記者会見映画祭・特別上映

第37回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見

© 2024 TIFF

 開催までいよいよ1ヵ月を切った本日9月25日(水)に東京ミッドタウン日比谷BASE Q HALLにて第37回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が開催。ゲストとして、フェスティバル・ナビゲーターとして菊地凛子とコンペティション作品より大九明子監督、吉田大八監督、片山慎三監督、さらにNippon Cinema Now監督特集の入江 悠監督が登壇した。

 今年の映画祭は、10月28日から11月6日の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。また、昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催予定。映画祭併設のビジネスコンテンツマーケットTIFFCOMは、10月30日から11月1日の3日間の同時期開催。
 「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する」を目指し、新部門の創設など映画人や映画ファンの交流の場をさまざまな形で実現させていく。

 東京国際映画祭チェアマン安藤裕康による開催の挨拶で会見は始まり、本年度の映画祭の特色として国際交流、人材育成、女性への視座という3つの柱を掲げた。「国際交流があるのは当然だが、今年はもっと力を入れる。ミッドタウン日比谷の1FのLEXUS MEETS…にて交流できるラウンジを設けさまざまなトークイベントや映画人の交流の拠点とする。また、日本とイタリアが共同製作協定を今年初めて結んだ。今後ももっと増やして行ければと思うし、それに関する特集も行う。そして、未来の映画人材を育てていく。TIFFティーンズ映画教室、アジアの生徒向けマスタークラス、Amazon Prime Videoテイクワン賞や黒澤 明賞などで今後の映画界を担う人材を発掘してきた。東京国際映画祭初の外国人プログラマーを招き、女性の活躍支援を目的にウィメンズ・エンパワーメント部門を新設した。また過去にあった東京国際女性映画祭で活躍した人たちを招いたイベントも行っていく」と発表。

 フェスティバル・ナビゲーターに就任した菊地凛子が登場。菊地は「映画と共に育ってきて、このような大役が私に務まるのかなとは思いましたが、日本を代表する映画祭に携われて光栄です」と任命された想いを語った。

 その後、プログラミング・ディレクターの市山尚三より「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画3作品を発表し、『雨の中の慾情』の片山慎三監督 、 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』の大九明子監督、『敵』の吉田大八監督が登場。片山監督は「東京国際映画祭で観た方に他の映画祭に呼んでいただいたりと、広がりがある映画祭というイメージ」、大九監督は「見つけていただいたという気持ちがあります。まさか今年も選ばれるとは思ってもみなかった」、吉田監督は「当時六本木で行われていたのですが、いい意味で浮ついた映画祭だなと(笑)。楽しかった思い出があります」と映画祭の印象について語った。

 さらに、今年の「Nippon Cinema Now部門」にて特集を組んだ入江 悠監督が登場。入江監督は「東京国際映画祭は、日本を代表する映画祭で、権威というイメージです。初めて参加した時は、尖っていてジャージで登壇してしまいました。また帰ってこれて嬉しいです」と特集される喜びを語った。

 続けて、今年新設された東京都と連携し女性監督の作品、あるいは女性の活躍をテーマとする作品に焦点をあてた「ウィメンズ・エンパワーメント」部門についてアンドリヤナ・ツヴェトコビッチ シニア・プログラマーより紹介された。「さまざまな国からパワフルなラインナップが上映されます。女性の力強さ、アイデンティティ、変容を表す珠玉の作品たちです」と同部門の上映作品に胸を張る。

 その後、藤津亮太プログラミング・アドバイザーより「アニメーション」部門の作品を紹介。

 さらに司会より「黒澤 明賞」や「エシカル・フィルム賞」「交流ラウンジ」などのその他の部門の紹介、オリジナルグッズの紹介など例年以上の盛り上がりが予測されるさまざまなイベントの紹介がされ、最後に質疑応答が行われ、会見は終了。

