公開
この度公開された本編映像は、療養中の父との面会を許されなかったソルが、物陰でひとりスマートフォンのAIに「いつ世界が終わるの?」と問いかけるところから始まる。数百万年後に迎える地球が終わる日と、父の命の火が消える日に想いを重ね、涙ぐむソルのものとに、ヘルパーのクルスが「調子はどう?」と優しく尋ねてくれる。涙をこらえて「いいよ」と答えるひた向きなソルの表情に胸が締め付けられるシーンとなっている。著名人たちを絶賛させた、本作が初の映画出演となるナイマ・センティエスの自然体な演技にも注目だ。
▼著名人コメント▼
YOU(タレント)
願うことは 全てを尊いものに変える力であり 宇宙を創る美しい分子のようだ。
高瀬隼子(小説家)
スクリーンの前でわたしたちは息を止めて、その願いを見届ける。
彼女のこのうえなく真摯な祈りを、ともに願うでもなく、ただ見つめる。
大九明子(映画監督)
TOTEMという原題のまま、公園のトーテムポールのようにそこにあって。死とは。命あるものみな死ぬ。
『祈り』そのもののようなこの映画にあって、人間同士は壮絶な祈りを込めて、しれっと命を贈り合う。
それは真水の金魚であり、がんじがらめの盆栽であり、キャンバスに描き出された生き物の絵である。
ラスト、ソルが蝋燭の炎に向けて捧げる祈りに至っては、地底からか天空からか、呼び覚まされ吸い出されるあらゆる命の恐ろしい叫び声すらあぶり出されている。
なんと息苦しい。私はこの映画が好きだ。
山崎まどか(コラムニスト)
にぎやかな家族の中に漂う、終わりの気配。
それを鋭敏に感じ取る少女の眼差しが素晴らしい。
未知の悲しみを受け入れる準備をしているかのような、そのか細い姿がただただ切なかった。
枝 優花(映画監督・写真家)
死が身近にある状態とは、同時に今、ここに当たり前のようにある生を感じることでもある。
我々は何によって生かされて、何をもって生きていると思うのか。
息をひそめ、じっと彼らの生活を見つめ、己の生活を反芻する時間。
遠藤文香(写真家)
家族と自然、生き物たちの中で、悲しみ、不安、喜び、愛、願うことを通して、ソルの現実は絶えず揺らぎ、螺旋を描きながら変化し続ける。
この映画は人生であり世界そのもの。
森 直人(映画評論家)
手のひらで掬い取った水の中に幾多の生命が動いている。
そんなふうに家族の集いを、人間の営みを捉えた美しい傑作。
我々は人生の時間制限いっぱいまでパーティーを続けるのだ。
月永理絵(ライター・編集者)
たしかに漂う死の予感。けれど、それを取り巻く人々の感情はみなバラバラで、決して同一にはなりえない。ときに親密で、ときに不協和音を立てる、ある家族の肖像。誰かの死を受け入れるまでの時間を、こんなふうに描いた映画を初めて見た気がする。
麦倉正樹(ライター)
カサヴェテスの「まなざし」を持ったメキシコの新鋭。
この映画は、少女の目を通した『こわれゆく女』であり、「こわれゆくパパ」が奏でる、愛の不協和音の群像劇なのだ。
児玉美月(映画文筆家)
カタツムリが絵画の上を這う遅さで、ハチドリが100万回羽ばたく速さで、少女は大人になり、やがて知ってゆく。
最愛のひとがいなくなったとしても、決して世界がなくなりはしないことを。
SYO(物書き)
終わりを前にして笑おうと努める大人たちと、戸惑う少女。
どちらも整理はできていない。人前で繕うかどうかの違い。
祝祭の端々、各々の感情が零れ出す様は等しく哀切だった。
宮代大嗣(映画批評)
夏の終わりが好きだ。
独特な季節の香り、終わりに向かっていく色彩。
多感な少女が香りや色彩の中からすべてを感じとり、願う。
目を閉じて、ゆっくりとタイトルを唱えたくなる作品!
ストーリー
ある夏の1日。7歳の少女・ソルは、母に連れられて父・トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会えることを無邪気に喜ぶソルだったが、準備に駆け回る家族の異変に気がついていく。よろこびや戸惑い、希望や不安……それぞれが抱える思いが交差するなか、パーティーが始まろうとしていた――。
(原題:Tótem、2023年、メキシコ=デンマーク=フランス、上映時間:95分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:リラ・アビレス
出演:ナイマ・センティエス、モンセラート・マラニョン、マリソル・ガセ、マテオ・ガルシア・エリソンド、テレシタ・サンチェス
後援:メキシコ大使館
公開表記
配給:ビターズ・エンド
8月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!