登壇者:栗原颯人、日高由起刀、林 裕太、シナ・ペン、ARAZI、 空 音央監督
空 音央監督の長編劇映画デビュー作『HAPPYEND』の公開記念舞台挨拶が10月5日(土)、東京都内で行われ、空監督のほか、W主演の栗原颯人、日高由起刀、キャストの林 裕太、シナ・ペン、ARAZIらメインキャストが劇場に集結。待望の日本公開を記念した舞台挨拶には悪天候にも関わらず劇場に多くの観客が駆けつけ、監督・キャストを熱く、大きな拍手で出迎えた。
観客席を眩しそうに眺めた空監督は「早い時間に来ていただきありがとうございます。今日、こうやって舞台挨拶を迎えられて感慨深いです」と挨拶。登壇したメインキャスト5名のうち、主人公・ユウタ役の栗原、コウ役の日高を含む4名が本作でスクリーンデビューを飾り、舞台挨拶もほとんどが初めてとのこと。皆一様に緊張の面持ちで挨拶をする中、アタちゃん役の林が劇中衣装である背中に黄色い車の刺繍が入ったジャケットを見せつけ、会場を沸かせ和ませる一幕も。
近未来を舞台に現在と地続きのありえるかもしれない未来が描かれ、同時に高校生たちの話ということもありどこか懐かしさも漂うが、本作を制作しようと思ったきっかけについて聞かれると、空監督は「3.11をきっかけ自分の中に政治性が芽生え、そこから日本の歴史、特に1923年の関東大震災時の朝鮮人虐殺という歴史を目の当たりにしました。構想を練っている時に日本でもヘイトスピーチなどが盛んになっていて、近未来でもし地震が起こった際、同じようなことが絶対に起きてほしくないなという危機感を感じながら、その構想の骨組みに自分の学生時代に経験したことや感情をふんだんに取り込んで映画にしていきました」と本作誕生のきっかけを明かした。
オーディションで選ばれたメインキャスト5人中、4人が演技未経験。選んだ理由については空監督が「ほとんど一目惚れです」と明かすとキャスト一同得意げな表情を浮かべ、会場からは笑い声が。「一応演技もチェックしましたが、本当にみんな上手かった。何より奇跡的だったのが、5人が揃った時に本当に仲良くなりはじめて。長年の付き合いかのようになっていたので、微笑ましかったです」と語り劇中同様に友情を深めたキャストたちを嬉しそうに見つめた。
今回が初演技にして主演に大抜擢された栗原と日高。初めてづくしとなった撮影現場の印象について、ユウタ役の栗原は「新鮮な気持ちで臨むことができました。空監督が先程言ったように5人がすごく仲の良い状態で撮影に臨めたので緊張もほぐれて伸び伸び演技ができたと思います」とストレスもなく、良い状態で芝居に臨めたとのこと。
コウ役の日高も「ワークショップの場を設けてもらったり、キャストのみんなと触れ合う機会が多かったのですごく役に入りやすかったです。『カメラでかい!』『マイク近い!』みたいなことも含めて、刺激的でした」と語り、まるで学校に登校するような気持ちで撮影に臨んでいたと明かした。
撮影は夏の神戸で実施され、舞台となった高校では冷房が修理中で使用できなかったとのこと。撮影中の印象的なエピソードを聞かれるとアタちゃん役の林は音楽研究室の部室で5人でDJをしているシーンを挙げ、「夏の室内でめちゃくちゃ暑かったんです。僕すごく汗っかきなので衣装がビチョビチョになってしまって、カットがかかるたびにドライヤーで乾かしてもらうんですけど僕の“汗(が乾く)待ち”が発生してしまって……でも暴れる役柄だったので、大変でした」と撮影中の思わぬハプニングを明かした。
舞台挨拶の最後にはキャストから監督へ手紙のサプライズが。栗原が代表して手紙を読み上げ「間違いなく素晴らしい俳優人生をスタートできた」と作品を通してかけがえのない経験をさせてくれた監督への感謝を涙声で伝え、日高から花束を渡すとキャスト・監督全員で駆け寄り熱く抱擁。空監督は「言葉にならない」と涙を堪えながら感謝を述べた。劇中のワン・シーンを彷彿とさせる一幕に客席からは拍手が送られ、温かな空気に包まれたまま舞台挨拶が終了した。
本作は、第81回ヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミア、第49回トロント国際映画祭、第62回ニューヨーク映画祭、第29回釜山国際映画祭での上映、第8回平遥国際映画祭でのロベルト・ロッセリーニ審査員賞を経て、10月4日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中。
さらに北米、シンガポール、フランス、韓国、台湾、香港、中国など11の国と地域にて配給が決定!
公開表記
配給:ビターズ・エンド
10月4日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
(オフィシャル素材提供)