 第37回東京国際映画祭は10月28日(月)~11月6日(水)の10日間の開催期間中、200本の映画が上映。

第37回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 実施概要

 日時:2024年9月25日(水) 14:00 ~
 場所:BASE Q HALL
 出席者:安藤裕康(第37回東京国際映画祭チェアマン)
     池田香織(TIFFCOM事務局長)
     市山尚三 プログラミング・ディレクター)
     藤津亮太(「アニメーション」部門 プログラミング・アドバイザー)
     アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ (「ウィメンズ・エンパワーメント部門」シニア・プログラマー)
 ゲスト:菊地凛子(フェスティバル・ナビゲーター)
     大九明子監督(「コンペティション」部門 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』)
     吉田大八監督(「コンペティション」部門 『敵』)
     片山慎三監督(「コンペティション」部門 『雨の中の慾情』)
     入江 悠監督(「Nippon Cinema Now」部門特集)
MC:荘口彰久 (フリーアナウンサー)

トニー・レオン審査委員長 コメント全文

 今年の東京国際映画祭で審査委員長を務めることを大変光栄に思います。日本は私にとって、いろいろな意味で身近な国であり、このような形で映画の祭典に参加できることは、私にとって大きなことです。香港で育った12歳の頃から、当時の日本映画の名作を観に行っていました。このような映画館へのエキサイティングな旅が、私にとって日本映画、人々、そして日本文化への大きな愛の始まりであり、その愛はどんどん大きくなっていきました。私は、審査委員長を務めるにあたって、この映画祭が驚きに満ちたとても楽しいものになることを期待し、また確信しています。私が望むのは、質の高い映画の大胆なラインナップで、ちょっとした冒険を味わえることです。審査について、私が『感じる』のは、審査委員の仲間と私自身の感覚を信じることが、審査のプロセスに貢献するはず、ということです。

菊地凛子 Q&A

Q.菊地さんは今回ナビゲーターということですが、最初聞いたときはどうでしたか?

 映画と共に育ってきたので、このような日本を代表する映画祭に携われて光栄です。

Q.菊地さんの東京国際映画祭へのイメージってどんな感じでしたか?

 東京国際映画祭は、街中にレッドカーペットがあったりと東京というユニークな都市で開催されている特別な映画祭だと思います。

Q.菊地さんはいろいろな海外の映画祭にも参加されてきたかと思いますが、映画祭の楽しさはどんなところにありますか?

 いろいろな作品で映画祭に参加するときは、皆さんに応援していただいているというかご褒美をいただいているというか、何とも言えない感動があります。また、映画という言語を通じて、著名な海外の映画人と交流できるのはすごいことですよね。多くの人に観ていただいて監督、スタッフ、皆さんと手をつないで映画を届けられるのは素晴らしいことです。

Q.菊地さんにとって映画とはどんな存在でしょうか?

 映画というのは、明日も頑張ろうという気持ちになれますし、その世界を旅してその人の人生を持って帰れるもの。私が出演することで、少しでも返して行ければと思います。

片山慎三監督、大九明子監督、吉田大八監督 Q&A

Q.監督にとって東京国際映画祭はどんな存在でしたか?

 片山監督:東京国際映画祭で上映してそこで観た人にほかの映画祭に呼んでいただいたりと、広がりのある映画祭だと思いました。

 大九監督:二度賞をいただいているので今回また呼んでいただいて、すごく驚き光栄です。何かお返しができればと思います。

 吉田監督:六本木でやっていたときは、いい意味で浮ついたお祭りの印象がありました。とても楽しかったですね。

Q.東京国際映画祭のコンペに選ばれた作品について、どういう趣旨で作品を作られましたか?

