イベント・舞台挨拶

『エストニアの聖なるカンフーマスター』公開初日舞台挨拶

© Homeless Bob Production / White Picture / Neda Film / Helsinki Filmi

 登壇者:ライナル・サルネット監督、カトリン・キッサ(プロデューサー)、マート・タニエル(撮影監督)

 IT先進国にしてサウナの本場としても注目を高めている国、エストニアから誰も観たことのないカンフーでメタルな奇想天外ムービー『エストニアの聖なるカンフーマスター』(英題:THE INVISIBLE FIGHT)が10月4日(金)より新宿武蔵野館ほかにて大ヒット公開中!

 10月4日(金)から公開となった本作は「開始2秒でもう面白い。おふざけかと思いきやなぜか最後には信仰の本質に触れた気になる奇想天外な映画体験 圧倒的支持 好き!」や「観た後で絶対に語りたくなるから、誰かと行くならそのあと1時間はお茶ができるスケジューリングにすべし!! 1時間じゃ足りないけどなっ!!」「とてつもなくヤバい映画を観てしまった。 最初から最後まで、ヤバいめちゃくちゃ面白い」など本作を観て、その魅力にハマってしまったファンの熱狂的な感想が初日から多く届いている本作。エストニアとブラック・サバスとカンフーというあり得ない組み合わせに「合わない人には合わないが、好きな人は100回観るだろう」と評され、ハマったら最後、沼から抜け出せなくなる怪作だ。

 そんな熱狂的な信者を量産し続けている本作の新宿武蔵野館で行われた初日舞台挨拶に登場したのはライナル・サルネット監督、プロデューサーのカトリン・キッサ、撮影監督のマート・タニエル。初めての日本のファンを前にサルネット監督は「皆さんこんにちは! この作品を日本のファンに観せることができて嬉しいです」と笑顔で挨拶。

 奇抜な本作を作ったきっかけを聞かれ「この物語の主人公は実在する人物で、名前もそのままラファエルという人なんです。ちょっとクレイジーな映画で信じられないかもしれないですが、80%は実在の彼で実際にあったエピソードを盛り込んでいます。主人公の元になったラファエルという人物は旧エストニアで今はロシアの一部になっているとある町の修道院にいた人なんです」と明かし、続けて、「入院していた友人にプレゼントした「Not of This World」というタイトルの本もベースとなっていて、この本は二人のロシア人の僧侶の話で、一人がラファエル、もう一人が90年代に活躍した方だったんです。そのちょっと変わった物語にとても心惹かれました。また映画の冒頭、謎の武装集団からラファエルが生き残るシーンは、実際にシベリアにソ連軍の兵士としてラファエルが行ったときに、中国の盗賊に襲われたが部隊の中で1人だけ生き残ったという都市伝説的な逸話が元になっています。また実際に彼が過ごしたロシアのとある町の修道院に行って長老たちから話を聞いたら、彼はフーリガンだと言われました。ラファエル本人は映画の中で出てくるようなチープな車を乗り回すスピード狂だったようで、赤い車を黒色に塗ってモンクカー(僧侶カー)と呼んでいたそうです。ただ30歳の時に車の事故で亡くなってしまったんですけど、それでもラファエルはとてもカリスマ性のあった人で、神についての説法など何もせず車を修理していただけだったのに、若者にはすごく影響力のあった人だったようで、彼をきっかけに入信する人物も現れたほどだったと聞きました。実在の人物を元にしていますがもちろん映画のキャラクターはオリジナルで作りました。ストーリーはファンタジーに思えるかもしれないけど、実際に起こったことを描いているんです」と、たくさんの実話が本作には盛り込まれていることを熱量たっぷりに明かした。

 そしてイベント後半には、会場に詰めかけた熱狂的なファンからの質問に答えるティーチインを実施。まずは「とっても興味深く見させていただきました。修道士とブラック・サバスとカンフーはどう結びついたんでしょうか? またこの作品のインスピレーションはどこからきたのでしょうか?」という質問に対し、サルネット監督は「ラファエルが過ごした修道院に10日間、4回くらい行っていて、近くにあるカタコンベを訪れたら、劇中に出てくるような髑髏、蝋燭などがあったりして。また僧侶たちが長髪だし黒衣に身を包んでいて、それを見たときにロックンロールじゃないかと思いました。この作品の英題が『The Invisible Fight』なんですが、これは何世紀か前に書かれた修道士たちの規則を記した本のタイトルと一緒で、その内容というのが内なる葛藤、自分のエゴとの戦いで、その内なる戦いをどう映画で表現しようかと考えた時にカンフーだ!と閃いたんです。少林寺なども宗教と非常に近い場所にあるのでスピリチュアルな繋がりを感じました。またブラック・サバスについては、地獄、魂、死など人間であることのダーク・サイドを歌っていますが、よく考えると宗教がテーマの1つとして歌っているなと思いました。ただ実際に彼らの音楽を使用する前に、自分の師父にブラック・サバスの音楽を映画で使っても大丈夫だろうか?と確認したんです。そしたら、もちろん大丈夫だよ、だってオジー・オズボーンは敬虔な信者だったからねと言われました」とこの奇抜な組み合わせに至った経緯を明かした。

 また「すごく楽しく見させていただきました。アクロバティックで面白いアクション・シーンを撮る上で意識したことや気をつけたことはありますか?」という質問に対しては、「実は私はカンフーのファンではないんです。映画のアイデアとして使っただけで」と恐縮しながら笑いを誘い、続けて「カンフー・コメディ映画というジャンルからインスピレーションを受けて作品を作るためにリサーチで20本くらい作品を観ました。その中で80年代に作られた『南北酔拳』を特に参考にしました。酔拳は通常のカマキリ・スタイルと酔っ払ったカマキリ・スタイルがあって、酔っ払った時は体が波打つような動きなんです。このカンフーの動きの指導のために台湾からエディー・ツァイさんが来てくれました。しかしエストニアでの作業は1週間ほどしか時間がなく、それでもエディに『南北酔拳』のようなカンフーをやりたいと相談したんです。でもそれは非常に難しいし、その希望を叶えるには1年練習が必要と言われました。流石にそれは諦めて、自分たちで正教会で祈りの際に使われている手のジェスチャーをカンフーに取り入れたオリジナルのカンフーを作り出し、それを正教会カンフーと呼んでいました。また主人公ラファエルの動きに関しては狼が出てくるロシアのアニメーションを参考にしたり、イリネイにはまたちょっと違ったカンフーの動きをつけたりと、この作品全体の動きを1つのダンスのような形にしたかったです。そのため編集担当は映像を見てカンフー・ゴスペルだねと言っていました」と、短い時間ながらも真摯にファンの質問に答えていた。最後には「暖かくして、健康に過ごしてね!」と観客の体調を気遣い、温かい雰囲気に包まれイベントは終了した。

 その後サルネット監督はパンフレット購入者を対象に即席のサイン会を実施。約100名のお客さん全てと笑顔で話しながら、丁寧にサインを行なっていた。

 自分らしく生きるとは? 現代の日本にも通底する普遍的テーマを描いた、比類なき青春フュージョン・コメディ『エストニアの聖なるカンフーマスター』は10月4日(金)より全国公開中。

公開表記

 配給:フラッグ・鈴正
 大ヒット公開中

(オフィシャル素材提供)

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