イベント・舞台挨拶

『ぼくのお日さま』公開記念トークショー

© 2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

 登壇者:奥山由之(写真家・映像作家)、奥山大史監督

 大学在学中に制作した長編初監督作『僕はイエス様が嫌い』(2019)で、第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞! 5月に開催された第77回カンヌ国際映画祭では、日本作品で唯一オフィシャルセレクション部門に選出。上映後は約8分間のスタンディングオーベーションで歓迎を受け、第49回トロント国際映画祭への出品も決まり、今、日本で最も注目を集める監督の1人となった、奥山大史の商業映画デビュー作『ぼくのお日さま』。この度、全国公開を記念してたトークショーが9月16日(月・祝)、テアトル新宿(東京)にて開催。本作の監督を務めた奥山大史監督と、写真家・映像作家であり、奥山大史監督の兄である奥山由之さんが登壇した。

 9/6(金)からスタートした先行公開の勢いは止まらず、国内最大級の映画レビューサービス・Filmarks(フィルマークス)では映画『ぼくのお日さま』のレビュー平均点数が<4.2>の高評価を獲得、同サイトが発表した「9月第2週公開映画の初日満足度ランキング」でも本作が1位を達成。SNSでも「今年のベストワン」「最初から最後まで画が晴らしすぎた」「宝物のような映画」「作品を見てのエンドロールは勝手に涙が流れてた」「せつないけどすごく温かい良作だった」「全員におすすめできる傑作」等、温かく熱のこもった投稿が溢れる中始まった全国公開。

 こうして公の場で兄弟そろって対談するのは、奥山大史監督の長編1作目である『僕はイエス様が嫌い』が公開された時におこなったトークショー以来だという二人。
 事前に本作を観た由之さんは、「本編を観させてもらう前に、この作品の予告を見た瞬間、もちろん主人公のタクヤもだけど、タクヤの友達のコウセイがまるで昔スケートをやっていた頃の大史を見ているようでした。かつ、本編を観て、この映画全体の佇まいから、昔一緒に過ごしていた時間とか、大史自身がそこに映っている感触がありました」と感想を述べ、「心に残る作品は、作り手自身をスクリーン越しに見ている感覚になれるものだと思うんですが、そういった作品作りはなかなかできることではないので、作り物をしている一人として羨ましくもありました。作品作りにはたくさんの人が関わり、いろんな条件、事情があるなかで、本来描きたいものがぼんやりしてしまいがちな中で、大史がつくりたいものにスタッフやキャストの皆さんが共鳴して、本当に良いチームで作れているんだなということが伝わってきました」と、同じクリエイターとしての視点で本作の感想を述べた。

 続けて、「兄弟の中でも末っ子の可愛かった大史が、自分が作りたいものをピュアなまま作品として完成させられて、こうしてお客さんに届けられたのは、周りの人に感謝だね」と語りかけると、大史監督も「本当にやりたいようにやらせてもらえましたし、周りの方々に助けられました」と、スタッフへの感謝を改めて伝えた。

 本作の主人公・タクヤにも兄がいるが、大史監督は「食卓でのタクヤのお兄ちゃんは、ちょっと由之を意識した」と暴露すると由之さんは「あの苦言を呈するお兄ちゃんでしょ? それはちょっと嫌かも(笑)」と思わず苦笑いしたが、この作品での“兄”像について大史監督は「由之を意識したのは現実主義なところ。子どもの頃に弟の僕に向かって「サンタなんかいない」と言うような(笑)。でも、物語を作る上で、そういった夢を見すぎない距離・視点の声が入ることは、お客さんに近い冷静な声にも近いので、プラスになるんです」と語った。

 さらに由之さんからは「もう一つ、この作品はただ優しく柔らかいだけじゃなくて一瞬眼光が鋭くなる厳しさみたいな感覚が共存しているのも、大史の人間性が現れてる気がする。あとは『僕はイエス様が嫌い』と、画面のトーンが共通していると思うけれど、大史自身はきっともっと多面的だし、人間は言葉では語り切れない多面体で矛盾しているものだと思うから、これまでの2作品とは違った様相の作品も見てみたい」と今後の作品への期待もこめられた言葉も。

 続いて、この作品は大史監督が自身で撮影も手掛けていることについて聞かれると、大史監督は「なるべくドキュメンタリーっぽく撮るために絵コンテも描かず、現場で役者さんにお芝居してもらって初めてどのように撮るか決めたかったので、カット割りも一部の照明技師さんに見せるだけで、役者はもちろん他のスタッフにも見せなかったんです。そんな中で、スケート・シーンは、撮りたい画を撮るにはレールを敷かずに撮影機材を持って、かつスケート靴を履いてリンクの中で撮るのが最善で、となると自分で撮るしかなかったんです」と、撮影に関しても自身のこだわりが詰まっていることを語った。

 以前、企業の広告を共同制作したこともあるふたり。「あの時は現場ですごい喧嘩したよね。同じ場面を見てても、アングルとか撮り方とかが全然かみ合わなくて、人間ってこんなに眼差しが人それぞれに違うものなんだなと感じた」と由之さんが振り返ると、大史監督は、「その撮影の時に女性の顔の撮り方について、正面から撮るよりも後ろや横からの方が美しくリアリティが出る、と由之から言われたことは今も意識している。この作品でも、タクヤがさくらに恋に落ちるようなアングルを決める時に思い返しながら撮ってました」と語った。

 最後に、11月15日から同じくテアトル新宿で公開される奥山由之監督作『アット・ザ・ベンチ』にも触れ、兄弟で互いに刺激を受け合っている様子がうかがえる盛りだくさんのトークショーとなった。

 本作は、田舎街のスケート・リンクを舞台に、吃音のあるホッケーが苦手な少年、選手の夢を諦めたスケートのコーチ、コーチに憧れるスケート少女の3つの心がひとつになっていく……雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない小さな恋たちの物語が描かれる。映画『ぼくのお日さま』は全国で絶賛公開中。ンテにて先行公開中。9月13日(金)より全国公開。

公開表記

 配給:東京テアトル
 全国の劇場にて絶賛公開中!

(オフィシャル素材提供)

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