 片山監督:9割方台湾で撮影したので、街の風景を楽しんでいただけたらと思います。

 大九監督:とても若い俳優たちと作る映画だったんですけど、若い人たちだからこそ普段思っている些細なことをどんどん盛り込んでいこうという形で、すごくわがままに作った映画なのでどう皆さんに反応していただけるか楽しみです。長回しが多かったですが、素晴らしい若手俳優が持っているものを、最大限引き出したかったからです。

 吉田監督:コロナの時に昔読んでいた本を読み返していて、すごくハマりました。モノクロの理由は、主人公のストイックな生活を描くのに抑制されたモノクロを使うことで、表現したかったから。想像力を掻き立てられるので、思ったより豊かな作りになりました。

入江 悠監督 Q&A

Q.監督にとって東京国際映画祭はどんな存在でしたか?

 権威というか、日本を代表する映画祭。そこは変わらないですね。

Q.東京国際映画祭で特集が組まれると聞いたときはいかがでしたか?


 自分のフィルモグラフィーを振り返ると一貫性がないですね。

Q.本当にいろんなジャンルの作品を手掛けられてますが、何か大事にしていることはありますか?

 意識していることはないんですが、題材もジャンルもバラバラで。飽きっぽいというところがあります。大作をやると小さい作品がやりたくなるんですよね。

菊地凛子、大九監督、吉田監督、片山監督、入江監督への質疑応答

Q.映画祭が今後どう発展していけばいいと思われますか?

 大九監督:新しい監督と私も出会いたいし、そういう場になってほしいです。すべての作品に開かれた環境があれば。
 吉田監督:人が集まって映画を観るというのは、また違ったパワーが出るんじゃないかなと思います。できるだけ長く続いてほしいですね。
 菊地凛子:映画祭を通してクリエイターの方たちが繋がっていくということがすごく大事かなと思います。こうやってさまざまな監督とお会いしたので自分をアピールしていきたいです。

 片山監督:映画に興味ない人が映画祭を通して、新しい作品を、普段観られないような作品をどう観るかということが大事だと思います。その辺りをもっと広げていってくれたら嬉しいです。
入江監督:日本の映画の製作現場は貧しくなっている。世界各国の人と映画祭を通じてそういった部分を共有して話し合って発信できる場になっていけたらいいなと思います。

安藤裕康チェアマン、市山尚三プログラミング・ディレクターへの質疑応答

Q.Amazon Prime Videoテイクワン賞はなくなったのですか?

 アマゾンプライム側の都合で一旦3年で一区切りとなっています。来年もしかしたら新しい新人発掘プロジェクトを行う可能性があります。

Q.カンヌのコンペ作品がないことについて。

 無理して配給会社に頼んで上映するより、配給が決まっていない作品を選定した形となった。ベルリンの受賞作は配給が決まっていないので、今回映画祭でできる。

Q.東京国際映画祭の特色は何ですか?

 3つの柱で説明した通り。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンに追い付け追い越せというわけではなく、アジアとの交流、アジアとの作品との関係性を深めていきたい。近隣国からイランまで、コミュニケーションをとりながら輪を広げていきたい。

Q.選定のポイント

 新しい発見があるもの、不安定な世界を反映したような、通じる作品。

コンペティション部門出品作品一覧

 「コンペティション部門」 応募作品数()内は昨年数:2,023本(1,942本)/国と地域数:110(114)
 ・男女共同監督作品含む女性監督の作品は全体の中の35本(19.44%)※ 同じ監督による作品は作品の本数に関わらず1人としてカウント(昨年度の男女共同監督作品含む女性監督作品は35本(20.59%)
  ※ プレミア表記 は下記の通り
  WP=ワールド・プレミア AP=アジアン・プレミア IP=インターナショナル・プレミア JP=ジャパン・プレミア

オープニング・クロージング作品

第37回東京国際映画祭 開催概要

© 2024 TIFF

 開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
 会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
 公式サイト:https://2024.tiff-jp.net/ja/(外部サイト)

TIFFCOM2024開催概要

 開催期間:2024年10月30日(水)~11月1日(金)
 公式サイト:https://tiffcom.jp/(外部サイト)

(オフィシャル素材提供)

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